【R-18】17歳の寄り道

六楓(Clarice)

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第15章、千晴編

【7】台風の夜 *R18

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「……具合はどうなんだ」
「あ、もうすっかり……本当にすみません……」
「……そうか」

先生に抱き竦められながら、先生の首元で返事をする。
濡れた髪を撫でられ、先生は私から離れた。

「乾さないと風邪ひくぞ」

洗面台の前に連れて行かれて、ドライヤーを渡された。
まだ、貪るようなディープキスの余韻は残っていて、ドライヤーを抱えたまま突っ立っていると、先生は訝しげにコードをコンセントに差し込んだ。

「前を向け」

鏡の方を向くように言われ、温風が私の髪を乾かしていく。
先生が時折私の髪を指で分け散らしてくれた。

洗面台上の白磁器のトレイには、アフターシェーブローションと、ハンドソープしか置かれていない。
大きな鏡からは、私の背後に立つ男の姿が窺える。

8割ほど髪が乾いたところで、首だけを先生に向けて振り向き、つま先立ちをして唇を近づけた。
先生はドライヤーを止めて、発情した私を片手で容易に抱き寄せる。


鏡に全て映っている。


抱き締められて、先生に拙くしがみつき、淫らで少し乱暴なキスを受け入れる私の姿が。

大きな手でTシャツをめくり上げられ、立ったままショーツのサイドに指を掛けられた。
ノーブラだった私は、先生の前に、素肌を晒した。

蛍光灯が私と先生の肌を青白く照らす。
鏡越しに、先生の視線が私をギリリと鋭く突き刺してきた。


「お願い…続けて下さい、先生」

懇願すると、鏡に背を向けるように反回させられて、先生と向き合う形で抱き締められた。

「止まらなくなっても、後で泣くなよ」

耳元で告げられて、先生は私の前に跪く。
ショーツのサイドに掛けられていた指は先生の動きと同時に引き下ろされた。
小さな布が私の足首に掛かったまま、大きく片足を持ち上げられる。
先生は、開かれた秘密に唇を近づけて、下から私を強く見据える。

「どうしてほしい」

今、先生の視界に入っている。
あられもない姿で。

そこに熱い息が掛かって、ドキドキして、見ていられないのに、視線をそらせない。


「……先生がしたいように、………………んっ!」

すぐに秘密に舌を埋められ、太い指が緩急をつけて突起を優しく撫でる。
突然始められた卑猥な愛撫に、声を抑えながら、先生が離れて行かないように逞しい肩に手を掛ける。
先生が私を求めてくれるなら、猥褻な行為だって何だって、こんなに嬉しい事はない。

震えながら体をしならせると、太い指が中を掻き回し、耐えられないほど水音が続く。

「うあ、…あ、先生っ……」

8年前の体育倉庫で、毎週味わった密やかな快感。
懐かしい指。
もがいても、快感からは逃してもらえなくて、愛撫の終わりは先生次第だった。

それを思い出しながら絶頂の入り口が見えた時、ぬるりと指が離れた。

「や……っ」

イキそうだったのに。
先生らしい意地悪な愛撫に、唇を噛む。

再び鏡に向けさせられて、耳たぶを噛まれ、うなじを舐め上げられて、洗面に伏せさせられた。
先生にお尻を差し出すと、グレーのスウェットを大きく隆起させている先生の硬いものが、私の内腿の肌にぐりっと押し付けられた。

「っ…」

前のめりの姿で、数回ズボン越しに擦り付けられてますます唇を噛み締めた。
その後は衣擦れする音が背後から聞こえてくる。

先生のスウェットの音…?
きっと今、ズボンを下にずらして、そして……

このまま、挿れられちゃうのかな。
乱暴でも痛くても先生なら構わないけど、先生との初めては、顔を合わせて交わりたい。

「……あっ」

先生の熱い塊が、私の外側をぬるりと滑った。
私の滴りでぬるぬると暴れる藤田先生の屹立は、私の中に入ることはなく、狙っているかのように私の敏感な部分をかすり続ける。

「やっ、先生、……」

は、早く……。
早く、中に……!

