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エピローグ
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「あーーっ!?!?」
幸せに付き合っているなか、ある日俺はあることに気がついて思わず声をあげた。部屋に一人でいた俺は、すぐさま榛名くんに電話をかける。
『もしもーし、どしたの?』
「どしたのじゃないんだけど! 榛名くん、ど、動画! なくなってる!!」
そう、俺は一人でいたのだ。ここ数日、お互い大学のことで忙しくしていて、会えていなかった。それは仕方がない。
だから俺はちょっと久しぶりに、本物の榛名くんではなく、お気に入りの動画を見てしちゃおうかな、なんて思い、ブックマークしていたその動画ページにアクセス……したかったのだ。
それは、叶わなかったのだけど。
『ああ、動画? 全部消したよー。動画っていうかアカウントごと』
「そ、そんな!!」
『だって、言ったじゃん。あれは見つけてほしかったからやってたんだって。だから、夏生くんに出会えたからもう必要ないもの』
それは確かに言っていた。そしてそのことはめちゃくちゃ嬉しかった。
『それに、今は付き合ってるんだから、僕のこと夏生くん以外に見てほしくないし。夏生くんはいいの~?』
「それは俺も、すごく嫌です」
そこは俺も気にしていたところだった。
あの動画を見ている他の人たちはきっとあそこに映っている子と榛名くんを結びつけることは難しいにしても、それでもあれは榛名くんだ。彼が他の男のオカズにされていることは、確かに良い気はしない。
『でしょ? それに夏生くんだって、動画なんかより本物の僕のほうがいいじゃん』
「う、ぐぅ……」
本物のほうがいい。そう言われてしまえば否定はできない。
でも、あの動画に映っているのだって榛名くんだ。実物ではないからこその良さというものが、絶対にあるのだ。
そしてすごくよかったところを繰り返し見られるというのも映像のいいところなのだ。あのおもちゃで感じてたときの声がかわいかったなとか、あの衣装を着ていたときの腰使いがえっちだったなとか、そういうのを何度でも見たい気持ちがあるのだ。
「……一生のお願いだから、データをください」
『それ一生のお願い!? しょーもな!』
「しょうもなくない! 俺はいつでも榛名くんのえっちな動画だけ見てたいんだよぉ!」
『う、それを言われると僕も弱いなあ』
今更女の子のやつだったり、ましてや他の男の子のアナニー動画なんて見る気が起きない。俺ってこんな一途だったっけな。女の子と付き合ってたときは、普通にAVも見ていたような記憶があるのだけど。
今は本当に、榛名くんしか見られないんだ。
『……まあ、ほとんどデータ自体残ってないけど、新しめのやつとかは多分あると思うよ』
「ほんと!? お願いします何でもするからください」
『必死か!』
「必死だよ!」
よかった、何もないより全然マシだと思った。なんやかんや、俺のおねだりは仕方ないなあなんて言いながら聞いてくれる榛名くんも、俺に甘い。
それも俺が全力で榛名くんを好きだから、それを榛名くん自身もわかってくれているからだ。こんなときは、自分が馬鹿正直でよかったと思う。
『過去のあげるのもいいけどさ……今度、ふたりで撮ろっか?』
「えっ、まじ?」
『もちろんアップはしないけど』
「そりゃもう、当たり前」
まさかのハメ撮りの提案に、思わずめちゃくちゃ嬉しそうな声を出してしまった。そんな俺の様子に、榛名くんは声が笑ってる。
『嬉しそうだけど、夏生くんも映るんだよ』
「正直それはめっちゃ恥ずい~」
『あはは、僕は嬉しい。夏生くんのえっち動画』
一人のときのオカズに困らないなあ、と電話の向こうで楽しそうにしている声が聞こえる。ああやっぱり、榛名くんが嬉しそうなのが、俺は一番嬉しいな。だから俺が恥ずかしいのなんて、どうだってよくなる。
『めちゃくちゃえろいの撮ろうね』
「が、がんばります」
スマホのスピーカーごしに聞こえる榛名くんの声はなんだか心地よくて。ふふふ、といつもの控えめな笑い声が愛おしい。
ああ、はやく会って抱きしめたいな、なんて、会って触れることのできる幸せをじわりと噛み締めた。
俺はそうして改めて、エッチなおもちゃが繋いでくれた奇跡みたいな出会いに思いを馳せたのだった……。
【終】
幸せに付き合っているなか、ある日俺はあることに気がついて思わず声をあげた。部屋に一人でいた俺は、すぐさま榛名くんに電話をかける。
『もしもーし、どしたの?』
「どしたのじゃないんだけど! 榛名くん、ど、動画! なくなってる!!」
そう、俺は一人でいたのだ。ここ数日、お互い大学のことで忙しくしていて、会えていなかった。それは仕方がない。
だから俺はちょっと久しぶりに、本物の榛名くんではなく、お気に入りの動画を見てしちゃおうかな、なんて思い、ブックマークしていたその動画ページにアクセス……したかったのだ。
それは、叶わなかったのだけど。
『ああ、動画? 全部消したよー。動画っていうかアカウントごと』
「そ、そんな!!」
『だって、言ったじゃん。あれは見つけてほしかったからやってたんだって。だから、夏生くんに出会えたからもう必要ないもの』
それは確かに言っていた。そしてそのことはめちゃくちゃ嬉しかった。
『それに、今は付き合ってるんだから、僕のこと夏生くん以外に見てほしくないし。夏生くんはいいの~?』
「それは俺も、すごく嫌です」
そこは俺も気にしていたところだった。
あの動画を見ている他の人たちはきっとあそこに映っている子と榛名くんを結びつけることは難しいにしても、それでもあれは榛名くんだ。彼が他の男のオカズにされていることは、確かに良い気はしない。
『でしょ? それに夏生くんだって、動画なんかより本物の僕のほうがいいじゃん』
「う、ぐぅ……」
本物のほうがいい。そう言われてしまえば否定はできない。
でも、あの動画に映っているのだって榛名くんだ。実物ではないからこその良さというものが、絶対にあるのだ。
そしてすごくよかったところを繰り返し見られるというのも映像のいいところなのだ。あのおもちゃで感じてたときの声がかわいかったなとか、あの衣装を着ていたときの腰使いがえっちだったなとか、そういうのを何度でも見たい気持ちがあるのだ。
「……一生のお願いだから、データをください」
『それ一生のお願い!? しょーもな!』
「しょうもなくない! 俺はいつでも榛名くんのえっちな動画だけ見てたいんだよぉ!」
『う、それを言われると僕も弱いなあ』
今更女の子のやつだったり、ましてや他の男の子のアナニー動画なんて見る気が起きない。俺ってこんな一途だったっけな。女の子と付き合ってたときは、普通にAVも見ていたような記憶があるのだけど。
今は本当に、榛名くんしか見られないんだ。
『……まあ、ほとんどデータ自体残ってないけど、新しめのやつとかは多分あると思うよ』
「ほんと!? お願いします何でもするからください」
『必死か!』
「必死だよ!」
よかった、何もないより全然マシだと思った。なんやかんや、俺のおねだりは仕方ないなあなんて言いながら聞いてくれる榛名くんも、俺に甘い。
それも俺が全力で榛名くんを好きだから、それを榛名くん自身もわかってくれているからだ。こんなときは、自分が馬鹿正直でよかったと思う。
『過去のあげるのもいいけどさ……今度、ふたりで撮ろっか?』
「えっ、まじ?」
『もちろんアップはしないけど』
「そりゃもう、当たり前」
まさかのハメ撮りの提案に、思わずめちゃくちゃ嬉しそうな声を出してしまった。そんな俺の様子に、榛名くんは声が笑ってる。
『嬉しそうだけど、夏生くんも映るんだよ』
「正直それはめっちゃ恥ずい~」
『あはは、僕は嬉しい。夏生くんのえっち動画』
一人のときのオカズに困らないなあ、と電話の向こうで楽しそうにしている声が聞こえる。ああやっぱり、榛名くんが嬉しそうなのが、俺は一番嬉しいな。だから俺が恥ずかしいのなんて、どうだってよくなる。
『めちゃくちゃえろいの撮ろうね』
「が、がんばります」
スマホのスピーカーごしに聞こえる榛名くんの声はなんだか心地よくて。ふふふ、といつもの控えめな笑い声が愛おしい。
ああ、はやく会って抱きしめたいな、なんて、会って触れることのできる幸せをじわりと噛み締めた。
俺はそうして改めて、エッチなおもちゃが繋いでくれた奇跡みたいな出会いに思いを馳せたのだった……。
【終】
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