異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想

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Ⅰ-69 第4迷宮攻略準備

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■第4迷宮の池

 大型のジェットボートは波の無い水面を滑るように走っていく。中央にある島に上陸する前に、左回りに周回して手榴弾を水の中へ落としながら島と迷宮を観察する。

「ミーシャ、サリナ、島にいる魔獣を見つけたら全部やっつけといて」
「わかったー!」

 サリナから元気の良い返事と、ミーシャからはアサルトライフルの発射音で返事があった。炎と銃弾で殲滅されていく巨大ワニやオオトカゲを横目で見ながら、迷宮の壁と上陸ポイントを探していく。だが、上陸できそうな場所はすぐに見つかったが、島を一周しても直径が10メートル程のケーキのような形をした迷宮の壁には入り口は見つからない。念のためもう一周したが、やはり横から入れる入り口は見つからなかった。潜る入り口なのか?それとも上から入る入り口なのか?いずれにせよ、上陸して確認するしか方法は無いようだ。

 上陸ポイントと目星をつけた場所に船首を向けてから船尾にアンカーを放り投げた。水底に錨が掛かったことを確認して、ゆっくりとボートを浅瀬に乗り上げていく。船底がゴリゴリと水底をこすり出したが、無視して強めに船を進めた。ボートの前部がしっかりと乗り上げたことを確認して、船首に結んだロープを持って浅瀬に飛び降りた。

 岸辺はサリナに焼き払われた水草と銃弾を浴びたワニやトカゲが転がっていた。船のロープを近くの立ち木に結んでから周囲を観察する。危険な魔獣は見あたらないので、アサルトライフルを構えて迷宮の壁に近寄っていくと、目の前にある迷宮の土壁は高さ3メートルほどだった。時折見つけるワニとトカゲに掃射を浴びせながら土壁の周りを一周したが壁にも地面にも入れそうな隙間は見つけられない。

 アルミ製のハシゴを取り出して、右手にサブマシンガンを持ったまま土壁を登っていくと壁は厚さが1メートルぐらいあるが天井は無かった。壁のから下を覗くと巨大な井戸のような物であることがわかる。底まではかなり高さがある・・・、何度も言うが俺は高いところが嫌いだ。腰が引けた状態で暗い底を覗き込んでいると、床がうねうねと波打っていいるのが見えてきた。想像はついたが、念のために発炎筒を2本下まで落として確認すると、見えてきたのは蛇の床だった。床までは高さも30メートル程あるようだが、円形の床からは横に向かう開口部が7箇所見えている。

 とりあえず爆破しとくか?そうも思ったが、奥からまた沸いてくるなら意味は無いと考え直して、今日の偵察を終了することにした。

「上はどうなっているのだ?」

 ハシゴから降りてくると、ミーシャが尋ねてきた。

「大きな井戸みたいな感じで深いところまで掘られている。今日はそろそろ日が暮れるから、近くで野営して明日また来ることにしよう」

「そうだな、その方が良いだろう。この島に野営するのか?」

 確かにこの島なら走る恐竜のリスクは無いだろうが池の中のやつが気になる。

「いや、南に移動して適当な場所を探そう。池を囲んでいる陸地は東側に大きく広がっているから、さっきの恐竜が居るかもしれないし、南の湿原まで戻った方が安全だと思う」

 ボートを繋いでいるロープを解いて乗り込み、船尾からアンカ-ロープを3人で引っ張ってボートを岸辺から引きずり出した。ボートを南の岸に向けて走らせながら、来た時と同じように手榴弾を投げ込んでいく。水面には既に気絶した魚がたくさん浮いているが、残念ながら大きな口のヤツは見当たらなかった。

 池から上陸した岸辺でエアボートに乗り換えて、湿原の水路と陸地を乗り越えながら南へ10分程進むと、ちょうどよさそうな陸地が見つかった。周りの魔獣たちを二人に掃討してもらいながら、キャンピングカーを陸地の中央に呼び出す。湿原の陸地は柔らかい地面と硬い地面が入り組んでいるのだが、車を出した場所は重さに十分耐えられる硬さがあった。

 サリナとミーシャにキャンピングカーのシャワールームを使わせて、俺もストレージでシャワーを浴びた。今日は一日中運転手だったが、飛んでくる羽虫が顔にぶつかって気持ち悪かった。それに、ボートに乗っているとかなり振動があるので体も疲れを感じている。今日も早めの食事で明日の攻略に備えて早寝早起きで行くことにしよう。

 ストレージから出ると、ミーシャがドライヤーで髪を乾かしている。残念ながら使い方を覚えてしまったので、俺が乾かしてやる必要は既になくなっていた。相変らず美しいが無用心だ、バスタオルを巻いたままの姿で背中を向けて立っている。おそらく下には何も着ていない、いや、履いていない。どうも、この世界の恥じらいは現世の日本とは違うようだ。裸を見られてもあまり気にしない。気にしているのはどうやら俺だけのようだ。シャワールームから出て来たサリナも全裸で前だけをバスタオルで隠している。

-お尻が丸見えでっせ!

 美しいエルフが仕上がって行くところを眺めながら、夕食の用意にとりかかる。食器類を先に並べて、野菜サラダ、野菜スープ、ブロッコリー入のマカロニグラタンを並べた。こいつらの好みに合わせると肉食獣になりそうなので、野菜重視の日にしてみた。明日の迷宮探索が無事に終って、焼肉を食わせれば帳尻が合うはずだ。

「今日はいつもより葉っぱの多い食事なの?」

 食い始めるとすぐにサリナが気付いたようだ。

「ああ、お前は特に野菜を食べた方が良いぞ。このままだとブタになるからな」
「ぶた!? サリナはヒトだからブタにはならないの!」
「たとえ話だ、ブタのように太るって意味だ」
「でも、サリナはもっと食べて、もっと大きくならないといけないって、お兄ちゃんから言われてるもん!」
「確かに背が伸びるのは良いが、伸びずに横にだけ大きくなったらどうするんだ?肉ばかり食ってると、横にしか大きくならないぞ」
「横にしか・・・? ダメー!! それは嫌だから葉っぱも食べる!!」

 なんとか意見の一致を見たようだ。だが、こいつの体重管理よりも明日の迷宮攻略をどうするかを考えないといけない。構造的には全てをミーシャ様に任せたいところだが、さすがにそれは無理だ。だとすると、あの30メートルぐらいある井戸の底まで降りなければならないが・・・、高いところは大嫌いだ。でも仕方が無い、タブレットで検索すると縄梯子なら30メートルの物が見つかった。これを使って降りることにしよう。念のために登山用品も見繕って・・・、心配性の俺は様々な道具をストレージ内に並べておくことにした。
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