「……足を閉じろ」
「えっ?」

先生は、驚く私の後ろから覆い被さるようにした。
閉じさせた腿の間を熱いものが何度も往復する。

先生とひとつになることを夢見ている私の体は、いつでも熱く憤ったそれを迎え入れる覚悟ができているのに、それを望んでいるのに――。
しかし、ついさっき絶頂の入り口にいた私は、先生の往復ですぐに引き上げられた。

「先生、やだ、いっちゃうよ……!」

全然入っていないのに、逞しい屹立の先で突起を刺激されてしまい、ひとつになれないまま先に果ててしまった。

脱力感で洗面に上半身を預けていると、先生の短い呻き声が聞こえる。
はっと意識が戻り振り向いた時には、Tシャツの上に先生の情欲が放たれていた。


「……すまない」

藤田先生は肩で息をしながら、私が着ていた汚れたTシャツを脱がせ、私の裸を見ないようにして新しい着替えをくれた。

何が起こったの、今…。
これ……素股……?
しかも、ふたりで達してしまったし……。


「ふ…ふふっ」

妙に冷静になって思わず笑い出したら、藤田先生は頭を掻きながら「俺も余裕ねえんだよ」と私に背を向けた。

「いい歳したオヤジだからな。いろいろ考えてるよ、これでも……」

珍しく弱気に呟くその背中を見ていたら――。
私は無意識に、先生の背中に抱きついていた。

なぜかわからないけど、勝手に涙が出る。
先生から好きだと言ってもらえたことは一度もないけど、そう言われているのと同じぐらい、胸が熱くなって、先生の背中にぴたりと引っ付いた。

グレーのスウェットが、私の涙を含んで濃く色づいた。



先生は私に広い背中を貸したまま、後ろを見る。
私がぎゅっと抱きついて離れないから、片手だけ後ろに寄越してぽんぽんと私の背中を叩く。

「少し休むか」と先生。
仄暗いダウンライトだけつけて、リビングにある大きなソファに二人で座った。

寝室のベッドを使いたいなら一人で使えと言われたけど、リビングのソファなら一緒にいてくれるらしい。
家にもメールを済ませ、サイレント設定にしてバッグに入れた。

先生の隣に座ったら、先生は私に目を合わさずに、話を始めた。



先生と奥さんは、私が翠学園を卒業した翌々年に離婚していた。
先生のお母さんは、その前の年に他界されていて、そこで先生と奥さんとの亀裂が決定的なものになったらしい。

「今は、見ての通りだ。実家を売った金でここを買って一人で住んでる。惇は、都内で暮らしてる」
「……先生が翠学園を辞めたのは…?」
「家内の父親が……翠学園の関係者だからだよ」

そうだったんだ。
胸がひりひりと痛み、嫉妬で息苦しい。

この夏で離婚して5年が経つそうだ。

「だから、ここに誰も帰ってくることはない。俺しか住んでないからな」

そう話す先生が寂しげに見えるのは気のせい?

「先生……私が先生のそばにいたらだめ?」
「……お前には、吉川とか倉谷君とか、同世代の男がいるだろう。何も好き好んで俺なんかといなくても」
「でも、私、どうしても先生がいいんです」
「…………発言には責任持てってさっきあれほど…」

先生は氷の溶けたグラスを飲み干して、ガラスのテーブルにコンと置いた。

「私は、嘘つきませんよ。発言に責任も持ってます。先生を裏切ったりしませんよ。誰かと……一緒にしないでください……」

言いながら涙が溢れて、先生が見えない。

「……何回好きだって言えば、私を信じてくれますか?」

少しの沈黙の後、先生の大きな体が近づき、私を強く抱いた。
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