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竜崎慎の事件メモ その6
しおりを挟む藍が拉致され、俺は文字通り生きた心地がしなかった。
あの交差点で入間教授のレクサスを見た時、嫌な予感が沸点まで上がったのは間違いじゃなかった。と言うか、あの瞬間、もし見逃していたら、風見刑事にあそこまで強硬に主張できたかわからない。
まあ、その前に、拉致される前に行ってれば……俺が遅刻せずにカフェに着いてればあんな恐ろしいめを藍に合わせることなく、彼らを逮捕することができたのに。
そう思うと悔やまれる。藍がフラッシュバックに苦しめられるようなことがないよう、しっかり守ってやらないと。
しかし結果論ではあるけれど、藍の言動が彼らの拙攻を産み、逮捕を早めたのは間違いない。意外に藍は名探偵? だったのかな。
本人が意図しないってのが一番凄い。ただ、無事だったからいいけど、もし当てが外れてとんでもないところに連れ去られてたらおしまいだった。
いや、それは考えるのも恐ろしいので想像しないでおこう。
塩谷教授が去った後、入間教授に残されたライバルは菅田教授だけになった。あまり気にかける必要がないくらい学部長選挙に興味のない人だったけれど、入間教授には常に彼の存在が頭にあっただろう。
だから藍の連れ去り場所としてあの、菅田教授と縁のある別荘地になったのは必然だったんだ。俺はそれに賭けたわけだが、ギャンブルではあったな。
それと、やはり今のNシステムは心強い。インター降りてからが心配だったが、それも地元警察が頑張ってくれたおかげで助かった。なにより、そこまで生きててくれたことに俺は全身全霊で感謝するよ。
『竜崎が好きなんだよっ』
あの夜、生きてる藍を抱きしめることができた俺は、感動と安堵で胸がいっぱいだった。だから突然藍に告白され、さすがに面食らってしまった。どう返答していいのかわからなくなって。
『ああ、そうか。うん、わかった』
みたいなアホな受け答えをしてしまった。
周りが騒然とするなか、入間教授と吉川准教授が逮捕された。この事件も終わったんだなあと、他人事のように眺めているうちに、俺の心も落ち着いていった。
俺はその時まで、藍を好きとか嫌いとか、あまり考えていなかったんだ。ただ、大事な存在で、そばに置いておきたくて、誰にも渡したくなくて……。
風見刑事の車の中では、絶対に無事に助けるんだと気持ちを奮い立たせていた。
――――藍……。
俺の腕の中にある温もり。羅を抱きしめながら、俺はようやくわかったんだ。
「ああ、俺もさ、俺も、藍のことが好きだよ」
自分の心の中を探るなんてしたことなかった。けど、俺はずっと自分でも不思議に思っていた感情の正体がようやくわかったんだ。そう、俺は藍が好きだったんだ。
こうして、事件は解決し、藍との関係も一階段上ることができた。ただ、事件に関して、俺はまだ気になっていることがあった。
塩谷教授のパソコンにあったという秘密フォルダ。入間教授と吉川准教授のラブラブ写真はどうやってあのパソコンの中に置かれたのか。
普通に考えれば塩谷教授が本人か誰かに依頼して写真を撮らせ、自分で保存した。
――――だが、そうとは限らない。本人が写真を撮るには労力の負荷が高く、依頼者がいるにしては、その存在が全く出てこないのがおかしい。
依頼したなら、見返り(代金)が必要なのに、その証拠がどこにもないのだ。
『つかみどころがないけど、野心家だって言われた』
俺はいつぞやの藍との会話を思い出す。それがこの事件の、俺にとって最後の捜査になった。
―――☆☆☆ーーー
※竜崎慎の事件簿はこれでおしまいです。
解決編は、本編「エピローグ2」で!
ありがとうございました!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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