ゴミ捨て場で男に拾われた話。

ぽんぽこ狸

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 セージは、ボクを閉じ込めるみたいに、顔の両側に手をついて、一見笑顔に見えるが、その奥のギラギラした欲望を隠しきれていないような表情で、ボクを見下ろす。

 今すぐにでも、ボクの中に、自分のものを突き入れて、腹の中のかき回したい。そんな欲求を隠しきれていない。ボクだって男なのだ、そういう欲求は理解できる。

 それは、目の前にそれをしていい相手がいると、割と我慢しづらいタイプの欲求であり、紳士的にふるまうのは、なかなかに難しいことが多い。けれど、この男は、一応は笑顔で取り繕うことが可能な程度には、理性を残しているらしい。

 こちらはすでにくたくたで、何度かイかされた気がするのに、いまだに、萎えないし、気持ちよく射精したいという欲求だってある。ここまで来て、勝ち負けなんかないとわかっていつつも、こんなに負け越しでいいのかなんて考える。

 セージは、ボクの頬に手を添えて、唇を重ねる。浅く呼吸をしていたボクの口に、舌を滑り込ませて、歯の裏をなぞって、舌に舌を絡めて吸い上げ、唾液が混ざる。ボクらの吐息はどちらも酒気を帯びていて、それだけでまた、ひどく酔っぱらってしまいそうなほど、深くキスを重ねて、同じ空気を吸う。

 キスの合間に吸う空気だけでは、足りなくて次第に酸素が足りなくなり、顔に血が上るような苦しさが体を包む。けれども、それは心地いい苦しさで、頭がくらくらして、彼の舌がボクの口内を凌辱するのが余計にはっきりと感じられる。

「っ。……ふ、……ン」

 いつの間にか、ボクの頭は両手でがっしり抑えられていて、一切の身動きが取れない。こんなに固定されなくとも、この苦しいキスはそんな気をそいでしまうぐらい、気持ちの良い苦しさで、ボクのかセージのかわからないまま、混じりあう二人分の荒い吐息。粘膜同士が触れ合う感覚。頭の中で響くような、水音。

 長すぎるキスをして、やっと満足したのか、もう、どちらのものかもわからない唾液が銀糸を引いて、彼が離れていく。

「……はあ、……、……」

 ふと、眩しい光に少し目を細める。どうやら本格的に日が昇ってきたようで、カーテンの隙間から差し込んだ朝日が目に染みた。

「泣きやんだね。もう少し頑張ってね。ユキ」

 セージの方へと視線を戻すと、彼はこの期に及んでまだボクの後孔をほぐす気らしい。そのまま挿れられるものだと思っていたのに、とんだ拍子抜けだ。

 そんなボクの考えとは裏腹に、優しくまた指が突き入れられるが、今度は、存外すんなりと入る。軽く抽挿されれば、甘ったるく気持ちがよくて、足が震える。

「ぁ。……う、く、……はっ、」

 脳がしびれて、嬌声を漏らすたびに、中の指の動きが鮮明に感じられて、先ほどと同じ優しい手つきに言い表せないような心地を覚える。

 ……挿れたい、って、顔、してたよな。ぜったい。

 荒く呼吸をしながらも考える。この男がどんな奴なのか。

 そもそも、ボクは、ゲイでもなんでもないし、男は……まあ、女でもだけど、基本、人が嫌いだ。だから、抱いて嬉しいだとか、抱かれて嬉しい相手とかそういうのは一切わからない。せいぜい、気持ちいいだけで、セックスなんてそんなものだと思う。

 そんな、気持ちいい以外は取り柄の無い行為に多くの人間は相手を選り好みする。理由は、相性があるから。だから、皆こんな女がいいだとか、そんな話ばかりするのだろうな、なんて思っていたのだ。

 そして、ボクは選り好みされる側だった。女性にモテないし、こちらだって興味がない。だから、不自由もなかったのだが。この男に抱かれていると、ああなるほどと、思ってしまう。




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