闇の記憶

姫川 林檎

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記憶喪失の少年

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リビングに戻ると春陽と愛が遊んでいた。

「もう、すっかり仲良しだな。」

「あっはい。ジョンさんが玩具を持って来てくれて・・・。」

「そうか。ジョン有難う。」

ワン!

もっと褒めろという顔をしているので沢山撫でてやる。

「湯冷めしない内に寝ようか。おいで。」

手を繋いで部屋に戻る。
するとジョンと愛も付いて来る今日は一緒に寝る気だな。羨ましい!!

部屋に入りベットの掛け布団を捲り春陽を呼ぶ。

「さぁ、おいで。」

「えっ?僕が布団じゃ?」

「春陽は現代っ子だから多分布団には慣れてないと思うからベット使って、俺はどっちでも大丈夫だし。」

そう言いながら春陽をベットに入れる。

「けど!」

「・・・じゃあ!一緒に寝る?それなら2人ともベットを使えるし、このベットはダブルだから問題ない。」

「・・・ベット使わせてもらいます。」

「残念。今日は寒いから特別にを貸してあげよう♪愛!」

春陽が入ってる掛け布団を軽く上げると愛が中に入って行く、中で方向転換して布団から顔だけを出してゴロゴロ言い出す。すると反対側にジョンが上り当然とした顔で陣取った。

「ジョンお前も一緒に寝るのか?俺だけ仲間外れ・・・。まぁいいか、春陽お休み。」

春陽の額にキスをして電気を消して俺も布団に入って眠る。
すると小さな声で「お休みなさい」と聞こえたのでもう一度お休みと言って眠る。

30分すると春陽の寝息が聞こえて来た。
さっき少し寝たとはいえ、今日は色々あって疲れたんだろう。起きて寝顔を確認すると穏やかな顔で寝ていたので安心する。ジョンが顔を起こし俺に任せろと言う顔をしているので頭を撫でてお願いして俺も寝る、たまには早く寝るのもいいだろう最近は睡眠時間少なかったし。



翌朝、目覚ましが鳴る前に起きる。
昨夜の春陽はうなされる事無くぐっすりと眠れた様だ。しっかり眠らないと体が休まないからな、薬を使う事がなくて良かった。

着替えを終えると春陽が目を覚ました。

「お早う春陽。よく眠れたか?」

未だぼぅっとしている春陽の額にキスをするが未だ寝ぼけている春陽はされるがままだ。
寝惚けた顔も可愛い。

「・・・お早う御座います。」

朝に弱いのか挨拶しても未だ寝惚けていたが、俺が顔中にキスをしていると覚醒したみたいで慌てだした。

「俺はジョンの散歩に行って来るから、未だ寝ててもいいぞ。」

「おっ起きます!」

「そうか?そうだ!一緒にジョンの散歩に行くか?」

「いいんですか?」

「少しは動かなきゃいけないしな。じゃあ、着替えは・・・これとこれとこれで。俺は下に居るから着替えて顔を洗っておいで。」

「はい。」

さて、俺は今の内に朝ご飯の準備をっと言っても味噌汁と今日は鮭を焼くだけ、ぬか漬けも出さなきゃな大根しっかり漬かっているかな?

鮭が焼き上がる頃にじぃさんが起きて来た。

「お早う、じぃさん。」

「お早うさん。今日は鮭か肉の気分だったんだがなぁ。」

「知らねぇよ。明日肉にするよ。」

じぃさんが文句言っていると春陽が降りて来た。
やはり!俺の見立てに間違いはなかった!可愛い。

「お早うさん春陽。よく眠れたかい?」

「お早う御座います。はい、よく眠れました。」

じぃさんが嬉しそうに「良かった」と頷いている間にじぃさんの前に朝食を並べる。

「じぃさん、春陽とジョンの散歩に行って来る。」

「あいよ。未だ寒いからちゃんと暖かくして行けよ。」

「はいはい。じゃあ、行ってきます。」

「いっ行ってきます。」

春陽と手を繋いで玄関に向かう。
玄関では、ジョンが散歩ひもと鞄を咥えて尻尾を全開で振って待っていた。

春陽にコートを着させ外に出る。

「しまった。春陽の手袋を買うのを忘れた。」

「大丈夫です。」

「そうはいかない、春とはいえ未だ未だ寒いから手が痛くなるぞ。そうだ!俺が右手に手袋をして春陽が左手にする、それで春陽がリードを持って俺がお出かけバックを持つ。そして、手を繋いでポケットに入れれば寒くはないだろ?」

勿論さり気なく恋人繋ぎです♪

「けど・・・。」

「はい、出発!」

ワン!

いつもよりもゆっくりと歩きながらこの辺りの説明をしながら進む。
ここに美味しい木の実がなるとか、駿二がここで四葉のクローバーを見付けたとか、ここで愛を拾ったとか話をすると、隣で小さく頷きながら耳を傾けている姿が可愛い。

駿二以外で誰かをこんなに可愛いと思った事はなかった。アイドル達を見て可愛いとは思うけどそれだけだった、こんなに誰かを独占したいと思った事はない。春陽の全てが可愛いかった。

あれ?俺誰かを好きになった事ないかも?
彼女は居た。しかし駿二を優先していつも振られて、自分の事を優先しろと駿二にも叱られたっけ。振られても悲しいと思った事なかった。両親が亡くなって俺が駿二を残った家族を守ると決めてそっちに気が取られてそれどころではなかったのは確かだ。

あれれ?小さい時も好きな人は居なかった様な・・・。小さい時はじぃさんに珈琲を教わるのが楽しくて女の子とかに興味なかったからなぁ・・・

あれ?ひょっとしてこれ初恋か!?

「大丈夫ですか?」

「ん?あぁ大丈夫だよ。」

顔には出てないはず!


マジかぁ・・・
この年で初恋とはないゎー。


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