淫美な虜囚

222 喘ぐ人肉キャンドル⑩

　翔が僕の陰茎を持ち上げる。

　陰の茎。

　あるいは、男根。

　ゴツゴツして醜い僕の生殖器官には、その言葉がぴったりだ。

　スタイリッシュなハート形の亀頭を持つ翔の性器が”ペニス”なら、僕のには泥臭く陰茎か男根がふさわしい。

　小柄で少女のように中性的な体つきの僕。

　なのに股間から生えているそこだけ立派なオトナである。

　小学生の頃から自慰を毎日欠かさず続けているせいだろうか。

　クラスメートたちのイチモツと比べても、明らかに大きいし、色も黒ずんでいる。

　その陰茎を持ち上げて、翔が握りこぶしのような亀頭をしげしげと眺めている。

　大蒜の球根そっくりなそれは今や包皮が半分剥けかけ、ぬるぬるの鼻づらを覗かせているのだが、その先端に入ったスリットに、細身のスティックが深々と突き刺さっているのである。

　スティックと尿道口の接合部からは、透明な汁がわずかに滲んでいる。

　カウパー腺液だ。

　精液より粒子の小さいカウパー腺液は、尿道スティックと尿道のミクロのすき間をすり抜けてしまうのだろう。

「まだ治っていないんだな、仮性包茎」

　ずるりと包皮を全部剥いて、翔が言った。

「ああ･･ん」

　ぬるぬる亀頭の表面が包皮にこすれる快感に、ついつい喘いでしまう僕。

　オナニーの時も、直に触るより、包皮を使ったほうが、痛みもなくて気持ちいい。

　首のあたりまで剥き出しになった亀頭からは、ほかほかと白い湯気が立ち上っている。

　縮緬みたいに縮んだ包皮が雁首の下をきつく締めつけたため、亀頭は茹蛸のように真っ赤になってしまっている。

「これが終わったら、またしばらく矯正リングを嵌めさせるか、それともこのまま仮性包茎を放置しておくか、ちょっと悩むところですね」

「あたしはそのままでいいんじゃないかと思います」

　僕の胸板に貼りついた乳首吸引器のポンプ部分をリズミカルに揉みながら、姉さんが答えた。

「仮性包茎のほうが感じやすそうだし、包皮を使っていろいろ遊べますから」

「確かにそうだ。ただひとつ難点は、仮性包茎の場合、フェラチオする時に少し臭うことですね。包皮と亀頭の間に、どうしても恥垢が溜まってしまう」

「そこはあたしに任せてください。こいつを翔さまの前に出す時には、前もって綺麗にしておきます」

「ほほう。あなたが身をもってこの亀頭を舐めておくとでも？」

　僕の球根に指を這わせながら、面白そうに翔が言う。

　尿道スティックが刺さった鈴口の周りを親指の腹で撫でるのだが、カウパー腺液で十分潤った今は、直に触られても痛みはない。

　それどころか、催淫剤ローションの作用で陰茎全体が適度に痺れているせいで、はあはあ言いたくなるほど気持ちがいい。

「舐めるかどうかはその時の気分次第ですけど･･･。他にもいろいろ方法はありますし」

　眼の下を桜色に染めて姉さんが答えた。

「こいつのおかげで、あたし、男性器触るの、好きになっちゃいました。言ってみれば、もう病みつきなんです」