123 / 163
6章 ドラマ撮影編
サイン会 2
しおりを挟む
サイン会当日となる。
今回、某デパート内にある書店を貸切って行うこととなっており、俺は矢上さんと寧々の3人で向かった。
「おぉー!サイン会って感じだね!」
寧々がデパート内に飾られた『夏目凛 サイン会!!』と書かれた垂れ幕をみて、感嘆の声を上げる。
「今日はデパートで働く職員がフル出勤してるらしいですよ。サイン会のサポートに加え、サイン会に訪れた方々がデパート内で買い物することを想定して」
「確かに相乗効果としては期待できますね」
今回、当選した方たちは時間が決められており、「10時~11時まで」等、人数の振り分けを行っている。
そのためサイン会までの時間を潰す人が大勢現れるはずだ。
そんな話をしながら俺はずっと気になっていたことを問いかける。
「それで一つ聞きたいんですが……」
「なんでしょうか?」
「……なんで開店1時間前にも関わらず大勢の人が並んでるんですか?」
俺はデパートの入り口で発生している大行列に視線を向けつつ問いかける。
開店前ということで裏口にあった職員通用口からデパート内に入ったため、入り口前にできていた大行列に気づかなかった。
「あ、その人たちはサインを書いている凛さんを遠目から見ようとしてる人たちですね」
「つまりお兄ちゃんを生で見ようとしてる人たちだよ!」
「……な、なるほど。でも確か今回のサイン会って規制線みたいなのを敷くから当選した人以外、俺を見ることなんて無理なんじゃないですか?」
「その通りです。サイン会を行っている様子を周囲から眺める事ができるようにすれば大混乱は間違いないですから。でも……何故かたくさんの方たちが来ちゃったんですよねぇ。当選者以外の方は凛さんを見ることができないと告知したのに」
「みんな暇人かよ」
ファンの行動力に天晴れをあげたい。
「規制線、強化しないとダメみたいですね」
「さすがお兄ちゃん!事前の準備だけじゃ物足りないみたいだね!」
「そんなんで褒められても嬉しくねぇよ」
そんな会話をしつつ、俺たちはサイン会場へ向かった。
サイン会場へ到着し、準備をしてくれたスタッフたちへ挨拶をしながら控え室へ到着する。
「矢上さん。ここにいるスタッフ全員が女性だったんですが男性のスタッフはいないんですか?」
「いませんね。全員が女性スタッフです」
「………」
(男手とか必要ないんだろうか)
「良かったね、お兄ちゃん!今日は一日中若い女の子に囲まれるね!」
寧々の発言通り、サイン会のスタッフは皆若い女の子ばかり。
スタッフの採用条件に『若い女性のみ』と書かれていたのではないかと疑いたくなるレベルだ。
「おかげで挨拶周りしただけで大変な目に遭ったけどな」
サイン会の準備に奮闘してくれた女性スタッフたちに感謝の気持ちを込めて笑顔で「ありがとう」と伝えただけで再起不能となった女性が多発した。
「なぜ女性ばかりになったんですか?男手は必要になると思うのですが……」
「もちろん男手は必要です。なのでサイン会の会場作りはキツイ思いをしながらやり遂げたと聞きました」
「見るからに重そうなテーブルや棚がありますからね」
これらを女性陣だけで運んだとなればかなり大変だっただろう。
「仕方ありませんよ。サイン会のスタッフを募集したら女性しか集まらなかったので。しかも募集人数の何百倍もの応募数がありましたから。まさかスタッフ決めまで抽選を行うとは思いませんでした」
「………なんかごめんなさい」
何故か申し訳なさを感じ、矢上さんへ謝る。
「当選しなかった人たちがお兄ちゃんを一目見ようと応募したみたいだね。だからサインをお願いされても簡単に引き受けたらダメだよ?スタッフ全員に書くことになるから」
「わ、わかった」
そんな会話をしながら開始時間が来るまでのんびり過ごした。
開始時刻である10時前となる。
俺は用意された椅子に座り開始時間が訪れるのを待つ。
今回のサイン会は来場してくれた方が俺と会う前に増刷された写真集を購入し、購入したばかりの写真集へ俺が直筆でサインするという流れだ。
「午前は10時から12時まで。1時間休憩を挟み、13時から17時までサイン会を行います。予定では720名が来られます。計6時間、頑張ってください!」
「ありがとうございます」
隣でストップウォッチを持っている矢上さんから励ましの言葉をもらい、俺は前を見る。
そのタイミングで10時となり、ダーっと人が会場に入ってくる。
その様子を眺めていると…
「えっ!桃ちゃんと美柑さん!?」
「おはようございます!夏目様!」
「おはー!」
何故か先頭に桃ちゃんと妹の美柑さんがいた。
今回、某デパート内にある書店を貸切って行うこととなっており、俺は矢上さんと寧々の3人で向かった。
「おぉー!サイン会って感じだね!」
寧々がデパート内に飾られた『夏目凛 サイン会!!』と書かれた垂れ幕をみて、感嘆の声を上げる。
「今日はデパートで働く職員がフル出勤してるらしいですよ。サイン会のサポートに加え、サイン会に訪れた方々がデパート内で買い物することを想定して」
「確かに相乗効果としては期待できますね」
今回、当選した方たちは時間が決められており、「10時~11時まで」等、人数の振り分けを行っている。
そのためサイン会までの時間を潰す人が大勢現れるはずだ。
そんな話をしながら俺はずっと気になっていたことを問いかける。
「それで一つ聞きたいんですが……」
「なんでしょうか?」
「……なんで開店1時間前にも関わらず大勢の人が並んでるんですか?」
俺はデパートの入り口で発生している大行列に視線を向けつつ問いかける。
開店前ということで裏口にあった職員通用口からデパート内に入ったため、入り口前にできていた大行列に気づかなかった。
