100 / 113
File No. 94 気絶しそうな告白
しおりを挟むどさくさに紛れて、僕はとんでもないことを口走ったようだ。
『好きだっ! 僕は竜崎のことが好きなんだよ!』
ていうか、確信犯だよな。竜崎に無事に会えたら、自分の気持ちを言うんだって固く決意してたんだ。突然その場になって、僕は人生最強の興奮状態にあったんだ。
――――言うよな。時限爆弾のスイッチ入っちゃったんだもん。
しばらくして、僕は我に返った。例えば、いつか『さっさと解決しちゃえば』なんて心にもないことを言った時は、別の意味で滅茶苦茶落ち込んだけど。
今回は真の真実をぶっちゃけた。そう、まさにぶっちゃけたんだ。だからこそ恥ずかしくてどうしていいかわからない。
静けさに沈んでいたさっきとは打って変わって、今はサイレンと刑事や警察官の大声が飛び交っている。いつの間にか、もの凄い人数が集まってた。
僕はまだ竜崎の腕の中にいる。今や身の置き場が他になくてくっついているんだ。もちろんとても落ち着くしこのまま離れたくない。けど、彼の顔を見るのが恥ずかしくて離せないのも事実だ。
「ああ、田代さんたちも間に合ったか」
僕の頭の上で、竜崎がそう呟いた。竜崎はまだ何も言わない。僕をどうやって見つけたのか。何故風見刑事と一緒だったのか。
僕の絶叫についても『うん、わかった』だけだ。でも……ふいに耳元に顔が近づいてきて。
「俺もさ、俺も……藍のこと好きだよ」
確かにそう聞こえた。ぎゅっと抱きしめられたまま、僕はもう、気絶するかと思った。
「菅田教授のおかげだよ。彼があの場所を教えてくれたんだ。若い頃、登山好きがよく使う貸別荘があったと。でも、割と賭けだった。入間教授たちが上淵沢インターで降りたとしても安心できなかったしな」
僕は1度病院に行くことになって救急車に乗せられた。竜崎も付き添いで同乗してる。
ストレッチャーに乗せられた僕の手を握りながら、病院に着くまでの間、竜崎は教えてくれた。僕が教授に連れ去られたことはすぐにわかったとのこと。偶然彼の愛車をカフェ近くで見かけたのだそうだ(その時の僕は、スタンガンで気絶してトランクに放り込まれてた)。
それですぐ、風見刑事に連絡して合流した。
「教授は行動観察……つまり張り込まれてたってことだ。それがまんまと撒かれててさ。けど今の時代、防犯カメラや監視カメラがそこら中にあるからね。すぐに見つかった」
けれど、竜崎はその追跡に遅れを取っていた。そこで、菅田教授から聞いた場所に先回りする選択をしたのだという。
「正攻法は田代さん達に任せて、俺は逆転を狙ったんだ。カッコよく藍の前に現れたかったからな」
なんてウィンクを投げてきた。こんなこと言ってるけど、竜崎のことだ。実は勝算があったに違いない。
「でも、インターから地元のパトカーが駆けつけてくれたから助かったよ。あの別荘地、思ったより広くて」
救急車の中は、消毒薬の匂いがして乗り心地はびっくりするほど悪かった。
けど、僕の目を見て話す竜崎の瞳は優しさがあふれ出すほどで。地獄から天国への急転で僕は感じたことのない幸福感の中にいた。気が付くと頬に涙が伝っていく。
「大変な目にあったな。もう、安心だから……」
竜崎の大きな手が僕の涙を拭う。キャンパスを揺るがした二つの殺人事件はようやく終わったのだ。多分、竜崎の中では。
僕にしてみれば、なにがどうしてこうなって、入間教授と吉川准教授が犯人だったのか、なんで僕を拉致したのか、全然わかっていなかった。
19
あなたにおすすめの小説
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
本気になった幼なじみがメロすぎます!
文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。
俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。
いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。
「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」
その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。
「忘れないでよ、今日のこと」
「唯くんは俺の隣しかだめだから」
「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」
俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。
俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。
「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」
そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……!
【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる