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2章 芸能界復帰編

天才、夏目凛との出会い 3

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~愛甲真奈美視点~

 しばらく凛くんの腕の中で泣き続けた私は、顔を凛くんの身体に埋めた状態で問いかける。

「凛くん、1つ聞いても良いかな?」
「ん?どうした?」

 凛くんが私の頭を撫でながら返答する。

「私が芸能活動を辞めず活動を続けたら、私のことを見てくれる?」
「もちろんだ。俺、真奈美の演技や歌が好きだからな」

 凛くんは堂々と私に言う。

「そ、そうなんだ……」

 その返答を聞いて嬉しくなる。

「なら私、芸能活動を辞めない!」
「ホントか!?」
「うんっ!凛くんが私のことを見てくれる限りね!」

 そう言って私は凛くんから離れる。

「ありがと!凛くんっ!私、どんなに辛いことがあっても、絶対に芸能活動を辞めない!凛くんが私を見てくれる限り、絶対に辞めないから!だから、凛くん!一緒に芸能活動を頑張ろうね!」
「あぁ!真奈美も頑張れよ!」

 私の言葉に凛くんが笑顔で応えてくれた。



 その日以降、私は今まで以上に芸能活動に精を出した。
 周りからの評価なんか一切気にせず、凛くんからの声援だけを力に頑張ってきた。

「真奈美!昨日より表情が良かったぞ!練習したのか!?」
「うんっ!鏡の前でずーっと練習したんだ!」
「やるなぁー、真奈美!俺も負けてられないぞ!」

 そんな感じで凛くんと切磋琢磨しながら活動していた私は、お母さんからのキツイ練習にも耐えることができ、演技力や歌唱力も上達した。

「真奈美。今日の演技、良かったじゃない。監督も褒めてたわ」
「うん!でも、まだまだ頑張らないと!凛くんに不甲斐ない演技を見せるわけにはいかないからね!」
「ふふっ、そうね。ほどほどに頑張るのよ」

 すると、お母さんから褒められることが増え、昔みたいに怒られることは無くなった。
 むしろ、頑張りすぎてる私のストッパーになってくれた。

「うんっ!ご飯まで部屋で練習してくるよ!」
「えぇ。頑張ってね。大好きな夏目くんから褒められるためにね」
「お、お母さん!?」
「あら違うの?」
「~~~っ!へ、部屋で練習してくるからっ!」

 そして、昔みたいに怖いお母さんじゃなくなった。



 あれから月日が経ち、私と凛くんが小学6年生となる。
 そんなある日のこと。

 凛くんと共演したドラマの撮影中、凛くんのお母さんが亡くなったという話を聞いた。
 その日以降、凛くんの演技に以前のような輝きがなくなった。

「凛くん……今の演技……」
「ごめん。真奈美の足を引っ張ってしまったな。真奈美は完璧な演技をしてたのに、俺が不甲斐ないせいで何度も撮り直してしまって……」
「ううん!凛くんは悪くないよ!私が監督の要望に応えることができてないから何度も撮り直したんだよ!」

 私はそう言うが、凛くんの表情は晴れない。

「ありがとう。やっぱり真奈美は優しいな。俺、これからも真奈美のこと応援してるから、頑張れよ」

 そう言って凛くんは私のもとから立ち去る。



 その日を最後に凛くんが芸能活動をすることはなかった。
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