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2章 芸能界復帰編
真奈美の決意
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~愛甲真奈美視点~
時は現代に戻り、『おっしゃれ~イズム』の収録が終わった後。
私はシャロンの運転で家に帰っていた。
「お嬢様、よろしかったのですか?」
「んー?なにがー?」
運転中のシャロンが私に問いかける。
「凛様と連絡先を交換するだけで。大好きな彼とキスくらいしても良かったと思いますよ?」
「キ、キスは早すぎるよっ!」
私は顔を赤くしてシャロンに言う。
「冗談です。でも、告白はしても良かったと思います。長年、凛様のことを想い続けているのですよね?」
「うん。私は凛くんのことが好きだよ。約6年間、凛くんだけを想い続けてる」
「その間、会いたいとは思わなかったのですか?」
シャロンが当然の質問をしてくる。
「もちろん何度も思ったよ。凛くんに会いたい。会って話がしたいって。でも、凛くんを励ますことができなかった私にそんな資格はない。だから、会う資格を取ってから会うって決めたんだ」
「会う資格……ですか?」
「うん。私はね、凛くんが引退してからも活動を頑張った。凛くんからの声援を直接聞けなくても頑張ってきたんだ。理由は凛くんに会う資格を獲得するため」
「その会う資格とは一体、なんなのですか?」
シャロンが私に問いかける。
「それはね。私も日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を取ることだよ」
凛くんは小学5年生の時、『マルモのおきてだよ』で日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞した。
だから私も、凛くんと同じ賞を取るまで会わないと決めた。
「なるほど。その資格を獲得するために、凛様とお会いできなくても頑張れたのですね」
「うんっ!凛くんに会って『凛くんのおかげで受賞することができたよ!』って伝えるために今まで頑張ってきたんだ!」
凛くんが引退した時はかなりのショックを受けた。
でも、私はすぐに前を向いた。
たとえ直接会うことができなくても、声を聞くことができなくても、凛くんは私のことを応援してくれるって思ったから。
「凛様は幸せ者ですね。こんなにもお嬢様から想われてるのですから」
「ふふっ、想いの大きさなら誰にも負けない自信があるよ!だって6年だもん!」
この6年間は凛くんのことだけを想い続けて頑張ってきた。
辛いレッスンも、凛くんに会うためと思えば全然辛いとは思わなかった。
それくらい凛くんのことが好きだ。
「でも、お嬢様。受賞する前に凛様とお会いしてしまいましたよ?」
「うっ!」
シャロンからの指摘に言葉が詰まる。
「だ、だって凛くんの写真を見たら会いたくなったもん!凛くんと昔みたいに一緒に頑張りたかったもんっ!」
私は顔を赤くして弁明する。
当初、受賞するまで会うつもりはなかった。
凛くんの表紙を見た時、また一緒に仕事できるといいなぁとは思ったが、それは私が受賞してからの話。
私が賞を受賞するまで、できる限り共演もしない予定だった。
でも、写真を見る度に会いたい気持ちが強くなり、もう一度、昔みたいに切磋琢磨しながら芸能活動を頑張りたいと思うようになってしまった。
「なるほど。写真一つで6年間我慢できてたことができなくなったのですね」
「う、うるさいよ!でも告白はしなかったもん!これは私を褒めていいと思うよ!」
凛くんが想像以上にカッコよかったので、何度も告白しそうになったが。
「私からすれば告白の一つや二つ、してもよかったと思いますが……」
「だ、ダメだよ!告白は私が優秀主演女優賞を取るまでしちゃダメなんだよ!」
これは絶対に破ってはいけない。
会う資格のない私が、優秀主演女優賞を受賞する前に会ってしまった。
その罰として私は受賞するまで告白しないことを決めた。
そのことを私はシャロンに熱弁する。
「はぁ。お嬢様がなにを考えて受賞するまで告白しない決断をされたかは分かりませんが、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なにかな?」
「凛様から告白された場合はどうされるのですか?」
「凛くんから告白されたら……」
そう質問され、私は凛くんから告白されたシチュエーションを想像する。
『好きだよ、真奈美。俺と付き合ってくれ』
「~~~っ!」
そのことを想像するだけで、私の顔は耳まで真っ赤になる。
「………これは受け入れそうですね」
そんな私を見て、シャロンが呟く。
「う、うるさいよ!と、とにかく、私は昔みたいに凛くんと一緒に芸能活動を頑張る!そして、優秀主演女優賞を受賞して凛くんに告白するんだ!」
「分かりました。お嬢様の目標が叶えられるよう、微力ながらお手伝いさせていただきます」
「ありがと!シャロン!」
私は笑顔でシャロンに感謝を伝えた。
【2章完結】
時は現代に戻り、『おっしゃれ~イズム』の収録が終わった後。
私はシャロンの運転で家に帰っていた。
「お嬢様、よろしかったのですか?」
「んー?なにがー?」
運転中のシャロンが私に問いかける。
「凛様と連絡先を交換するだけで。大好きな彼とキスくらいしても良かったと思いますよ?」
「キ、キスは早すぎるよっ!」
私は顔を赤くしてシャロンに言う。
「冗談です。でも、告白はしても良かったと思います。長年、凛様のことを想い続けているのですよね?」
「うん。私は凛くんのことが好きだよ。約6年間、凛くんだけを想い続けてる」
「その間、会いたいとは思わなかったのですか?」
シャロンが当然の質問をしてくる。
「もちろん何度も思ったよ。凛くんに会いたい。会って話がしたいって。でも、凛くんを励ますことができなかった私にそんな資格はない。だから、会う資格を取ってから会うって決めたんだ」
「会う資格……ですか?」
「うん。私はね、凛くんが引退してからも活動を頑張った。凛くんからの声援を直接聞けなくても頑張ってきたんだ。理由は凛くんに会う資格を獲得するため」
「その会う資格とは一体、なんなのですか?」
シャロンが私に問いかける。
「それはね。私も日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を取ることだよ」
凛くんは小学5年生の時、『マルモのおきてだよ』で日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞した。
だから私も、凛くんと同じ賞を取るまで会わないと決めた。
「なるほど。その資格を獲得するために、凛様とお会いできなくても頑張れたのですね」
「うんっ!凛くんに会って『凛くんのおかげで受賞することができたよ!』って伝えるために今まで頑張ってきたんだ!」
凛くんが引退した時はかなりのショックを受けた。
でも、私はすぐに前を向いた。
たとえ直接会うことができなくても、声を聞くことができなくても、凛くんは私のことを応援してくれるって思ったから。
「凛様は幸せ者ですね。こんなにもお嬢様から想われてるのですから」
「ふふっ、想いの大きさなら誰にも負けない自信があるよ!だって6年だもん!」
この6年間は凛くんのことだけを想い続けて頑張ってきた。
辛いレッスンも、凛くんに会うためと思えば全然辛いとは思わなかった。
それくらい凛くんのことが好きだ。
「でも、お嬢様。受賞する前に凛様とお会いしてしまいましたよ?」
「うっ!」
シャロンからの指摘に言葉が詰まる。
「だ、だって凛くんの写真を見たら会いたくなったもん!凛くんと昔みたいに一緒に頑張りたかったもんっ!」
私は顔を赤くして弁明する。
当初、受賞するまで会うつもりはなかった。
凛くんの表紙を見た時、また一緒に仕事できるといいなぁとは思ったが、それは私が受賞してからの話。
私が賞を受賞するまで、できる限り共演もしない予定だった。
でも、写真を見る度に会いたい気持ちが強くなり、もう一度、昔みたいに切磋琢磨しながら芸能活動を頑張りたいと思うようになってしまった。
「なるほど。写真一つで6年間我慢できてたことができなくなったのですね」
「う、うるさいよ!でも告白はしなかったもん!これは私を褒めていいと思うよ!」
凛くんが想像以上にカッコよかったので、何度も告白しそうになったが。
「私からすれば告白の一つや二つ、してもよかったと思いますが……」
「だ、ダメだよ!告白は私が優秀主演女優賞を取るまでしちゃダメなんだよ!」
これは絶対に破ってはいけない。
会う資格のない私が、優秀主演女優賞を受賞する前に会ってしまった。
その罰として私は受賞するまで告白しないことを決めた。
そのことを私はシャロンに熱弁する。
「はぁ。お嬢様がなにを考えて受賞するまで告白しない決断をされたかは分かりませんが、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なにかな?」
「凛様から告白された場合はどうされるのですか?」
「凛くんから告白されたら……」
そう質問され、私は凛くんから告白されたシチュエーションを想像する。
『好きだよ、真奈美。俺と付き合ってくれ』
「~~~っ!」
そのことを想像するだけで、私の顔は耳まで真っ赤になる。
「………これは受け入れそうですね」
そんな私を見て、シャロンが呟く。
「う、うるさいよ!と、とにかく、私は昔みたいに凛くんと一緒に芸能活動を頑張る!そして、優秀主演女優賞を受賞して凛くんに告白するんだ!」
「分かりました。お嬢様の目標が叶えられるよう、微力ながらお手伝いさせていただきます」
「ありがと!シャロン!」
私は笑顔でシャロンに感謝を伝えた。
【2章完結】
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