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しおりを挟むそして、エスフォード王子殿下が主催される舞踏会の当日がやってきた。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢に用意してもらったドレスに着替え、同じくマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢に用意してもらったアクセサリーを身に付けた。
お化粧もマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢付きの侍女にしていただいた。
「まあ、見違えましたわ。とても似合っているわ。」
舞踏会用のドレスを身にまとった私の姿を見て、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が頬を上気させながら微笑んだ。私は、姿見で自分の姿を確認する。
「まあ……。」
そこには、別人のような私が映っていた。
これなら、貴族ばかりの舞踏会に紛れ込んでも目立つことはないだろう。
どこからどうみても、貴族令嬢にしか見えない。
「これならあなたが浮く心配もないわね。でも、別の心配がでてきたわ。多くの貴族男性に囲まれてしまうのではないかしら?それほど魅力的よ。」
「それは、困るかも……。」
「そうね。あなたダンスなんて踊れないでしょう?男性からのダンスの誘いは基本的には断れないわ。とくに相手の身分が自分より上だとしたら断ることはまず許されないわね。」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢はそう言って困ったように笑った。
確かに私はダンスなんて踊れない。というか、踊ったことがない。誰かに教えてもらったこともないし。
「……でも、きっとダンスを踊ることにはならないと思うから大丈夫。」
「あら?その自信はどこから来ているのかしら?」
「実は……。」
私は、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢に、エスフォード王子殿下とのやり取りを説明した。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は驚いたように目を瞠っている。そして、徐々に頬が赤く色づいてくる。目も輝きだす。
「なんてなんて素敵なのっ!あなた、やるわね。あのエスフォード王子殿下をたきつけるだなんて。とても素晴らしいわ。私の夢が一つ叶うわね。」
両手を頬に染めて、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は嬉しそうに微笑んだ。今にも飛んで行ってしまいそうなほどはしゃいでいるのが見て取れた。
私はそんなマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢を見て嬉しくなった。
私たちは未来への希望を持って舞踏会に向かう馬車に乗り込んだ。
ついた先は王宮の煌びやかな舞踏会だった。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢の横に並び舞踏会の会場に足を踏み入れた。
なにもかもが眩しくて私は目を細める。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢がそんな私に気づいて、パシッと軽く私の背中を叩いた。
「姿勢を正して、きょろきょろと視線を彷徨わせない。目立ってしまうわよ。」
「は、はい。」
「よろしい。さて、エスフォード王子殿下を探しましょうか。さっさと終わらせてゆっくり勝利を噛みしめましょう。」
「ええ。」
私たちはエスフォード王子殿下を探します。
そして、しばらくして私たちはエスフォード王子殿下のことを見つけました。
エスフォード王子殿下も私たちに気づいたようで先ほどまでにこやかに隣にいる男性としゃべっていたのに、こちらを見て私たちを睨みつけてきました。
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