13 / 75
13
しおりを挟むセージは、ボクを閉じ込めるみたいに、顔の両側に手をついて、一見笑顔に見えるが、その奥のギラギラした欲望を隠しきれていないような表情で、ボクを見下ろす。
今すぐにでも、ボクの中に、自分のものを突き入れて、腹の中のかき回したい。そんな欲求を隠しきれていない。ボクだって男なのだ、そういう欲求は理解できる。
それは、目の前にそれをしていい相手がいると、割と我慢しづらいタイプの欲求であり、紳士的にふるまうのは、なかなかに難しいことが多い。けれど、この男は、一応は笑顔で取り繕うことが可能な程度には、理性を残しているらしい。
こちらはすでにくたくたで、何度かイかされた気がするのに、いまだに、萎えないし、気持ちよく射精したいという欲求だってある。ここまで来て、勝ち負けなんかないとわかっていつつも、こんなに負け越しでいいのかなんて考える。
セージは、ボクの頬に手を添えて、唇を重ねる。浅く呼吸をしていたボクの口に、舌を滑り込ませて、歯の裏をなぞって、舌に舌を絡めて吸い上げ、唾液が混ざる。ボクらの吐息はどちらも酒気を帯びていて、それだけでまた、ひどく酔っぱらってしまいそうなほど、深くキスを重ねて、同じ空気を吸う。
キスの合間に吸う空気だけでは、足りなくて次第に酸素が足りなくなり、顔に血が上るような苦しさが体を包む。けれども、それは心地いい苦しさで、頭がくらくらして、彼の舌がボクの口内を凌辱するのが余計にはっきりと感じられる。
「っ。……ふ、……ン」
いつの間にか、ボクの頭は両手でがっしり抑えられていて、一切の身動きが取れない。こんなに固定されなくとも、この苦しいキスはそんな気をそいでしまうぐらい、気持ちの良い苦しさで、ボクのかセージのかわからないまま、混じりあう二人分の荒い吐息。粘膜同士が触れ合う感覚。頭の中で響くような、水音。
長すぎるキスをして、やっと満足したのか、もう、どちらのものかもわからない唾液が銀糸を引いて、彼が離れていく。
「……はあ、……、……」
ふと、眩しい光に少し目を細める。どうやら本格的に日が昇ってきたようで、カーテンの隙間から差し込んだ朝日が目に染みた。
「泣きやんだね。もう少し頑張ってね。ユキ」
セージの方へと視線を戻すと、彼はこの期に及んでまだボクの後孔をほぐす気らしい。そのまま挿れられるものだと思っていたのに、とんだ拍子抜けだ。
そんなボクの考えとは裏腹に、優しくまた指が突き入れられるが、今度は、存外すんなりと入る。軽く抽挿されれば、甘ったるく気持ちがよくて、足が震える。
「ぁ。……う、く、……はっ、」
脳がしびれて、嬌声を漏らすたびに、中の指の動きが鮮明に感じられて、先ほどと同じ優しい手つきに言い表せないような心地を覚える。
……挿れたい、って、顔、してたよな。ぜったい。
荒く呼吸をしながらも考える。この男がどんな奴なのか。
そもそも、ボクは、ゲイでもなんでもないし、男は……まあ、女でもだけど、基本、人が嫌いだ。だから、抱いて嬉しいだとか、抱かれて嬉しい相手とかそういうのは一切わからない。せいぜい、気持ちいいだけで、セックスなんてそんなものだと思う。
そんな、気持ちいい以外は取り柄の無い行為に多くの人間は相手を選り好みする。理由は、相性があるから。だから、皆こんな女がいいだとか、そんな話ばかりするのだろうな、なんて思っていたのだ。
そして、ボクは選り好みされる側だった。女性にモテないし、こちらだって興味がない。だから、不自由もなかったのだが。この男に抱かれていると、ああなるほどと、思ってしまう。
17
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる