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3章 大学入学編

雨宮桃華との仕事 5

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~雨宮桃華視点~

「よーし、じゃあ凛くんは畳の上に座ってる雨宮さんを後ろから抱きしめて。良い写真だったらこれを表紙にするから」

 そう言われ、私の背後にいる夏目様が動く。

「で、できるだけ触らないようにしますので……」

 そう言って私の肩に手を置いた夏目様が優しく私を抱きしめる。
 すると、私の中で幸せな気持ちが溢れてくる。

(妄想の中の夏目様より手が大きいですね。それに温もりを感じます)

 妄想よりも幸せを感じ、私の顔は赤くなる。
 そんな私たちをカメラマンが撮影していく。

「うん、とても良いぞ。初々しいカップルみたいだ」

(カ、カップル!?)

 その言葉に私の心臓が跳ねる。

「よし、凛くん。次はその姿勢のまま雨宮さんの頬に頬ずりしてくれ」
「わ、分かりました」

 監督の指示を受けた夏目様が私の左頬に自分の頬をくっつける。
 そしてスリスリし始める。

(あわわわっ!)

 先程よりも更に密着された私は心の中で大パニックが起きる。

(な、夏目様が私の頬にっ!ど、どうしましょう!もう一生顔を洗いたくないのですが!)

 そんなアホなことを考えてしまう。

(こ、こんなこと妄想の中の夏目様はしてくれませんでした!ど、どうしましょう!ニヤニヤが止まりませんっ!)

 味わったことのない夏目様の動きに、私の表情は緩みっぱなし。

(な、舐めてました。イチャイチャしつつ夏目様をメロメロにできる最高の時間と思ってましたが……夏目様をメロメロにする余裕なんてありません!)

 当初の予定では、夏目様の顔を見て『ふふっ、顔が赤くなってますよ?』とか言って年上の余裕を見せたかったが、それどころではない。
 夏目様の顔を見る余裕なんてないし、私の顔の方が赤くなっている自信がある。

 しばらく、心の中でパニックに陥っていると、監督から新しい指示が出る。

「よし、これくらいでいいだろう。次は2人がくっ付いて座っているところを撮りたい」

 とのことで私に抱きついていた凛くんが手を放す。

(あっ……)

 突然温もりを失った私は寂しさに襲われる。
 しかし、すぐに夏目様が私の左隣に座る。
 そして私の身体に密着してくる。

(こ、これは幾度となく妄想してきたシチュエーションですが……おかしいです!全然、心に余裕が生まれません!)

 夏目様と隣同士で密着するところは何度も妄想してきたが、やはり妄想と現実は違うらしい。
 ものすごく幸せを感じ、夏目様を堕とすためのアプローチができない。

「よし。じゃあ、雨宮さん。凛くんの肩に頭を乗せてくれ」
「は、はいっ!」

 監督から指示をもらった私は夏目様の右肩に頭を乗せる。

(はわわわっ!な、夏目様の肩に頭を乗せてしまいました!長年やってみたかったことの1つが叶いました!)

 そのことに心の中でテンションが上がる。
 すると、監督から更なる指示が入る。

「次に凛くんは雨宮さんの右肩に触れて雨宮さんを自分の身体に引き寄せろ」
「わ、分かりました」
「っ!」

 監督の指示に心臓が跳ねる。

(そ、それは妄想の中の夏目様もしてくれなかった行為!そ、そんなことが現実で……)

 そう思い、心の中でプチパニックを起こしている私の肩を夏目様が触れる。
 そしてグッと引き寄せる。

「~~~っ!」

 今まで経験したことのない行為に私の顔は真っ赤になる。

(な、夏目様が私の身体を……し、幸せ過ぎます……)

 心の底から幸福感が湧き起こり、私の顔は緩みきってしまう。
 そんな私たちをカメラマンが連写する。

「見て、雨宮さんの顔。絶対、リン様に恋してるよ」
「雨宮さん、超可愛いっ!リン様にデレデレっ!」
「いいなぁーっ!私もリン様からあんなことされたいよっ!」

 そんな会話が聞こえないほど、私は幸せに浸った。
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