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エルジュ王国
自由
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「私はミナ様に付き従う者でございます。ミナ様が敬意を払う相手には私も同様に致します。しかしながら竜族の王たる者として言わせていただきます。ミナ様とそのご友人にこれ以上手を出すのなら私はその者達に容赦はしません。愚かな人間の国一つ、滅ぼす事など雑作もない。今ここでミナ様達をお守りしながらでもそれくらいは可能です。お分りいただけただろうか、人間の王よ。」
しん…と静まり返った謁見の間。
えぇ…言い過ぎだよウルちゃん。
「ぶ、無礼なっ!」
「陛下の御前で…。」
騒ぎ出す貴族達。
「意見のある者は前に出よ。」
「…………。」
そう言ったのは国王様だった。誰も前に出ようとはしない。
「ウルディザスター殿「ウルで結構。」
「ウル殿の怒りは尤もだ。横暴極まりない行為に対して、我等の対応は余りにも不敬であった。どうか許して欲しい。」
「許すも許さないもミナ様次第です。」
「えっ…私?私は…」
許します。…なんて言えない。
今回の事で敵も味方も沢山傷ついた。死者も出たんだ。
「私を捕まえる為だけにこんな大事になってしまって…。何かに協力して欲しいなら言ってください。私でできる事ならやりますから。もうこんな事は二度と起こさないでください。」
「すまなかった。」
国王様が頭を下げる。
それを見て貴族達は動揺していた。
「次は無いと思っておいて下さい。」
ウルちゃん…。
「今ここにいる者全てに告げる。今後ミナ殿の自由を奪う者は如何なる理由があろうとも極刑に処す。これは王命である。」
「ユキ様もです。」
「う、うむ。ユキ殿も同様である。心せよ!」
いつの間にか私達に敬称付いちゃってるし…。
貴族達は全員膝をついて応じた。
「王都にいる貴族はここにいる者で全員ですか?」
「う、うむ。当主は全員来ておる。」
「鑑定で全員名前と顔を覚えました。今後何かあれば私が皆さんの所に訪れるでしょう。」
ウルちゃんは満足気に私の隣に戻ってくる。
一件落着…でいいのかな?
ーーーー
「肝が冷えたぞ……。」
お城から出て馬車に乗り込んでからレギウスさんが言う。
「あれぐらいは言わせて頂かないと気が済みません。ミナ様、出過ぎた真似をして申し訳ありませんでした。」
「いいよ、私達の為に頑張ってくれたんだね。ウルちゃんありがとう。」
猫に諭され…脅され?謝罪する国王様。
何だか悪い事をしちゃった気がしなくもないけど、でもこれで貴族からおかしな事をされる心配も無くなった。
「スカッとしたぜ!」
「ああ、普段俺たち平民の事を塵ほども気にしていない貴族達が顔を青くしている様は見ものだった。」
「ミナちゃんといると貴重な体験ができるねー!」
「何とかなったからまあ良いか!夜は宴会だ!迎えに行くからな!」
レギウスさんと別れて宿に戻り、お昼ご飯を食べて一旦解散。夜までは自由時間になった。
「無事に済んで良かったね!」
「はい。ウルちゃんのお陰ですね。」
「当然の事をしたまでです。」
2人でウルちゃんを撫でまわす。
ゴロンとひっくり返ったのでお腹を撫でたり顎を撫でたり…ゴロゴロいってる。
竜ってゴロゴロはいわないよね。芸が細かい…猫になりきってる。
「どうせなら外を散歩してみましょうか?まだ夕食には時間がありますし。」
「そうだね!ルーティアさん達に断ってから行こう!」
装備は必要ないだろうからインベントリに入れたままで出発!
宿屋は大通りに面していて、その大通りが本当に広い。エリストの大通りの3倍位あるんじゃないかな?綺麗な石畳の上を色んな馬車が絶え間無く行き来している。
ちゃんと歩道も整備してあって魔法で光る街灯も大体20メートルおきに立っている。
建ち並ぶ商店も清潔感があってオシャレだ。
謁見の事で頭がいっぱいで街の景観なんて気にしていなかったけど、改めて見るとスゴい!
