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21 美しき変態⑤

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 左手の親指と人差し指で亀の首をつまんで肉竿自体を直立させておき、右手にウェットティッシュを取る。

 まずは側面だ。

 勃起した陰茎は、海綿体に血液が送り込まれるせいで、鎧で覆われたようにゴツゴツになる。

 青白い静脈の浮き出たその部分は、さながら松の幹のよう。

 ヨミの陰茎の側面には、バスの中で痴漢行為を受けて漏らした精液が生乾き状態で付着し、その白い糊状の液体が強い匂いを放っている。

 完全に乾く前に精液を拭き取らないと、ごわごわになって不快感がたまらない。

 経験上それを知っているだけに、僕はためらいなくウェットティッシュで固い肉竿を包み、筒に沿って動かした。

「いいいよ・・・いい・・・」

 うっすら目を閉じて、うわ言のようにまたヨミが言う。

 投げ出された裸体は、真っ白だった皮膚がほんのりと赤味を帯び始め、生気を取り戻したように見える。

 特に顕著なのは、薄い胸板の端に咲く乳首の勃起ぶりだった。

 薔薇色に染まった一対の肉芽は、元の倍ほどに膨張し、その成長具合は根元に影ができるほど。

 ぷっくり膨らんだ乳頭が生のしめじか何かのようで、先端の窪みすらもいやらしい。

 ヨミの生殖器官の感触が、ティッシュを通して手のひらに伝わってきて、僕はドキドキを抑えきれずにいた。

 熱病患者の額のように熱くて、ゴムの警棒のように弾力に富んだその硬い器官は、弓なりに反りかえって兜型の亀頭から透明な汁を滲ませている。

 自分のモノ以外の男性器に触れるのは、むろん、生まれて初めてだ。

 しかも、ただ触れるのではなく、強く握って擦っているー。

「ああ・・・」

 ヨミの色のない唇が開き、熱い吐息が漏れる。

 麝香の香りのするその吐息は、裸体の奥の何かいやらしい部分から漏れ出したもののようだ。

「次は、先っぽを・・・」

 ねだるような眼でヨミが僕を見た。

「大丈夫・・・。僕はちゃんと剥けてるから、直に触れられても痛くない。そう、君と違ってね」

「ど、どうして?」

 思わず手を止めてしまった。

 カッと頬が熱くなる。

 今度は羞恥のあまり、というやつだ。

 どうしてこの少年は、僕の秘密を・・・?

 まだ見せてもいないのに?

「匂いで分かるよ」

 口角を微かに吊り上げるヨミ。

「仮性包茎者の性器は、勃起すると鰹出汁に似た恥垢の匂いがするからね」
 

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