闇の記憶

姫川 林檎

文字の大きさ
上 下
12 / 35
記憶喪失の少年

12

しおりを挟む
「俺はお前のモテ話なんてどうでもいい!会わせろ!駿二は会った事あるんだよな?」

「まぁ、一緒に住んでますので。」

「「「「「一緒に住んでる!?」」」」」

そりゃ驚くよな・・・。
俺も聞いたら驚くわ。自分の行動力にビックリ♪

「もう監禁してるのか?」
「してないわ!!」

いくら俺でもそこまではしない。してないよな?

「っで、どういう事だ?」

事の経緯を話した。

「つまりお前は記憶を失くした幼気な青年を拉致監禁していると。」
「だからしてねぇーって!」
「だが!事実上そう言う事だろ?」

「・・・・」

そうなのか?
ちゃんと春陽に選択権はあげた訳だし、拉致ではないはず。

「いやいや。選択権ねぇからな。」
「エスパー!?」

「違うわ!お前が気にしそうなのはそこ位だろ。廣瀬君は会った事あるの?」

「いえ、僕はありません。店長がΩを囲っているのを初めてしりました。」
「囲ってないわ!」

「兄さん、している事はそんなに変わらないよ。」

「お前最近俺に冷たくないか?」

「別に。」

大人になってハグの回数確実に減って来てはいるが、ここ最近は全く触らせてさえくれなくなったのは気のせいだよな?昔は駿二から抱き着いてくれたのに・・・。

「なぁ、青年って幾つ位なんだ?」

「「「・・・・」」」

俺・じぃさん・駿二がそれぞれの方向を向く。

「おい!大丈夫なんだよな?」

春陽はΩだから同じ年の子より小さくても不思議じゃない駿二も160cmなしな、更に痩せ細せていて栄養が足りていないから実年齢より幼く見える可能性がある。春陽の見た目は小学生にも見えなくもない、最近の小学生は大人びているし。推定年齢は10~16・7歳、高校生である事を祈る!

「俺は幼馴染を犯罪者にしたくないんだよ!」
「お前は何を心配しているんだ・・・。」

「解ってる!お前なら完全犯罪が出来る事を!」
「するか!」

いらん心配をしないでもらいたいが、こいつはいつも斜め上の心配をする。‟犯罪者になる”心配はするが‟完全犯罪をする”から心配ないってどうよ。心配をしてくれるのは嬉しいんだけどね。


滉一はランチで忙しくなる前に帰って行った。天気が悪いがそれなりに混雑したが無事に終わり、店をじぃさん達に任せてお昼に入る。

母屋に帰ると今日はソファーでジョンを枕に愛と寝ていた、今日は先にひざ掛けを掛け温かくしていて安心。今日はピッツァソースが余りそうなのでピッツァトースト。今日も春陽をでながら食べる。

あまり年齢を気にしてはいなかったが春陽は幾つなんだろうなぁ。
話し方とかは小学生とは思えないが、今時の子供は良く解らないしなぁ。この痩せ具合からして親に愛されて育った感がないけど、礼儀作法はしっかりしているし、調理はしっかり出来るしある程度は教育はされている。しかし、ネガティブだけどそこまで悲壮感もない、誰かに愛されてはいた?・・・それがヒロタカか。

ヒロタカは春陽にとってどんな存在なんだ。
春陽が持つ唯一の記憶。ムカつくなぁ。

俺がムカムカしながらピッツァトーストを食べてると春陽が目を覚ました。

「んぅ・・・あっ、眞一さんお帰りなさい。」

「ただいま。ジョンは温かいだろ?今日はなにしてたんだ?」

「はい。ジョンさんも愛ちゃんも温かいです。えっと、今日は野良猫の写真集を見てました。」

どの写真が好きか聞くと写真集を持って来て好きな写真を見せてくれた、写真集を見ながら俺はどれが好きとかこの写真のここがいいとかを話しながら過ごした。

「じゃあ、俺はそろそろ行くな。あっ!そうだ、春陽にお願いがあるんだけど。」

「お願い?」

「そう、洗濯物なんだけど、夕方になったら仕舞ってくれるかな?いつも仕舞うのが夜になって冷えてしまうから、もし大丈夫なら頼みたいんだけどどう?」

「やります!!」

「じゃあ悪いけど、頼むね。」

「はい!」

仕事を頼まれて嬉しそうに返事をしてくる春陽が可愛い。
何もしないのは気が引けるのだろう、そんな事を気にしなくてもいいのに。だけどそれで春陽が落ち着くのであればお願いする、今は未だ体力が回復してないので軽い仕事から徐々に任せて行こう。

春陽を発見した時に比べれば、大分お肉も付いて来たが未だ未だ細過ぎる。しっかり食べてゆっくり休んで適度に動く、健康に健やかに笑顔になってくれたらと願いながら家を出る。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

トップアイドルα様は平凡βを運命にする

新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

孤独な蝶は仮面を被る

緋影 ナヅキ
BL
   とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。  全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。  さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。  彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。  あの日、例の不思議な転入生が来るまでは… ーーーーーーーーー  作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。  学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。  所々シリアス&コメディ(?)風味有り *表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい *多少内容を修正しました。2023/07/05 *お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25 *エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20

王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷
BL
完結済み・番外編更新中 ◆ 国立天風学園にはこんな噂があった。 『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』 もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。 何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。 『生徒たちは、全員首輪をしている』 ◆ 王制がある現代のとある国。 次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。 そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って…… ◆ オメガバース学園もの 超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

処理中です...