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記憶喪失の少年
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会長の挨拶が始まった。
「えー、皆さん今日はお疲れ様でした。町内の皆様の協力の元今年も無事に花見が開催出来ました、本当にありがたいです。それと毎年この場所を提供してくださる加藤さんに感謝の拍手を・・・。では料理が冷めてしまうので乾杯したいと思います、皆さん準備は良いですか?今年も開催が許された事に感謝して乾杯!!」
「「「「「乾杯!」」」」」
近くに居る人達と乾杯をする、春陽もビクつきながらも乾杯している。
「えーそれでは今年の新しい仲間の紹介をお願いします。」
俺は春陽と岩倉さんを連れて前に出る。
今年の新メンバーは、フランスレストランのバイト君と呉服屋さんのお嫁さん、それにうちの2人だ。順番に挨拶していく、バイト君は当たり障りのない挨拶で呉服屋の若旦那とお嫁さんは皆に祝福といじられていた。
そして俺達の番だ。
2人共緊張していたが頭を撫でると少しは落ちついたみたいで良かった。
「今晩は、今年はバイトが1人と家族が1人増えました。バイトの岩倉さんは大学生で朝も入ってくれるので大助かりです、新しい家族の春陽です、この子は事故で頭を怪我して記憶を失くしてしまったのでうちで保護する事になり、記憶がなく自分の事も思い出せないので俺が‟春陽”と名付けました。未だ未だ体力もないので家を出る事はないでしょうが、これからどうぞ宜しくお願いします。」
「「宜しくお願いします。」」
春陽に記憶がないと話した所で少しざわついたが、春陽を怯えさせない様に直ぐに静かになった。皆さんいい人達で本当に助かる。
「さて、新メンバーの挨拶も終わったので皆さんお楽しみの食事にしましょう。」
「さぁ、料理を取りに行こう。渡辺君達も行くぞ。」
「へっ?俺達新メンバーじゃないよ?」
「子供には優先権があるんだよ。だから行っておいで。」
「子供・・・、俺達子供扱い・・・。」
高校生となれば子供扱いされるのは嫌だろう、ここで魔法の呪文。この2人なら効くだろう。
「子供なら先に料理選べるぞ?他の大人と一緒でいいのか?」
「「行きます!俺達子供です!」」
「くすくす。2人共調子いいなぁ、じゃあ一緒に行こうどれがお勧めが教えて。」
岩倉さんにどれが美味しいか説明しながら料理が置いて在るテーブルに向かう。料理はまとめてここに置いて在る、皆に行き渡る様に商品より小さめに作ってあったりと、ここでしか食べれない物とかもあるので毎年楽しみにしている。
「春陽は何が食べたい?」
「どうしよう・・・。」
色々在り過ぎて逆に迷ってしまった様だ。
「コロッケとかはどうだ?小さいし種類は少ないし。」
「コロッケにする。」
それから幾つか取って皆の所に戻ると3人はもう先に戻っていた、岩倉さんの皿にはそれなりにあったが、2人の皿は山盛りだった。無くなる危険性があるのを確保した結果だろう。
しばらくすると、愛とジョンは営業に行った。
それぞれ店があるのでなかなか2匹に会えないで淋しがっている人や店があって世話が出来なくて飼えない人達は結構居るのでこういう時に触れあいたいのだろう。後半になると飽きて来た子供達の子守も始まるベテランベビーシッターでもある。
「今晩は。」
お肉屋の次女の千絵ちゃんが話しかけて来た。
この子は確か今年高校生になったはず。
「今晩は。あれ?今日はおじさんは?」
「父さんは風邪ひいて家で寝てる。風邪が治っても当分機嫌が悪いかも。」
「おじさん毎年楽しみにしているからなぁ。」
「春陽君今晩は。私は肉屋の娘で千絵と言います、私もΩなの宜しくね。」
「宜しくお願いします。」
「春陽君の髪型可愛いね。編み込み大変でしょ?自分でやったの?」
フルフル
「眞一さんがしてくれた。」
語尾が小さくなっているが頑張って返事をしている。相手がΩならあまり緊張しないのかな?そう言えば駿二とも割と普通に話してたなぁ。俺は最初一方的に話し掛けているだけだったけど・・・。
千絵ちゃんがお姉さん風を吹かしている。この辺の子供達の中で千絵ちゃんが一番下になるからなぁ、千絵ちゃんの下の子達は幼稚園生で接点が少なくて、お姉さん出来ないから春陽に対してお姉さんしたいのだろう。
千絵ちゃんやバイト君達を始めΩの人達が春陽に話し掛けてくれた。
いきなりαでは緊張するだろうからその辺の配慮だろう、αの人達は遠目でこちらをチラチラ見てるから本当は話し掛けたいのを我慢しているに違いない。近くに行ったら我慢出来ず話し掛けちゃうから遠くに避難かなぁ。
何人かの人と仲良くなれたみたいだ。俺が隣に居る事でリラックスして話が出来たなら俺としても嬉しいが、体力が付いたらやはり外に出さなきゃ駄目だよなぁ、皆に知られたし・・・千絵ちゃんとかは家に遊びに来そうだし。はぁ・・・。
春陽に友達が出来るのは良い事。はい。
「えー、皆さん今日はお疲れ様でした。町内の皆様の協力の元今年も無事に花見が開催出来ました、本当にありがたいです。それと毎年この場所を提供してくださる加藤さんに感謝の拍手を・・・。では料理が冷めてしまうので乾杯したいと思います、皆さん準備は良いですか?今年も開催が許された事に感謝して乾杯!!」
「「「「「乾杯!」」」」」
近くに居る人達と乾杯をする、春陽もビクつきながらも乾杯している。
「えーそれでは今年の新しい仲間の紹介をお願いします。」
俺は春陽と岩倉さんを連れて前に出る。
今年の新メンバーは、フランスレストランのバイト君と呉服屋さんのお嫁さん、それにうちの2人だ。順番に挨拶していく、バイト君は当たり障りのない挨拶で呉服屋の若旦那とお嫁さんは皆に祝福といじられていた。
そして俺達の番だ。
2人共緊張していたが頭を撫でると少しは落ちついたみたいで良かった。
「今晩は、今年はバイトが1人と家族が1人増えました。バイトの岩倉さんは大学生で朝も入ってくれるので大助かりです、新しい家族の春陽です、この子は事故で頭を怪我して記憶を失くしてしまったのでうちで保護する事になり、記憶がなく自分の事も思い出せないので俺が‟春陽”と名付けました。未だ未だ体力もないので家を出る事はないでしょうが、これからどうぞ宜しくお願いします。」
「「宜しくお願いします。」」
春陽に記憶がないと話した所で少しざわついたが、春陽を怯えさせない様に直ぐに静かになった。皆さんいい人達で本当に助かる。
「さて、新メンバーの挨拶も終わったので皆さんお楽しみの食事にしましょう。」
「さぁ、料理を取りに行こう。渡辺君達も行くぞ。」
「へっ?俺達新メンバーじゃないよ?」
「子供には優先権があるんだよ。だから行っておいで。」
「子供・・・、俺達子供扱い・・・。」
高校生となれば子供扱いされるのは嫌だろう、ここで魔法の呪文。この2人なら効くだろう。
「子供なら先に料理選べるぞ?他の大人と一緒でいいのか?」
「「行きます!俺達子供です!」」
「くすくす。2人共調子いいなぁ、じゃあ一緒に行こうどれがお勧めが教えて。」
岩倉さんにどれが美味しいか説明しながら料理が置いて在るテーブルに向かう。料理はまとめてここに置いて在る、皆に行き渡る様に商品より小さめに作ってあったりと、ここでしか食べれない物とかもあるので毎年楽しみにしている。
「春陽は何が食べたい?」
「どうしよう・・・。」
色々在り過ぎて逆に迷ってしまった様だ。
「コロッケとかはどうだ?小さいし種類は少ないし。」
「コロッケにする。」
それから幾つか取って皆の所に戻ると3人はもう先に戻っていた、岩倉さんの皿にはそれなりにあったが、2人の皿は山盛りだった。無くなる危険性があるのを確保した結果だろう。
しばらくすると、愛とジョンは営業に行った。
それぞれ店があるのでなかなか2匹に会えないで淋しがっている人や店があって世話が出来なくて飼えない人達は結構居るのでこういう時に触れあいたいのだろう。後半になると飽きて来た子供達の子守も始まるベテランベビーシッターでもある。
「今晩は。」
お肉屋の次女の千絵ちゃんが話しかけて来た。
この子は確か今年高校生になったはず。
「今晩は。あれ?今日はおじさんは?」
「父さんは風邪ひいて家で寝てる。風邪が治っても当分機嫌が悪いかも。」
「おじさん毎年楽しみにしているからなぁ。」
「春陽君今晩は。私は肉屋の娘で千絵と言います、私もΩなの宜しくね。」
「宜しくお願いします。」
「春陽君の髪型可愛いね。編み込み大変でしょ?自分でやったの?」
フルフル
「眞一さんがしてくれた。」
語尾が小さくなっているが頑張って返事をしている。相手がΩならあまり緊張しないのかな?そう言えば駿二とも割と普通に話してたなぁ。俺は最初一方的に話し掛けているだけだったけど・・・。
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千絵ちゃんやバイト君達を始めΩの人達が春陽に話し掛けてくれた。
いきなりαでは緊張するだろうからその辺の配慮だろう、αの人達は遠目でこちらをチラチラ見てるから本当は話し掛けたいのを我慢しているに違いない。近くに行ったら我慢出来ず話し掛けちゃうから遠くに避難かなぁ。
何人かの人と仲良くなれたみたいだ。俺が隣に居る事でリラックスして話が出来たなら俺としても嬉しいが、体力が付いたらやはり外に出さなきゃ駄目だよなぁ、皆に知られたし・・・千絵ちゃんとかは家に遊びに来そうだし。はぁ・・・。
春陽に友達が出来るのは良い事。はい。
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