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挿話 (ガブリエルside)
出会い⑥ (挿話……ガブリエルside)
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翌日、ガブリエルはロメリアに呼び出され公爵邸へ足を踏み入れた。
「ようこそおいでくださいました、ガブリエル様」
折り目正しいメイド達に案内された場所は、客室ではなく庭園。「日光に当たるとすぐに肌が赤くなってしまうから、あまり外には出たくないの」と言っていたはずの彼女が、今日はどうして庭に出ているのか。僅かな疑問を抱きながら、案内されるままに歩く。
さすが公爵邸というべきか。庭はひたすらに広く、小舟の浮かぶ泉のような池まである。それらを無感動に眺めながら池の周囲を周り、奥まで歩を進めると、そこに日傘を差したロメリアが佇んでいた。大きな花木を眺めている。紫色の花が、はらりはらりと彼女の差すレースの傘に振り落ちた。
花の雨の中で佇むロメリアの表情は、キラキラと無邪気に輝いている。
「お嬢様……ガブリエル様が参られました」
ぱっとロメリアが振り返ると、同時に傘からはらりとまた紫の花が落ちた。それに構わず、彼女はガブリエルに近づくとぐいぐいとその腕を引っ張る。
「ねえ、すごいでしょう?綺麗でしょう?やっと咲いたのよ」
いつもは、自分のことを「可愛いと思うか」「美しいと思うか」と聞くばかりの彼女が、花木を眺めていつもの調子で問うことを、少し可笑しいと思いながら、ガブリエルは素直に頷いた。
するとロメリアが不服そうに頬を膨らませる。
「なによ。私のことはちっとも綺麗って褒めない癖に」
つまらなそうに花木を見上げて「どう見ても私の方が可愛いし、綺麗よ」と呟く彼女に、ガブリエルはずっと疑問に思っていたことを口にしていた。
「……どうしてそんなに、美しいと言われたいんだ?……君はもう十分その言葉をもらっているだろう」
静かな問いかけに、落ちる沈黙。紫の花だけが時間の経過を教えるようにはらりと目の前を舞い落ちる。
「……」
いつもはなんでもハキハキと自信満々に答えるロメリアにしては珍しい。彼女は傘の柄をぎゅぅと握りしめて、顔を伏せてしまった。
しばらく待っても返事は返ってこない。
そんなにも答えづらい質問をした覚えはなかった。ただ「美しい」と褒めない自分に対して意地になっているだけだと。
だから彼女が「あなたに美しいと言って欲しいからよ」といつものようにはっきりと口にするのを、ガブリエルは待った。
しかし、何かを決するように顔を上げた彼女の表情からは、いつもの自信も傲慢さも抜け落ちていた。
そこに佇むのは、頬を真っ赤に染める純真無垢な少女。
今のロメリアにそれ以上に相応しい言葉はなかった。
「ようこそおいでくださいました、ガブリエル様」
折り目正しいメイド達に案内された場所は、客室ではなく庭園。「日光に当たるとすぐに肌が赤くなってしまうから、あまり外には出たくないの」と言っていたはずの彼女が、今日はどうして庭に出ているのか。僅かな疑問を抱きながら、案内されるままに歩く。
さすが公爵邸というべきか。庭はひたすらに広く、小舟の浮かぶ泉のような池まである。それらを無感動に眺めながら池の周囲を周り、奥まで歩を進めると、そこに日傘を差したロメリアが佇んでいた。大きな花木を眺めている。紫色の花が、はらりはらりと彼女の差すレースの傘に振り落ちた。
花の雨の中で佇むロメリアの表情は、キラキラと無邪気に輝いている。
「お嬢様……ガブリエル様が参られました」
ぱっとロメリアが振り返ると、同時に傘からはらりとまた紫の花が落ちた。それに構わず、彼女はガブリエルに近づくとぐいぐいとその腕を引っ張る。
「ねえ、すごいでしょう?綺麗でしょう?やっと咲いたのよ」
いつもは、自分のことを「可愛いと思うか」「美しいと思うか」と聞くばかりの彼女が、花木を眺めていつもの調子で問うことを、少し可笑しいと思いながら、ガブリエルは素直に頷いた。
するとロメリアが不服そうに頬を膨らませる。
「なによ。私のことはちっとも綺麗って褒めない癖に」
つまらなそうに花木を見上げて「どう見ても私の方が可愛いし、綺麗よ」と呟く彼女に、ガブリエルはずっと疑問に思っていたことを口にしていた。
「……どうしてそんなに、美しいと言われたいんだ?……君はもう十分その言葉をもらっているだろう」
静かな問いかけに、落ちる沈黙。紫の花だけが時間の経過を教えるようにはらりと目の前を舞い落ちる。
「……」
いつもはなんでもハキハキと自信満々に答えるロメリアにしては珍しい。彼女は傘の柄をぎゅぅと握りしめて、顔を伏せてしまった。
しばらく待っても返事は返ってこない。
そんなにも答えづらい質問をした覚えはなかった。ただ「美しい」と褒めない自分に対して意地になっているだけだと。
だから彼女が「あなたに美しいと言って欲しいからよ」といつものようにはっきりと口にするのを、ガブリエルは待った。
しかし、何かを決するように顔を上げた彼女の表情からは、いつもの自信も傲慢さも抜け落ちていた。
そこに佇むのは、頬を真っ赤に染める純真無垢な少女。
今のロメリアにそれ以上に相応しい言葉はなかった。
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