12 / 75
12
しおりを挟むたっぷりの、潤滑剤でゆるくほぐされて、軽く引き抜かれて少し楽になっても、また否応なしに深く押し込まれる。
「ふ、うぅ……、く、っ……、っつ。……は、ぁ」
「可愛いね。あはは、すごく良い、やっぱり君を拾って正解だったな」
「かっわい、く……な、い、ひっ、ぁ、」
「かわいいよ。前、触らなくていいの?すこし、つらいでしょ」
すこし、ほぐれてきたのか、指がすんなりと動き始める。くちゅくちゅなんて音を立てながら、指が抽挿されて、挿れられるときには、お腹の奥まで重たい圧迫感が支配して、引き抜かれるときには、電気でも流されたときみたいに背中を伝う快感に似たようなものが走って、声が漏れる。
これで自分のものなんて弄ったら、すぐにイってしまうし、絶対に何か変な癖がつく。それがわかるくらいわかりやすい快感で、ボクが女だったらきっと、こんな風に指で快楽を引き出されることに何の躊躇もなかったのだろうと思う。
「っ、い、いい、から。……別に、はっ、きもちっよく、なくても。いい、し……っ」
「そう?……そうだね。……なら」
セージは少し体勢を変えて、自分の胡坐のうえにボクの腰を乗せて、再度、指を突き入れる。
「あっ、っ」
「ここ気持ちよくなるように、してみようかな」
今までの押し広げるような動きとは違い、浅い部分をかき回すみたいにして、くにくにとボクの中をまさぐる。
「な、に、っして、う。セージ、っつ」
「君のいいところ、探してるんだよ。前触るのは嫌みたいだから」
「っ、はぁ。いやとかじゃ、ないけど、っ!」
「そうかな?あはは、ユキは天邪鬼だね。かわいい」
先ほどよりも、後孔をいじりやすい体勢になってしまっているようで、セージはくるくると方向を変えながら、中をひっかくようにして動かす、さっきのように直線的に動かされるのとは違って、あからさまに主張する、他人の指は、快楽を引きずり出すのと同時に、恐怖を覚える。
「ひっあ!や、やだっ。う、うぅ、なか、そんな」
「ン。ごめんね、ちょっと我慢ね。ユーキ」
彼は、ニコニコ笑みを浮かべながらボクの中をかき回す。
圧迫感でお腹は苦しいし、自分の意図せずに動かされる指は、目の前の彼の手だとわかっていても、何かボクをいじめるためだけの怖い生き物でも腹の中にいるようで、普段、排泄するときみたいに、力んでみても全く抵抗にならない。
下半身の位置が高くなっているせいで、頭に血が上って、酔いに目が回る。暴れようと思うのに、体はセージに少し中をかき回されるだけで簡単に主導権を失って、声を漏らして、びくびく震えるだけの、人形みたいになってしまう。
「やだっ、う、っ、セージっ、は、……ぁ、~、……。ひゃっ!!」
「ここか、意外と浅いね」
セージの冷静な声は耳には届かず、急に与えられた激しい快楽に体は痙攣し、視界には白いものがちらちら飛んでいた。ボクの性器は、はじけそうなくらい、そそり立って主張したままで、達したわけでも無いのに余韻が響いて腰が震える。
「ここ、覚えてね」
その言葉とともに、なぜかひどく感じるその場所をぐっと押し込まれて、思わず声を漏らす。
「ああっ!!はあっ!あ、う、っ~。や、だ、セージ、やだ」
「もしかして、ドライできてるのかな。あーあ、すごいね。あはは、ほんとかわいい」
足首をつかまれて、気持ちいい部分をコリコリと、弄ぶように触られて、体ががくがくと震え、涙が頬を伝う。
「や、ああっ!っつ~!!は、うう。かは、ひぃっ」
「……泣いちゃったか…………ごめんね。ちょっといじめすぎたかな」
ボクの足はプルプル震えていて、ずる、と指が引き抜かれる。それにすら、敏感になっている体は快楽を拾って、「あう」と短い声を漏らす。
16
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる