転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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神様の人形

マスタールーム

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砂漠の階層の下の階層は溶岩で埋め尽くされていた。

歩けそうな所がないんだけど、元々この仕様だったらクリア不可能なんじゃないかな?

しばらく飛んで周囲の探索をしていたら正面に大きな穴が空いている所に辿り着いた。
壁に穴が空いている訳ではなく、空間そのものが歪んで穴が開いた様になっていた。
ルーティアさんが聞いてくる。

「飛び込むぞ。いいな?」

見渡す限り溶岩のこの階層に留まっていても仕方ない。全員が同意して次の階層に飛び込んだ。

次の階層は様子が違った。

真っ黒な空間だ。暗いのではなく黒い。
広さもよく分からない。平衡感覚すら失いそうになる、お世辞にも居心地の良い場所とは言えそうにないその空間の一角にその人達は居た。

「正面、マリさんとサチさんです!」
「なんだありゃ?」

倒れて動かないマリさんと、それを庇う様にして立つサチさん。
相対するのは巨大な鎧騎士。サチさんと比較して、身長が4メートル近くあるのが分かる。
手には大剣。その体に合わせた剣だけにもはや鉄の柱の様だった。
それを振りかぶっていて、今まさにサチさんに振り下ろそうとしているのだ。

私達はウルちゃんに乗ったままサチさん達の方へ目掛けて飛んでいる。
辿り着くまではあと少し掛かる。

「援護を!」
「はい!」

ルーティアさんの指示とほぼ同時にオーバーブーストを掛けてライトニングボルトを放つ。サチさん達に当たらない様に、振りかざした大剣を狙った。

振り下ろされる大剣に雷撃が命中して軌道が逸れる。
それと同時にサチさんがわずかに横に逃れた。

大剣はサチさんの右腕を斬り飛ばし床にめり込む。それをすぐに引き抜くと鎧騎士はこちらを見ながらサチさんとも距離をとった。

『光精よ、敵を討つ光となれ《オプティカルインペイル》!』
「《マナエクスジベイト》、《マナラセレイション》!」
「《雷槍撃》!」

ルーティアさん、リオさん、エルさんが次々と鎧騎士に攻撃していく。

鎧騎士は一歩二歩と後退している。

ウルちゃんがサチさんと鎧騎士の間に着地する。オル君も飛び降りて竜の姿になった。全員が戦闘態勢で鎧騎士と向かい合う。鎧騎士は中身が無い。リビングアーマーの様なものみたいだ。

クラースさんとリオさんはマリさんとサチさんの手当てに向かった。

「なんだコイツ……気配が異常だ。」
「サチの作ったモンスターか?」
「だとしたら何故マスターを襲う?」

マサキさんが間合いを詰めながら警告する。
ダキアさんとクロウさんはゆっくりと回り込みながら話している。

「まさかもうここを見つけるとはな。」

鎧騎士が喋った。

「何者です?」

ユキさんが警戒を強めながら前進する。

「私はオゾーリオ。サチの作ったモンスターだ。」
「それがなぜ主人を襲う?」

ルーティアさんが聞く。

「私の主人はあれではない。」

ダンジョンマスターをあれと呼ぶオゾーリオに敬意などなかった。

「じゃあ何だ?お前の主人は他にいるのか?」
「我が主はあのお方のみ。」
「それは神か?」
「神?その様な不確かなものではない。」

ハナちゃんの問い掛けに答えを返すオゾーリオ。

「サチを殺してダンジョンマスターに成り代わるつもりか?」
「このダンジョンの主はそこの者ではない。」

うん?

ルーティアさんの質問に対して不可解な返答をしてきた。

話している間にリオさんとクラースさんがマリさんの治療をしている。

[マリの生命活動が停止します。このままでは危険です。至急治癒の魔法陣を構築してください。]

ヘルプさんが教えてくれたので全員に告げて急いでマリさん達の所に向かう。

「貴様がミナか。ここで死んでもらう!」
「させるかよ!」
「全員攻撃開始だ!ミナに近づけるな!」

オゾーリオは私を狙って動き出したけど、真っ先にテュケ君が飛び出して斬り掛かっていた。次いでルーティアさんの指示と同時に全員が動き出す。

鎧騎士はみんなに任せて立体魔法陣を組み上げる。少し時間が掛かったけど完成。オーバーブーストを追加して発動させる。そのまま魔法陣をマリさんの所に持っていった。
マリさんの傷はかなり深い。腹部を大きく抉られていた。リオさんとクラースさんの回復魔法でギリギリ持ち堪えていたのだろう。そうでなければもう死んでいたと思う。

「強力な治癒の魔法陣です。サチさんも入ってください。」

右腕を失ってグッタリしているサチさんにも入ってもらう。

「硬え…しかも早えぇ…!」
「数で押せ!引き付けるだけでいい!」

ウェスターさんの声が聞こえてくる。
ルーティアさんも指示を飛ばしている。

何人かダメージを受けている。致命傷にはなっていないみたいだけど私が魔法陣を組み上げている間に凄まじい戦闘が繰り広げられていたみたい。

ユキさんがオゾーリオの攻撃を受け止めて他のメンバーで攻撃。
このパターンが一番安全だけど一筋縄ではいかない。

ユキさんに攻撃するフェイントをかけてすり抜ける。あんな巨体なのにスゴく早い。ユキさんの後ろにはルーティアさんがいる。

大剣をコンパクトに横薙ぎに振ってルーティアさんに襲い掛かるけど、ルーティアさんはそれを冷静にバックステップで躱した。

直後に兎人族ダシュプーシェン4姉妹が膝関節を狙って次々と攻撃を加え、アリソンさんが二刀からの強烈な一撃を頭部に見舞った。

それでもオゾーリオはビクともしない。

「脆弱な人如きが、我に勝てるはずもあるまい!」

纏わり付く兎人族ダシュプーシェンとアリソンさんを大剣の一振りで弾き飛ばし誇らしげに叫んでいる。

「傀儡が偉く出たものだな!」

全員が離れた瞬間にウルちゃんがブレスを放つ。まともに受けて大きく吹き飛んだ。

「ぐっ…!流石は全ての竜の祖だ。」

すぐに体勢を立て直して剣を構えるオゾーリオ。

ウルちゃんのブレスを受けてまだ動けるなんて…。

「貴様に勝ち目はない。ここで灰燼に帰すがいい。」

今度はオル君がブレスを放つ。
オゾーリオがブレスに包まれる直前、何者かが彼の前に立ちはだかった。

オゾーリオと同じサイズの全身鎧。巨大な盾でオル君のブレスを防いでいた。

「オリファントか。」
「何をやっているオゾーリオ。何故サチを始末していない?」
「見ての通りだ。人種はともかく竜が邪魔をしている。」

「コイツもサチの作ったモンスターかよ。何体いるんだ?」
「貴様らが知る必要はない。ここで死ぬのだからな。」

ダキアさんが言った事にすぐに答えてくるオリファント。
直後、同じ様な全身鎧が2体やってきた。

一体は槍を持ち、もう一体は巨大な棍棒を持っている。

「ほう?この竜達が最強の竜か。」
「最強と雖も脆弱な人種を護りながら戦う事はできまい。」

「皆様、オルの陰に隠れてください。私がまとめて相手をします。」

ウルちゃんが前に出る。

マリさんとサチさんの傷は完全に治った。このままウルちゃん達に任せてもいいけど納得がいかない。

「ウルちゃん。私がやるよ。」
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