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記憶喪失の少年
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病室に戻ると彼は眠っていた。
やはり疲れていたのだろう。
そっと病室を出て帰る事にした。
病院を出て困った。
俺は犬の散歩の途中で救急車でここまで来たので持ち物は携帯しかない。ここまで車で20分歩いて1時間以上かかる、朝ご飯も未だの俺には無理な距離だ。途方に暮れて駿二が持って来てくれたコートのポケットに手を入れると5千円札が入っていた。本当に良く出来た弟である♪
家に帰ってから食事にしようかとも思ったがお腹が限界だったので、近くのファミレスで食事を摂り買い物をしてタクシーで帰って、駿二に感謝のハグをしたら全力で拒否られた。兄ちゃんは悲しい。
拭いたとは言え海水に濡れたのでシャワーを浴びてさっぱりとし着替えて店に出る。うちは3代続く喫茶店だ。祖父が初めて父が継いだが俺達が小学生の時に事故で両親は亡くなり、祖父母がやっていたが祖母が亡くなり今は祖父と俺と駿二の3人でやっている。イケメン3人?で女子に人気がありそれなりに繁盛している。ちなみに、1番人気は祖父だ。渋くて格好良いそうだ、納得がいかない!
店に入ると常連客が楽しそうに話をしてた。
平日の為この時間は客が少ないので助かった。
「じぃさん、ご免。」
「その子は大丈夫かい?」
「怪我は大した事はなかったけど、記憶喪失みたいで・・・。」
「そうか。お前の好きにしなさい。」
「えっ!?」
「サボった分働け!お客さんが待ってるぞ。」
「えっ?あっうん。御待たせしました。」
じぃさん今のはどういう意味だろう?気にはなるがとりあえず今は接客だ。
店を閉め片付けを済まし夕食後2人に彼の今後に付いて話した。
「つまり兄さんは彼を引き取りうちで面倒を看たい訳?」
「はい。」
駿二が怖い。
「はいって!犬猫じゃないんだよ!記憶を失って彼が以前どんな人物かも判らないのに!もし、彼が悪い人間だったらどうするの?その関係者が来たら?兄さんはどうするつもりなの!!」
「解ってる。それでも彼をこのまま放っておけない。彼がどんな人物か何て本人にも解らない事をあれこれ言っても仕方ないだろ、俺は彼の力になりたい。」
「おじいちゃんも何か言ってよ。」
「んー。眞一は今まで我儘を言った事がない、まぁつまらない我儘はあるが周りを巻き込む様な事は我慢していたからなぁ。眞一もいい大人だ自分で判断出来るだろう。お前に言われても曲げないなら何を言っても無駄だよ、諦めなさい。」
「じぃさん。有難う。」
「おじいちゃん・・・。兄さん彼はΩだよね?もしかして‟運命の番”なの?」
「いや違うと思う何も感じなかったからな、番にするつもりは今はない。だが彼に惹かれているのは確かだ。番云々は別として彼を助けたいんだ、だから協力してくれ。」
俺は駿二に頭を下げて頼む。俺が駿二に頭を下げた事がないので物凄く動揺している。
「えっ!?やだ!えっ兄さん!頭上げて!!協力するからそんな事しないで!!」
「有難う!駿二♪」
ハグをしたらやはり拒否られた・・・。
「ふぉふぉふぉ。仲がいいなぁ。」
翌日から俺は仕事終わりに病院に通う様になった。
「今晩は。調子はどう?ゆっくり休めた?」
「貴方は昨日の・・・。」
「そっ、あっ自己紹介が未だったな。俺は阿藤眞一29歳独身眞一って呼んでくれ。これからヨロシク!」
「僕は・・・。」
「いいよ。解ってるから。けど、名前がないとう不便だから俺が考えて来た‟春陽”ってのはどうだ?嫌か?」
「春陽・・・。」
「そう、君を春陽を見付けた時朝日を浴びて綺麗だったから、っで春に出会ったから春陽。どう?」
「有難う御座います・・・。」
んー、あんまり嬉しそうには見えないなぁ。好みではなかったのかな?
「失礼します。あら?あなたは昨日の、今日もいらしてたんですか?」
「今晩は。えぇ、心配だったもので。あぁそうだ!看護婦さん彼に名前を考えて来たのでこれからは名前で呼んでください。」
「名前ですか?助かりますやはりないと不便で・・・。それでお名前は?」
「春陽です。春の陽射しで春陽どうでしょう。」
「素敵な名前じゃないですか!良かったですね春陽君。では、春陽君体温計預かりますね。」
「・・・はい。」
んー反応が鈍いな。元々の性格なのか記憶を失ってショックなのか判らないが、これからゆっくり付き合っていくしかないか。
少し話をして看護婦さん達に名前の件と着替えをベットの下の引き出しに入れてある事を伝え帰った。未だ昨日の今日だ精神的に落ち着くまでは無理をせず少しづつ俺を知ってもらえばいい。
これからだ!
やはり疲れていたのだろう。
そっと病室を出て帰る事にした。
病院を出て困った。
俺は犬の散歩の途中で救急車でここまで来たので持ち物は携帯しかない。ここまで車で20分歩いて1時間以上かかる、朝ご飯も未だの俺には無理な距離だ。途方に暮れて駿二が持って来てくれたコートのポケットに手を入れると5千円札が入っていた。本当に良く出来た弟である♪
家に帰ってから食事にしようかとも思ったがお腹が限界だったので、近くのファミレスで食事を摂り買い物をしてタクシーで帰って、駿二に感謝のハグをしたら全力で拒否られた。兄ちゃんは悲しい。
拭いたとは言え海水に濡れたのでシャワーを浴びてさっぱりとし着替えて店に出る。うちは3代続く喫茶店だ。祖父が初めて父が継いだが俺達が小学生の時に事故で両親は亡くなり、祖父母がやっていたが祖母が亡くなり今は祖父と俺と駿二の3人でやっている。イケメン3人?で女子に人気がありそれなりに繁盛している。ちなみに、1番人気は祖父だ。渋くて格好良いそうだ、納得がいかない!
店に入ると常連客が楽しそうに話をしてた。
平日の為この時間は客が少ないので助かった。
「じぃさん、ご免。」
「その子は大丈夫かい?」
「怪我は大した事はなかったけど、記憶喪失みたいで・・・。」
「そうか。お前の好きにしなさい。」
「えっ!?」
「サボった分働け!お客さんが待ってるぞ。」
「えっ?あっうん。御待たせしました。」
じぃさん今のはどういう意味だろう?気にはなるがとりあえず今は接客だ。
店を閉め片付けを済まし夕食後2人に彼の今後に付いて話した。
「つまり兄さんは彼を引き取りうちで面倒を看たい訳?」
「はい。」
駿二が怖い。
「はいって!犬猫じゃないんだよ!記憶を失って彼が以前どんな人物かも判らないのに!もし、彼が悪い人間だったらどうするの?その関係者が来たら?兄さんはどうするつもりなの!!」
「解ってる。それでも彼をこのまま放っておけない。彼がどんな人物か何て本人にも解らない事をあれこれ言っても仕方ないだろ、俺は彼の力になりたい。」
「おじいちゃんも何か言ってよ。」
「んー。眞一は今まで我儘を言った事がない、まぁつまらない我儘はあるが周りを巻き込む様な事は我慢していたからなぁ。眞一もいい大人だ自分で判断出来るだろう。お前に言われても曲げないなら何を言っても無駄だよ、諦めなさい。」
「じぃさん。有難う。」
「おじいちゃん・・・。兄さん彼はΩだよね?もしかして‟運命の番”なの?」
「いや違うと思う何も感じなかったからな、番にするつもりは今はない。だが彼に惹かれているのは確かだ。番云々は別として彼を助けたいんだ、だから協力してくれ。」
俺は駿二に頭を下げて頼む。俺が駿二に頭を下げた事がないので物凄く動揺している。
「えっ!?やだ!えっ兄さん!頭上げて!!協力するからそんな事しないで!!」
「有難う!駿二♪」
ハグをしたらやはり拒否られた・・・。
「ふぉふぉふぉ。仲がいいなぁ。」
翌日から俺は仕事終わりに病院に通う様になった。
「今晩は。調子はどう?ゆっくり休めた?」
「貴方は昨日の・・・。」
「そっ、あっ自己紹介が未だったな。俺は阿藤眞一29歳独身眞一って呼んでくれ。これからヨロシク!」
「僕は・・・。」
「いいよ。解ってるから。けど、名前がないとう不便だから俺が考えて来た‟春陽”ってのはどうだ?嫌か?」
「春陽・・・。」
「そう、君を春陽を見付けた時朝日を浴びて綺麗だったから、っで春に出会ったから春陽。どう?」
「有難う御座います・・・。」
んー、あんまり嬉しそうには見えないなぁ。好みではなかったのかな?
「失礼します。あら?あなたは昨日の、今日もいらしてたんですか?」
「今晩は。えぇ、心配だったもので。あぁそうだ!看護婦さん彼に名前を考えて来たのでこれからは名前で呼んでください。」
「名前ですか?助かりますやはりないと不便で・・・。それでお名前は?」
「春陽です。春の陽射しで春陽どうでしょう。」
「素敵な名前じゃないですか!良かったですね春陽君。では、春陽君体温計預かりますね。」
「・・・はい。」
んー反応が鈍いな。元々の性格なのか記憶を失ってショックなのか判らないが、これからゆっくり付き合っていくしかないか。
少し話をして看護婦さん達に名前の件と着替えをベットの下の引き出しに入れてある事を伝え帰った。未だ昨日の今日だ精神的に落ち着くまでは無理をせず少しづつ俺を知ってもらえばいい。
これからだ!
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