2 / 2
鱗の竪琴
しおりを挟む
海辺の教会の神官が使う竪琴がある。
この海には人魚がいて、それは神でもあった。守り神でもあり、背けば災いをもたらす祟り神でもある。
ただ、この人魚の神は人間からたいそうほしがったものがあった。
竪琴での演奏である。
遠い昔、この土地に人間たちが町を作ろうとした時のこと、人魚が海から現れた。それは神を名乗り、町を作ることに難色を示したが、流れ着いた人の一人が持っていた竪琴で演奏を奉納すると、神はたいそう喜び、町作りの許可を出した。以来、この町は一年に一度お祭りを開き、神官が演奏を奉納する。そうやって、この町は神の祟りから守られてきていた。
人魚の神はその日陸の近くまでやってくる。岩場の上で神官が演奏すると、今年の奉納の証として、自分の鱗を一枚渡すのだ。その鱗は竪琴に貼り付けられる。楽器は、今ではすっかり、鱗に覆われていた。古い物から割れたりするので、鱗があぶれることはない。
神の鱗を張った竪琴であるから、その内それ自体が神性を帯び始めた。月の光を浴びると、弦が淡く光るようになったのだ。月の満ち欠けと海の満ち引きは関連があると言われており、恐らく、海の力を得た竪琴は、月の光に反応するようになったのだろう、と言われている。
お祭りがある月夜の晩、神官が月光の元で人魚に捧げる曲を奏でると、弦は淡く光り、音はまるで転がる真珠の粒のようにぽろぽろとこぼれて海へ落ちていった。
まるで涙のようだった、とある代の神官は語った。
とても美しく、神官もまた泣いてしまったのだという。
人魚の鱗を貼り付けて、月夜に光る竪琴は、今もその町で使われている。
この海には人魚がいて、それは神でもあった。守り神でもあり、背けば災いをもたらす祟り神でもある。
ただ、この人魚の神は人間からたいそうほしがったものがあった。
竪琴での演奏である。
遠い昔、この土地に人間たちが町を作ろうとした時のこと、人魚が海から現れた。それは神を名乗り、町を作ることに難色を示したが、流れ着いた人の一人が持っていた竪琴で演奏を奉納すると、神はたいそう喜び、町作りの許可を出した。以来、この町は一年に一度お祭りを開き、神官が演奏を奉納する。そうやって、この町は神の祟りから守られてきていた。
人魚の神はその日陸の近くまでやってくる。岩場の上で神官が演奏すると、今年の奉納の証として、自分の鱗を一枚渡すのだ。その鱗は竪琴に貼り付けられる。楽器は、今ではすっかり、鱗に覆われていた。古い物から割れたりするので、鱗があぶれることはない。
神の鱗を張った竪琴であるから、その内それ自体が神性を帯び始めた。月の光を浴びると、弦が淡く光るようになったのだ。月の満ち欠けと海の満ち引きは関連があると言われており、恐らく、海の力を得た竪琴は、月の光に反応するようになったのだろう、と言われている。
お祭りがある月夜の晩、神官が月光の元で人魚に捧げる曲を奏でると、弦は淡く光り、音はまるで転がる真珠の粒のようにぽろぽろとこぼれて海へ落ちていった。
まるで涙のようだった、とある代の神官は語った。
とても美しく、神官もまた泣いてしまったのだという。
人魚の鱗を貼り付けて、月夜に光る竪琴は、今もその町で使われている。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄が聞こえません
あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。
私には聞こえないのですが。
王子が目の前にいる? どこに?
どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。
※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
真実の愛ならこれくらいできますわよね?
かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの
でもそれは裏切られてしまったわ・・・
夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。
ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる