Campus・Case(キャンパス・ケース)番外編追加しました!

紫紺

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File No. 94 気絶しそうな告白

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 どさくさに紛れて、僕はとんでもないことを口走ったようだ。

『好きだっ! 僕は竜崎のことが好きなんだよ!』

 ていうか、確信犯だよな。竜崎に無事に会えたら、自分の気持ちを言うんだって固く決意してたんだ。突然その場になって、僕は人生最強の興奮状態にあったんだ。

 ――――言うよな。時限爆弾のスイッチ入っちゃったんだもん。

 しばらくして、僕は我に返った。例えば、いつか『さっさと解決しちゃえば』なんて心にもないことを言った時は、別の意味で滅茶苦茶落ち込んだけど。
 今回は真の真実をぶっちゃけた。そう、まさにぶっちゃけたんだ。だからこそ恥ずかしくてどうしていいかわからない。

 静けさに沈んでいたさっきとは打って変わって、今はサイレンと刑事や警察官の大声が飛び交っている。いつの間にか、もの凄い人数が集まってた。

 僕はまだ竜崎の腕の中にいる。今や身の置き場が他になくてくっついているんだ。もちろんとても落ち着くしこのまま離れたくない。けど、彼の顔を見るのが恥ずかしくて離せないのも事実だ。

「ああ、田代さんたちも間に合ったか」

 僕の頭の上で、竜崎がそう呟いた。竜崎はまだ何も言わない。僕をどうやって見つけたのか。何故風見刑事と一緒だったのか。
 僕の絶叫についても『うん、わかった』だけだ。でも……ふいに耳元に顔が近づいてきて。

「俺もさ、俺も……藍のこと好きだよ」

 確かにそう聞こえた。ぎゅっと抱きしめられたまま、僕はもう、気絶するかと思った。



「菅田教授のおかげだよ。彼があの場所を教えてくれたんだ。若い頃、登山好きがよく使う貸別荘があったと。でも、割と賭けだった。入間教授たちが上淵沢インターで降りたとしても安心できなかったしな」

 僕は1度病院に行くことになって救急車に乗せられた。竜崎も付き添いで同乗してる。
 ストレッチャーに乗せられた僕の手を握りながら、病院に着くまでの間、竜崎は教えてくれた。僕が教授に連れ去られたことはすぐにわかったとのこと。偶然彼の愛車をカフェ近くで見かけたのだそうだ(その時の僕は、スタンガンで気絶してトランクに放り込まれてた)。
 それですぐ、風見刑事に連絡して合流した。

「教授は行動観察……つまり張り込まれてたってことだ。それがまんまと撒かれててさ。けど今の時代、防犯カメラや監視カメラがそこら中にあるからね。すぐに見つかった」

 けれど、竜崎はその追跡に遅れを取っていた。そこで、菅田教授から聞いた場所に先回りする選択をしたのだという。

「正攻法は田代さん達に任せて、俺は逆転を狙ったんだ。カッコよく藍の前に現れたかったからな」

 なんてウィンクを投げてきた。こんなこと言ってるけど、竜崎のことだ。実は勝算があったに違いない。

「でも、インターから地元のパトカーが駆けつけてくれたから助かったよ。あの別荘地、思ったより広くて」

 救急車の中は、消毒薬の匂いがして乗り心地はびっくりするほど悪かった。
 けど、僕の目を見て話す竜崎の瞳は優しさがあふれ出すほどで。地獄から天国への急転で僕は感じたことのない幸福感の中にいた。気が付くと頬に涙が伝っていく。

「大変な目にあったな。もう、安心だから……」

 竜崎の大きな手が僕の涙を拭う。キャンパスを揺るがした二つの殺人事件はようやく終わったのだ。多分、竜崎の中では。
 僕にしてみれば、なにがどうしてこうなって、入間教授と吉川准教授が犯人だったのか、なんで僕を拉致したのか、全然わかっていなかった。


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