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DL版販売のお知らせ+追加エピサンプル
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【ディストーション・ピース】
当作品のDLsiteでの販売が開始されました!
アルファポリスでは読めない追加エピソード書き下ろしが合計約7000字、
中表紙として描き下ろしの限定カラーイラスト等を追加したPDF版です。
ご興味がございましたら、ダウンロードしていただけたら嬉しいです。
URLは近況ノートの方に載せてありますので、是非チェックしてみてください!
こちらの掲載はそのまま残しておく予定です。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
以下、追加エピソードのサンプルです↓
―――――――
「もも、スマホ貸して」
ある日、佐原は突然桃井にそう言った。プライベートなことや自分のあらゆる必要なものが詰まっていると言ってもいいスマートフォン。それを渡すように言われることは、いつものことではあった。
嫉妬深く独占欲が強い、そしてその分だけ自信がなく不安を抱えている佐原は時折桃井のスマートフォンを監視する。
パスコードロックのナンバーはもちろん把握している。慣れた手つきでロックを解除し、桃井はきっといつものようにメッセージアプリや何かをチェックされるのだろうと思っていた。
「いいよ、はい。どーぞ」
大学の友達と他愛もないやりとりをしたり必要な連絡をとったり、あとは親とのメッセージくらいしか履歴にはないし、もちろん消してもいない。佐原以外に親密な関係を持っている人なんていないし、桃井にやましい部分は何もないので、特に見られて嫌なものはなかった。だから桃井は佐原にそう命じられても平気だった。
むしろ、監視したいと思うほどに自分に執着してくれているのが嬉しい。桃井はそういう人間だ。
「……うん、おっけ。はい、返すね」
「え、今日早いね?全部見た?」
「いや、見てない」
じゃあなんでスマホを借りたんだ? と桃井は頭の上に疑問符を浮かべる。
「……位置情報アプリ、消しといただけだから。メッセも、もう見ない」
「…………は?」
佐原に入れさせられていた、リアルタイムで居場所がわかる位置情報アプリ。佐原のスマートフォンのアプリと連動していて、いつでも桃井がどこにいるのかを確認できていた。
桃井はそれさえも喜んで受け入れていた。束縛して自由なんて与えないでほしいし、不安でたまらなくて追いかけてきてほしいし、やましいことなんて何もないことで自分が佐原のことを大好きなんだって思い知ってほしい。
そんな歪んだ想いを持つ桃井にとっては、むしろそのアプリは強いつながりを保つ鎖のようなもので心地よかった。
「……なんで」
「だって、こんなの嫌だろ。おかしいよ、普通じゃない」
「はっ、普通とか。今さらそんなこと言うの?俺、透になんか嫌とか言った?」
佐原は桃井の態度に驚いていた。桃井はいつでも柔らかく笑っていて、佐原のすることに嫌な顔を示したり否定したりすることはない。どんなにひどいことをしても、行動を縛り付けるようなことをしても、いつでも受け入れてくれる。
だから、こんなに冷たい声を出す桃井は初めてだった。
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中表紙として描き下ろしの限定カラーイラスト等を追加したPDF版です。
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―――――――
「もも、スマホ貸して」
ある日、佐原は突然桃井にそう言った。プライベートなことや自分のあらゆる必要なものが詰まっていると言ってもいいスマートフォン。それを渡すように言われることは、いつものことではあった。
嫉妬深く独占欲が強い、そしてその分だけ自信がなく不安を抱えている佐原は時折桃井のスマートフォンを監視する。
パスコードロックのナンバーはもちろん把握している。慣れた手つきでロックを解除し、桃井はきっといつものようにメッセージアプリや何かをチェックされるのだろうと思っていた。
「いいよ、はい。どーぞ」
大学の友達と他愛もないやりとりをしたり必要な連絡をとったり、あとは親とのメッセージくらいしか履歴にはないし、もちろん消してもいない。佐原以外に親密な関係を持っている人なんていないし、桃井にやましい部分は何もないので、特に見られて嫌なものはなかった。だから桃井は佐原にそう命じられても平気だった。
むしろ、監視したいと思うほどに自分に執着してくれているのが嬉しい。桃井はそういう人間だ。
「……うん、おっけ。はい、返すね」
「え、今日早いね?全部見た?」
「いや、見てない」
じゃあなんでスマホを借りたんだ? と桃井は頭の上に疑問符を浮かべる。
「……位置情報アプリ、消しといただけだから。メッセも、もう見ない」
「…………は?」
佐原に入れさせられていた、リアルタイムで居場所がわかる位置情報アプリ。佐原のスマートフォンのアプリと連動していて、いつでも桃井がどこにいるのかを確認できていた。
桃井はそれさえも喜んで受け入れていた。束縛して自由なんて与えないでほしいし、不安でたまらなくて追いかけてきてほしいし、やましいことなんて何もないことで自分が佐原のことを大好きなんだって思い知ってほしい。
そんな歪んだ想いを持つ桃井にとっては、むしろそのアプリは強いつながりを保つ鎖のようなもので心地よかった。
「……なんで」
「だって、こんなの嫌だろ。おかしいよ、普通じゃない」
「はっ、普通とか。今さらそんなこと言うの?俺、透になんか嫌とか言った?」
佐原は桃井の態度に驚いていた。桃井はいつでも柔らかく笑っていて、佐原のすることに嫌な顔を示したり否定したりすることはない。どんなにひどいことをしても、行動を縛り付けるようなことをしても、いつでも受け入れてくれる。
だから、こんなに冷たい声を出す桃井は初めてだった。
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