画面越しの性欲からピュアな恋なんて始まるわけがない!?

おさかな

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しあわせの朝

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 目を覚ましたのは、空が白み始めてからだった。ピチピチ、鳥の囀りが窓の外から聞こえて、それからまだ閉じたままの瞼になんだか違和感を覚えた。

「わ、びっくりした。おはよ」
「……おはよ。なんか、視線感じた…」
「ばれた?」
 ぱちりと目を開けた俺に、榛名くんは驚いていた。いつから起きていたのかわからないけれど、彼はずっと俺の寝顔を見ていたらしい。

 はふ、とあくび混じりに笑う榛名くんも眠たそうだ。時計に目をやれば、まだ午前五時を少し過ぎた頃だった。
 昨日榛名くんと一晩じゅう飽きもせず抱き合った。何度も何度もイきまくった榛名くんは、最後はほとんど気絶するみたいに眠ってしまった。榛名くんが眠ってしまってから俺も疲労を感じて、二人の体を綺麗にし終わってそのまま眠ったのだった。

「……しあわせだなって、寝顔見てた」
「しあわせ?」
「好きになった人と、たくさん気持ちいいことして、一緒に寝て……起きたら、夏生くん僕のことも綺麗にしてくれててさ、なんか愛されてるなあって」

 榛名くんはまだ眠気で瞳をとろんとさせながら、半ば夢でも見るみたいにゆっくりと話す。それは俺自身も同じように思っていることで、同じことで同じように喜びを感じられる幸せが、カーテンの隙間からあたたかく明るく射し込む朝陽みたいにじんわりと広がっていく。

「…夏生くんはさ、僕が夏生くんのこと知らなかったときからずっと、僕のこと見てたわけでしょ」
「そうだね、なんやかんや、半年いかないくらい?」
「それってさ、なんかずるいなって思って」
「ずるい? 俺が?」
 そう、と榛名くんは頷く。
「だから、僕も夏生くんのことたくさん見てようって」
「それで寝顔見てたの?」
「ふふ、うん」

 一方的に見られている時間、という構図で言えば、そのやり方は正しいのかもしれない。寝顔なんて自分で見たことがないし、どんなに間抜けな顔をしているかわからないからとても恥ずかしいのだけれど、榛名くんがとても幸せそうに笑うから、まあいいかと思える。

「僕はさ、誰かに見られたかったんじゃなくて、誰かに見つけてほしかったのかもしれないな。現実的じゃないのはわかってたけど」

 榛名くんから動画投稿のことを聞くことはあまりなかったから、そんな風に考えていたんだ、と思った。そして俺自身が、その現実的ではないことをやってのけてしまったのだという事実も再確認した。

「…夏生くん。僕のこと、見つけてくれてありがとうね」
「……俺、榛名くんのこと好きでよかった」

 もし俺を好きになってくれた理由がそれなら、とてつもなく恥ずかしかった告白も、出会ったときに声をかけるためのとんでもない緊張も覚悟も、すべてがよかったと思える。
 榛名くんのことが好き。それだけが俺が他の誰よりも勝っているところだと、そんな自信だけはあるんだ。
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