黄昏のザンカフェル

新川 さとし

文字の大きさ
上 下
13 / 65
第2章 三人の婚約者

その2 大人買いしちゃうよ?

しおりを挟む
 とりあえず、向こうで、使えそうなモノか。

「サバイバル系のグッズって、案外、使いにくいんだよな。まあ、容量は気にしなくて良いんだから、日用品レベルと、サバイバルグッズは両方入れておくか」

 夜中であっても買い物ができるのは、OK。とりあえず、明日配達してもらえそうな食料やら、小物やら。ラノベに出てくるとおり、あっちは中世レベルの文明らしいから、案外と、ナベやフライパン、包丁なんかも貴重になる。

 そうそう。コイツ。現地が中世レベルなら、この類いを持っていけば、ウケるよな。それに、宝飾品も必要か。

 かねがね不思議だったのだ。いくら文明レベルが違っても、美しさに対する感性というのは、そうそう変わるものではない。百均のガラスの皿やら食器が、いくら現代文明の産物であっても、果たしてありがたがるだろうかってこと。

『工業製品が珍重されるのはわかる、だが、美しさとはまた違うはずだ。だから、技術レベルが高くて、なおかつ、安く手に入るモノが必要だよな』

 貴族同士の贈答に使えるモノだ。

 ってことで、こいつらをポチッとな。

 一つひとつが高くなくても、さすがにカードの使用がどこまでできるかって感じだが。

『こういう時にブラックカードを持っている連中なら、良いんだろうがな』

 ゴールドカードくらいは持っていても、大金を使うのはって思ってるところにカード会社から確認の電話がきた。早いな!

 とまあ、多少不審がられたかもしれないが本人が良いって言ってるんで、通ったらしい。ま、そりゃ、毎月、日用品程度しか買ってない人間が、いきなり百万単位の買い物をしたら当然か。

 とは言え、この辺りは、ま、オジさんの余裕ってヤツ。違うカードを使えば、さらにイケる。付き合いで作ったヤツも含めて、十枚以上は使えるもんね。

 よ~しっと。一通りの「ポチッ」が終われば、後は勉強あるのみ。今すぐ、現地に行きたいのはやまやまだけど、準備もナシに出かけても、いきなり出てくる魔王にチョンで、終わりにされてしまうんだもんな。

「あのポンコツは、時間の流れが千倍だと言っていた。となると、瑞樹たちがオカシクなって、十一日経ってるから、現地では、まだ、数時間。ここに、五日間、つまり120時間をフルに使っても、むこうでは七分ちょっと増えるだけだ。大きくは変わらない。

 その間に、有効な手を考えてみるしかないな。

 とにかく準備だ。

 おっと、それに、貴族の坊ちゃんだからな。ある程度の量があっても、さばけるだろう。ってことで、明日は、輸入物も取り扱っている商社に電話っと。

  そして5日の間に全ての物品をインベントリに収納すると、十日間の休暇届を出した。

 職員室の引き出しには、退職届を念のため。

 そしてマンションにある私物を整理し終えたオレは、再度、ログインした。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

最後にひとついいかな?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,352pt お気に入り:8

幽霊が見える私、婚約者の祖父母(鬼籍)に土下座される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,911pt お気に入り:82

プロポーズ 「君は何を考えているか全然分からないから」

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,618pt お気に入り:4

愛さん

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:1

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:12

処理中です...