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6章 ドラマ撮影編

サイン会 3

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「えっ!桃ちゃんと美柑さん!?」
「おはようございます!夏目様!」
「おはー!」

 何故か先頭に桃ちゃんと妹の美柑さんがいた。

「当選したのでサイン会に来ちゃいました!サイン書いてください!」

 そう言って桃ちゃんが写真集を俺に渡す。

「まさか知り合いに会うとは思わなかったよ」
「私は夏目様のファンですから!サイン会に来るのは当然のことです!」

 そんな話をしながら慣れた手つきでサインを書く。

「そういえばマスクとかしてないけど大丈夫なのか?」

 桃ちゃんはモデル業界では有名なので変装した方がいいと思い声をかけたが「それなら大丈夫ですよ」と桃ちゃんが言う。

「今、私たちの周囲にいる人全員、雨宮財閥の関係者ばかりなので、スキャンダル等に発展しないよう釘は刺してますよ」
「………へ?全員?」
「はい。強いて言うなら関係者でないのは夏目様のマネージャーである矢上さんだけです。なのでここにいる人たちが私たちのスキャンダル写真を撮ったりすることはありません」
「………」

(恐るべし、雨宮財閥)

「って、それよりも夏目様との時間がなくなってしまいます!」
「あ、そうだった!あと何秒ありますか?」
「あと15秒です!」

 俺の質問に矢上さんがすぐ答えてくれる。

「あと15秒あるけど何を……」
「ツーショット写真です!」
「あ、はい」

 食い入るように返答した桃ちゃんが流れるように矢上さんへスマホを渡し、俺に近づいてくる。

「では撮りますよー!」
「はいっ!」

 俺も写真を撮るため桃ちゃんに近づくと…

「えいっ!」

 “ふにゅっ!”とバカみたいに柔らかい感触を右腕に感じる。

(#\@&%っ!)

 突然のことで変な声を脳内で上げる。
 その瞬間、“パシャっ!”とシャッター音が鳴り響く。

「あははっ!リン様、超テンパってるよ!」
「ふふっ、可愛いですね」

 矢上さんから見せられた写真を見て2人が笑う。

「ちょっ!今のは……」
「夏目様!この写真、大切にしますね!」
「っ!」

 桃ちゃんが振り返りざま満面の笑みを見せる。

「あ、あぁ。で、できれば消してほしいけど……」
「ふふっ、ぜーったい消しませんよ」

 そう言って妖艶な笑みを浮かべる桃ちゃんに俺は見惚れてしまう。

「では私は時間になりましたので美柑に夏目様を譲ります。また一緒にツーショット写真を撮りましょうね!」
「あ、あぁ。またな、桃ちゃん」

 俺は見惚れていたことを悟られないよう、なんとか返答した。
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