「あ、その人たちはサインを書いている凛さんを遠目から見ようとしてる人たちですね」
「つまりお兄ちゃんを生で見ようとしてる人たちだよ!」
「……な、なるほど。でも確か今回のサイン会って規制線みたいなのを敷くから当選した人以外、俺を見ることなんて無理なんじゃないですか?」
「その通りです。サイン会を行っている様子を周囲から眺める事ができるようにすれば大混乱は間違いないですから。でも……何故かたくさんの方たちが来ちゃったんですよねぇ。当選者以外の方は凛さんを見ることができないと告知したのに」
「みんな暇人かよ」
ファンの行動力に天晴れをあげたい。
「規制線、強化しないとダメみたいですね」
「さすがお兄ちゃん!事前の準備だけじゃ物足りないみたいだね!」
「そんなんで褒められても嬉しくねぇよ」
そんな会話をしつつ、俺たちはサイン会場へ向かった。
サイン会場へ到着し、準備をしてくれたスタッフたちへ挨拶をしながら控え室へ到着する。
「矢上さん。ここにいるスタッフ全員が女性だったんですが男性のスタッフはいないんですか?」
「いませんね。全員が女性スタッフです」
「………」
(男手とか必要ないんだろうか)
「良かったね、お兄ちゃん!今日は一日中若い女の子に囲まれるね!」
寧々の発言通り、サイン会のスタッフは皆若い女の子ばかり。
スタッフの採用条件に『若い女性のみ』と書かれていたのではないかと疑いたくなるレベルだ。
「おかげで挨拶周りしただけで大変な目に遭ったけどな」
サイン会の準備に奮闘してくれた女性スタッフたちに感謝の気持ちを込めて笑顔で「ありがとう」と伝えただけで再起不能となった女性が多発した。
「なぜ女性ばかりになったんですか?男手は必要になると思うのですが……」
「もちろん男手は必要です。なのでサイン会の会場作りはキツイ思いをしながらやり遂げたと聞きました」
「見るからに重そうなテーブルや棚がありますからね」
これらを女性陣だけで運んだとなればかなり大変だっただろう。
「仕方ありませんよ。サイン会のスタッフを募集したら女性しか集まらなかったので。しかも募集人数の何百倍もの応募数がありましたから。まさかスタッフ決めまで抽選を行うとは思いませんでした」
「………なんかごめんなさい」
何故か申し訳なさを感じ、矢上さんへ謝る。
「当選しなかった人たちがお兄ちゃんを一目見ようと応募したみたいだね。だからサインをお願いされても簡単に引き受けたらダメだよ?スタッフ全員に書くことになるから」
「わ、わかった」
そんな会話をしながら開始時間が来るまでのんびり過ごした。
開始時刻である10時前となる。
俺は用意された椅子に座り開始時間が訪れるのを待つ。
今回のサイン会は来場してくれた方が俺と会う前に増刷された写真集を購入し、購入したばかりの写真集へ俺が直筆でサインするという流れだ。
「午前は10時から12時まで。1時間休憩を挟み、13時から17時までサイン会を行います。予定では720名が来られます。計6時間、頑張ってください!」
「ありがとうございます」
隣でストップウォッチを持っている矢上さんから励ましの言葉をもらい、俺は前を見る。
そのタイミングで10時となり、ダーっと人が会場に入ってくる。
その様子を眺めていると…
「えっ!桃ちゃんと美柑さん!?」
「おはようございます!夏目様!」
「おはー!」
何故か先頭に桃ちゃんと妹の美柑さんがいた。
199
お気に入りに追加
1,259
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした
恋狸
青春
特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。
しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?
さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?
主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!
小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
カクヨムにて、月間3位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
男がほとんどいない世界に転生したんですけど…………どうすればいいですか?
かえるの歌🐸
恋愛
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。
主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。
ここでの男女比は狂っている。
そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に恋を楽しんだり、学校生活を楽しんでいく。
この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この作品はカクヨムや小説家になろうで連載している物の改訂版です。
投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。
必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。
1話約3000文字以上くらいで書いています。
誤字脱字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる