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観劇デート
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フレデリック殿下と観劇に行く日の当日。
纏うマゼンタのドレスには、繊細な黒と白のチュールレースが、ふんだんにあしらわれている。
ツインテールの髪をゆるく巻き、頭の上のへッドドレスのサイドには、気に入りのモチーフである薔薇とリボン。
劇場の中に足を踏み入れると、テーマパークや遊園地に来た時のような高揚感が湧き上がった。
場内は純度の高い金の装飾が施されており、天井からはシャンデリアが吊り下げられている。
豪華な内装も相まって、今から始まる舞台の期待が気分をワクワクさせていた。
二階より上は貴族のためのボックス席で、壁側をぐるりと囲むように配置されている。二階の一番前の席は吹き抜けの作りとなった、王族専用のロイヤルボックス。私達の席は当然この席になる。
ロイヤルボックスは社交としての役割もあるので、この席はとても目立つ。
王族が観劇とあらば、皆が注目するのは当然。そして今夜は王子様が婚約者を連れているので尚更だった。
劇が始まる前、人々は舞台ではなくしきりにわたし達の方ばかりを見てくる。
そんな人々にフレデリック殿下がにこやかに手を振ると、黄色い歓声が起こった。
「皆んなセレスティアの方を見ているよ」
「そんな訳ないでしょう。殿下を見ているのですわ」
「セレスティアがこんなに可愛いんだから、皆が釘付けになってしまうのはしょうがないよね」
「え」
にこにこと嬉しそうに微笑むフレデリック殿下は、わたしに手を振ふらせようと、何故か諦めてくれない。
わたしが手を振った瞬間「フレデリック殿下に手を振ったのに、自分に振ってると勘違いしたの?」「勘違いウケる!」「自意識過剰!」と人々から嘲笑されるに違いない。
とのオタク特有の被害妄想が脳内で炸裂していた。
しかし今のところ、王太子妃になる予定のわたしが愛想がないと、王子の傲慢な婚約者としてバッシングされる可能性もある。それはそれで何とも恐ろしい!
いくら見た目を変えてイメージを払拭したとしても、セレスティアの王子の婚約者としての立ち位置は変わっていないのだから。
冷たくて傲慢のままだと思われていると、未来に影響を及ぼしかねないのではないか……?
意を決して私が小さく手を振ると、フレデリック殿下も再び手を振る。
幼い王子とその婚約者が並んで、民衆に向けて手を振っていたら──婚約者が自分でさえなければ、微笑ましい光景に映る筈だ。
心を無にして手を振ったが、隣のフレデリック殿下が妙に楽しそうだからまぁいいかと、自分の心を納得させた。
そして湧き上がる歓声の中、ついに舞台の幕が開いた。
纏うマゼンタのドレスには、繊細な黒と白のチュールレースが、ふんだんにあしらわれている。
ツインテールの髪をゆるく巻き、頭の上のへッドドレスのサイドには、気に入りのモチーフである薔薇とリボン。
劇場の中に足を踏み入れると、テーマパークや遊園地に来た時のような高揚感が湧き上がった。
場内は純度の高い金の装飾が施されており、天井からはシャンデリアが吊り下げられている。
豪華な内装も相まって、今から始まる舞台の期待が気分をワクワクさせていた。
二階より上は貴族のためのボックス席で、壁側をぐるりと囲むように配置されている。二階の一番前の席は吹き抜けの作りとなった、王族専用のロイヤルボックス。私達の席は当然この席になる。
ロイヤルボックスは社交としての役割もあるので、この席はとても目立つ。
王族が観劇とあらば、皆が注目するのは当然。そして今夜は王子様が婚約者を連れているので尚更だった。
劇が始まる前、人々は舞台ではなくしきりにわたし達の方ばかりを見てくる。
そんな人々にフレデリック殿下がにこやかに手を振ると、黄色い歓声が起こった。
「皆んなセレスティアの方を見ているよ」
「そんな訳ないでしょう。殿下を見ているのですわ」
「セレスティアがこんなに可愛いんだから、皆が釘付けになってしまうのはしょうがないよね」
「え」
にこにこと嬉しそうに微笑むフレデリック殿下は、わたしに手を振ふらせようと、何故か諦めてくれない。
わたしが手を振った瞬間「フレデリック殿下に手を振ったのに、自分に振ってると勘違いしたの?」「勘違いウケる!」「自意識過剰!」と人々から嘲笑されるに違いない。
とのオタク特有の被害妄想が脳内で炸裂していた。
しかし今のところ、王太子妃になる予定のわたしが愛想がないと、王子の傲慢な婚約者としてバッシングされる可能性もある。それはそれで何とも恐ろしい!
いくら見た目を変えてイメージを払拭したとしても、セレスティアの王子の婚約者としての立ち位置は変わっていないのだから。
冷たくて傲慢のままだと思われていると、未来に影響を及ぼしかねないのではないか……?
意を決して私が小さく手を振ると、フレデリック殿下も再び手を振る。
幼い王子とその婚約者が並んで、民衆に向けて手を振っていたら──婚約者が自分でさえなければ、微笑ましい光景に映る筈だ。
心を無にして手を振ったが、隣のフレデリック殿下が妙に楽しそうだからまぁいいかと、自分の心を納得させた。
そして湧き上がる歓声の中、ついに舞台の幕が開いた。
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