婚約者が愛していたのは、私ではなく私のメイドだったみたいです。

古堂すいう

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友人

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婚約パーティーを終えた翌日。

ミレーユは熱を出した。心労が祟ったのだとミレーユは理解していたが、心配する父母の前でそんなことは言えない。

父母はまだ知らないのだから。

あれほど信頼していたアランが、何と公爵邸で特に可愛がっていたメイドと浮気しているだなんて。知ったら母は嘆くだろうし、父は自らの見る目のなさに絶望するだろう。

(それでも……アランと結婚なんて絶対にしたくないわ!)

ミレーユは熱に浮かされながらもそんなことばかりを考えていた。

自らの治癒を鑑みず、そんなことばかり考えるせいで、熱の引く気配はなかなか鎮まらない。

ついには、二度と顔など見たくないと思っていたアランまでもが屋敷に見舞いに来てしまい、自らの身が嘆かわしいやら、愚かしいやらでミレーユはうめき声と共に自らの現状を密かに嘆いた。

「ミレーユ……大丈夫かい」

(大丈夫なわけないでしょ。あなたのせいだっていうのに!っていうか、何なのよこの状況)

ミレーユの嘆く状況とは、つまりこの部屋にミレーユと、アラン。そしてエリーしかいないような状況のことだ。しかもアランは、ミレーユが熱を出して朦朧としていることをいいことに、エリーに熱い視線を送っている。エリーもまんざらではなさそうな様子でそっと、ミレーユの様子を伺うふりをして、アランの膝に置かれた手にわざとらしく手をかすめてみせる。アランは堪らなくなったのか、かすめたエリーの手をいやらしく撫でた。

(見えてるわよって言ってやろうかしら)

ミレーヌの腹の中はぐつぐつと煮えるかのように熱くなっていた。

(エリーって……あざとかったのね。ほんと、一応とはいえ、人の婚約者に対してこんなことするなんてね。最低!)

まさか自分の見舞いをだしに2人がイチャつく様子を見せられることになるとは……

(もう、この際だからすぐにお父様に言って、婚約破棄してもらおうかしら……)

弱った心でこんなことを考えたら駄目だということは分かっているけれど、変な欲なんて出さずにこの際早くすっきりしたい……とも思う。

(でも、こんなムカつくんだから、もっとむごい方法で2人を暗闇のどん底に突き落としたいのよ……って、これじゃ私が悪女みたいじゃないの)

ミレーユは不貞腐れるようにして布団を深く被った。

(駄目。今は自分のことを卑下してる場合じゃないわ。今は、エドモンドの言った通りにして、できるだけ長くこの2人を苦しめてやらないと)

ミレーユは意を決して布団から顔を出し、薄く開けた目をぱっちりと開いて、アランを見つめた。
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