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麦茶
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こう暑い日々が続くと、冷えた飲み物が飲みたくなる。
私の小さい頃は、冷蔵庫に置かれている飲み物といえば牛乳か麦茶の二択だった。
となれば、喉を潤すのは自然と麦茶であった。
市販のお茶のパックを沸かしたお湯に浸けてお茶用のポットに入れて冷蔵庫に冷やしておく。特に何の変哲もないどこにでもある麦茶だ。
それを外から帰ってきた時、なんとなく喉が渇いた時などにコップに注いで飲む。これが夏の風物詩であった。
しかし同じ麦茶で同じ製法であるにもかかわらず、どういうわけか家によって微妙に味が違う。この家はこんな味だな、あの家はちょっと香りが違うな、と感じながら、やっぱり我が家のお茶が一番だと落ち着くのだ。
あれは何故なんだろう。不思議だ。
こんなこともあった。
ある日、私がいつものように喉を渇いたので、いつものように冷蔵庫からお茶のポットをとり、いつものようにコップに目一杯注いだ。
そうして意気揚々と口に運んでみると……。
「ブホッ!」
思わず吐き出してしまった。
なんと中に入っていたのは「麺つゆ」だった。
なんでもその日は夕飯をそうめんにする予定だったのでお茶用のポットに入れて冷やしていたらしい。
だが事情を知らない人から見たら、お茶用のポットに入れているのだからそれはお茶にしか見えない。いわゆる「バイアス」がかかった状態で見えるのだ。もはや無差別である。
さすがに麺つゆを飲んだ、など恥ずかしくて言えないし、夕飯に使う物を勝手に飲んだことがバレたら何を言われるかわからない。
という事で私は無言でその麺つゆの入ったお茶のポットを冷蔵庫に戻した。
その後の夕飯まで様子を見たが、お茶について文句を言う人は誰一人いなかった。どういうわけか、麺つゆを飲んだのは私だけだったようだ。ぐぬぬ。
あれから時も流れて、麦茶を作る事もすっかり無くなってしまった。
お茶が欲しくなればペットボトルのものをいつも買って済ませてしまう。
お茶のパックを買えば安く済むんだろうが、沸かす手間とか考えるとめんどくさくて結局作らない。
そんなわけで私はわざわざ市販の誰が作ったか知らないペットボトルだか缶だかに入った麦茶を飲んで思うのだ。
やっぱりあの頃飲んだ麦茶が一番だったなあ、と。
私の小さい頃は、冷蔵庫に置かれている飲み物といえば牛乳か麦茶の二択だった。
となれば、喉を潤すのは自然と麦茶であった。
市販のお茶のパックを沸かしたお湯に浸けてお茶用のポットに入れて冷蔵庫に冷やしておく。特に何の変哲もないどこにでもある麦茶だ。
それを外から帰ってきた時、なんとなく喉が渇いた時などにコップに注いで飲む。これが夏の風物詩であった。
しかし同じ麦茶で同じ製法であるにもかかわらず、どういうわけか家によって微妙に味が違う。この家はこんな味だな、あの家はちょっと香りが違うな、と感じながら、やっぱり我が家のお茶が一番だと落ち着くのだ。
あれは何故なんだろう。不思議だ。
こんなこともあった。
ある日、私がいつものように喉を渇いたので、いつものように冷蔵庫からお茶のポットをとり、いつものようにコップに目一杯注いだ。
そうして意気揚々と口に運んでみると……。
「ブホッ!」
思わず吐き出してしまった。
なんと中に入っていたのは「麺つゆ」だった。
なんでもその日は夕飯をそうめんにする予定だったのでお茶用のポットに入れて冷やしていたらしい。
だが事情を知らない人から見たら、お茶用のポットに入れているのだからそれはお茶にしか見えない。いわゆる「バイアス」がかかった状態で見えるのだ。もはや無差別である。
さすがに麺つゆを飲んだ、など恥ずかしくて言えないし、夕飯に使う物を勝手に飲んだことがバレたら何を言われるかわからない。
という事で私は無言でその麺つゆの入ったお茶のポットを冷蔵庫に戻した。
その後の夕飯まで様子を見たが、お茶について文句を言う人は誰一人いなかった。どういうわけか、麺つゆを飲んだのは私だけだったようだ。ぐぬぬ。
あれから時も流れて、麦茶を作る事もすっかり無くなってしまった。
お茶が欲しくなればペットボトルのものをいつも買って済ませてしまう。
お茶のパックを買えば安く済むんだろうが、沸かす手間とか考えるとめんどくさくて結局作らない。
そんなわけで私はわざわざ市販の誰が作ったか知らないペットボトルだか缶だかに入った麦茶を飲んで思うのだ。
やっぱりあの頃飲んだ麦茶が一番だったなあ、と。
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