しばらく2人してぽかんとしてしまった。
互いに顔を見合わせて吹き出してしまう。
「どこに行きましょう?」
「取り敢えずギルドのある方に行ってみる?」
「はい。行きましょう!」
ゆっくりとお店を見ながら歩いていく。
普通の雑貨から魔法の道具や服の仕立て屋、薬屋、花屋、宝石店。
この辺りは暮らしの豊かな人が多いエリアなんだね。みんな何処となく気品がある。
大通りを少し入った所には青果店とか、食料品を扱っているお店がいっぱいあった。
珍しい物はないかなと少し寄り道。
リンゴとかオレンジとか慣れ親しんだ物から、それ本当に食べれるのって言ってしまいそうな毒々しい色をした果実まで揃っていた。
一通り見て、ギルドの方へ向かおうとした時、騒ぎが聞こえた。
「薄汚いガキが!ここはお前が来るような所じゃないぞ!」
「どうせスリでもするつもりで来たんだろう?構うことはない、痛めつけてやれ。」
なんだろう?
ユキさんと共に人集りがある所に行ってみる。
大人が4人、私よりも小さい男の子を殴る蹴るしていた。
「ひどいですね…。」
ユキさんが顔を顰める。
私は何を言うよりも先に輪の中に入って行った。
「やめてください!」
「なんだお嬢ちゃん。こんなガキを庇うのか?」
どう言ったら治められるだろう…?
「無抵抗の子供を大人4人で寄ってたかって、恥ずかしくないのですか?」
ユキさんが助け舟を出してくれる。
「コイツらはこの辺りのゴミを漁ったり、物を盗んだりするんだ。ここいらに近寄らないように教育してやってるんだ。」
「やり過ぎです。こんな小さな子供を…殺すつもりですか?」
「こんなどうしようもないガキは減った方が世の為だ。死んでしまっても誰も気にしないさ。」
「おい、何をやっている?」
衛兵さんが来てくれた。
「何って、コイツだよ。」
「ああ、やり過ぎて殺すなよ。片付けるのが面倒だ。」
何それ…。人の命をなんだと思ってるの?
「ミナさん、取り敢えずこの子を連れてこの場を離れましょう。」
「う、うん。そうだね。」
ユキさんが少年を立たせて私が回復魔法を掛ける。
「魔法を使うなんて勿体ない…。」
聞こえないフリをして少年の手を引いてこの場を立ち去った。
しん…と静まり返った謁見の間。
えぇ…言い過ぎだよウルちゃん。
「ぶ、無礼なっ!」
「陛下の御前で…。」
騒ぎ出す貴族達。
「意見のある者は前に出よ。」
「…………。」
そう言ったのは国王様だった。誰も前に出ようとはしない。
「ウルディザスター殿「ウルで結構。」
「ウル殿の怒りは尤もだ。横暴極まりない行為に対して、我等の対応は余りにも不敬であった。どうか許して欲しい。」
「許すも許さないもミナ様次第です。」
「えっ…私?私は…」
許します。…なんて言えない。
今回の事で敵も味方も沢山傷ついた。死者も出たんだ。
「私を捕まえる為だけにこんな大事になってしまって…。何かに協力して欲しいなら言ってください。私でできる事ならやりますから。もうこんな事は二度と起こさないでください。」
「すまなかった。」
国王様が頭を下げる。
それを見て貴族達は動揺していた。
「次は無いと思っておいて下さい。」
ウルちゃん…。
「今ここにいる者全てに告げる。今後ミナ殿の自由を奪う者は如何なる理由があろうとも極刑に処す。これは王命である。」
「ユキ様もです。」
「う、うむ。ユキ殿も同様である。心せよ!」
いつの間にか私達に敬称付いちゃってるし…。
貴族達は全員膝をついて応じた。
「王都にいる貴族はここにいる者で全員ですか?」
「う、うむ。当主は全員来ておる。」
「鑑定で全員名前と顔を覚えました。今後何かあれば私が皆さんの所に訪れるでしょう。」
ウルちゃんは満足気に私の隣に戻ってくる。
一件落着…でいいのかな?
ーーーー
「肝が冷えたぞ……。」
お城から出て馬車に乗り込んでからレギウスさんが言う。
「あれぐらいは言わせて頂かないと気が済みません。ミナ様、出過ぎた真似をして申し訳ありませんでした。」
「いいよ、私達の為に頑張ってくれたんだね。ウルちゃんありがとう。」
猫に諭され…脅され?謝罪する国王様。
何だか悪い事をしちゃった気がしなくもないけど、でもこれで貴族からおかしな事をされる心配も無くなった。
「スカッとしたぜ!」
「ああ、普段俺たち平民の事を塵ほども気にしていない貴族達が顔を青くしている様は見ものだった。」
「ミナちゃんといると貴重な体験ができるねー!」
「何とかなったからまあ良いか!夜は宴会だ!迎えに行くからな!」
レギウスさんと別れて宿に戻り、お昼ご飯を食べて一旦解散。夜までは自由時間になった。
「無事に済んで良かったね!」
「はい。ウルちゃんのお陰ですね。」
「当然の事をしたまでです。」
2人でウルちゃんを撫でまわす。
ゴロンとひっくり返ったのでお腹を撫でたり顎を撫でたり…ゴロゴロいってる。
竜ってゴロゴロはいわないよね。芸が細かい…猫になりきってる。
「どうせなら外を散歩してみましょうか?まだ夕食には時間がありますし。」
「そうだね!ルーティアさん達に断ってから行こう!」
装備は必要ないだろうからインベントリに入れたままで出発!
宿屋は大通りに面していて、その大通りが本当に広い。エリストの大通りの3倍位あるんじゃないかな?綺麗な石畳の上を色んな馬車が絶え間無く行き来している。
ちゃんと歩道も整備してあって魔法で光る街灯も大体20メートルおきに立っている。
建ち並ぶ商店も清潔感があってオシャレだ。
謁見の事で頭がいっぱいで街の景観なんて気にしていなかったけど、改めて見るとスゴい!
しばらく2人してぽかんとしてしまった。
互いに顔を見合わせて吹き出してしまう。
「どこに行きましょう?」
「取り敢えずギルドのある方に行ってみる?」
「はい。行きましょう!」
ゆっくりとお店を見ながら歩いていく。
普通の雑貨から魔法の道具や服の仕立て屋、薬屋、花屋、宝石店。
この辺りは暮らしの豊かな人が多いエリアなんだね。みんな何処となく気品がある。
大通りを少し入った所には青果店とか、食料品を扱っているお店がいっぱいあった。
珍しい物はないかなと少し寄り道。
リンゴとかオレンジとか慣れ親しんだ物から、それ本当に食べれるのって言ってしまいそうな毒々しい色をした果実まで揃っていた。
一通り見て、ギルドの方へ向かおうとした時、騒ぎが聞こえた。
「薄汚いガキが!ここはお前が来るような所じゃないぞ!」
「どうせスリでもするつもりで来たんだろう?構うことはない、痛めつけてやれ。」
なんだろう?
ユキさんと共に人集りがある所に行ってみる。
大人が4人、私よりも小さい男の子を殴る蹴るしていた。
「ひどいですね…。」
ユキさんが顔を顰める。
私は何を言うよりも先に輪の中に入って行った。
「やめてください!」
「なんだお嬢ちゃん。こんなガキを庇うのか?」
どう言ったら治められるだろう…?
「無抵抗の子供を大人4人で寄ってたかって、恥ずかしくないのですか?」
ユキさんが助け舟を出してくれる。
「コイツらはこの辺りのゴミを漁ったり、物を盗んだりするんだ。ここいらに近寄らないように教育してやってるんだ。」
「やり過ぎです。こんな小さな子供を…殺すつもりですか?」
「こんなどうしようもないガキは減った方が世の為だ。死んでしまっても誰も気にしないさ。」
「おい、何をやっている?」
衛兵さんが来てくれた。
「何って、コイツだよ。」
「ああ、やり過ぎて殺すなよ。片付けるのが面倒だ。」
何それ…。人の命をなんだと思ってるの?
「ミナさん、取り敢えずこの子を連れてこの場を離れましょう。」
「う、うん。そうだね。」
ユキさんが少年を立たせて私が回復魔法を掛ける。
「魔法を使うなんて勿体ない…。」
聞こえないフリをして少年の手を引いてこの場を立ち去った。
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