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番外編①
シモンの回想……16歳
しおりを挟む──……まあ!ご立派に成長なさって……背も伸びていらっしゃる。あのように凛々しくあられるなら、婚約者が出来る日もきっと近いでしょうね
──……そうだなあ。あれほどの器量をお持ちで、人柄も優れていると評判もたてば、婚約の話が国内外から舞い込むのも時間の問題だろう。いや、すでに国内では婚約の申し込みをしていない令嬢なんていないのかな?あはははははは
──……やはり国内だと、教養深く、異国後にも造詣のある子爵家のローズ様とか。
──……いやいや、やはり器量も見劣りしない伯爵家の令嬢がいいだろう。以前お目にかかったがなかなかの美人であられた。
──……ただ美人なだけでは駄目よ……。あれほどの方なら聡明と名高い隣国の王女様の眼にも止まるのではないかしら。
と周囲は次から次へと令嬢達の名前を挙げていく。そんな会話を聞いていたルーベンがまるで自分の息子の縁談話でも聞いたかのごとく鼻高らかに「へっへん」と笑った。
「なぜお前が得意そうなんだ?」
「だってほら、彼らが今『天使だ、神だ、女神だ』って誉めそやしてる子のさ、子供の頃のひどい泣き顔を知ってる俺らってすごいと思うだろう?」
と訳の分からないことを言う。
「泣き顔を知ってるから何だ?」
「え、うーん……知ってるからどうって訳じゃないけど。え?お前どうしちゃったの?なんでそんな不機嫌なの?」
もごもごと口を動かすルーベンに構わず、エリスに視線を戻す。
エリスも、もう16歳。
恋人や婚約者がいても全く可笑しくない……むしろいない方が不思議がられる年齢だ。自分が16歳だった時のことを考えると、本当にエリスは真っ新だと言える。興味本位で行った娼館に入り浸るだの、言い寄ってくる婦人達と危ない駆け引きをしてみるだの……若い頃はとにかく無垢とは縁遠い事ばかりしていた自分にはあの子はあまりに綺麗すぎて、本当にどうしてこんな歳をくっている男を好きになってしまったのか甚だ疑問だ。
だがもう、心はそんな疑問を振り切って動いている。エリスが18になり学園を卒業するまでは、彼の成長のためにも今のままの関係で良いと思っているが……正直言って、余裕がない。このままでは大人げなくあの子の気持ちを繋ぎとめるために、再現なく甘やかしてしまいかねない。
せめて、せめて18歳になるまで……。
と、呪文のように頭の中で唱えていると隣から「お、お前なんでそんな目据わってんの!怖い!」と本気で恐ろしがられた。
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