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先輩と僕の試験前週間

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 今日もお昼ごはんは先輩とお弁当を交換して二人で食べている。僕にとってはこれ以上ない幸せな時間だけど、先輩は少し浮かない顔だ。原因はきっと、来週初めにある学年末試験だろう。
「いずるくんはさぁ、勉強とかしてるの?」
「まあ、そこそこには」
 先輩に成績表を見てもらうような機会に巡り合った時、恥ずかしくない位の点数は取るつもりでいるし、なによりもしも先輩が僕に勉強を教えてほしいなんて頼ってくれた時に期待に応えるためにも、先輩の苦手な数学の公式と英語の単語と文法は、たとえ来年習うはずの2年のテスト範囲であろうと暗記済みだ。もちろん、今回のテスト範囲だけに絞って覚えたし、期末試験が終わればあっさり忘れてしまうつもりだけど。
「そっかぁ、そうだよねー」
 先輩は眉間に皺を寄せながら苦悩しているようだ。けれど、その顔のこわばりが僕の作ったおかずを一口食べる毎にふにゃっと和らいで「おいしい!」と笑顔に変わっていくのが嬉しくて、なにより誇らしい。
 先輩とこうして一緒に話しながら食べる時間が、僕の何よりの宝物だ。


 あーあ、さすがに赤点なんて取ったら先輩としての威厳が保たれないよなぁ。
 勉強はあまり好きじゃない。できることならやりたくないし、テストなんてまっぴらごめんで、平均点とか見るのも嫌だ。だって、勉強してない自分の自業自得だとは分かっているけれど、他の人と比べてあなたはこれだけ出来ていないんですよと点数で示されるのは、正直しんどい。でも今回は、先輩としていずるくんに自慢できるくらいの成績を取りたいとも思っていて、サボってばかりもいられない。はずなのに、どうしても家に帰ると勉強する気になれなくて、もう来週に試験は迫っていた。
 いままでテスト期間なんて私にとっては名前だけで、ただのテストが近いだけの普通の日だったけど、テストで良い点取りたいんだったら、やっぱり今日からでもちゃんと勉強したほうがいいのかなぁ。
 そういえばいずるくんって、成績どのくらいなんだろう。学年も違うし、別に成績表を見せ合うような仲でもないからよく知らないけど、いずるくんは何でもそつなくこなすイメージがあるから、勝手に成績も悪くないものだと思っている。いいなぁ、いずるくんは。きっとそんなに勉強しなくても良い点取れちゃうタイプの人なんだろうな。
 そう思ったらなんだか途端に悔しくなって、今日は家で一回だけでも机に向かって教科書を開こうと心に誓った。

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