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しおりを挟むエスフォード王子殿下の主催する舞踏会まで特になにもなかった。
エスフォード王子殿下が絡んでくることもなければ、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢とエスフォード王子殿下が一触即発になることもなかった。
毎日がとても平和に過ぎていった。舞踏会への招待状が届くまでは。
エスフォード王子殿下が主催される舞踏会は王侯貴族が参加される。
エスフォード王子殿下が貴族たちとの繋がりを深めるための舞踏会だ。
私は孤児院出身の平民だから普通はエスフォード王子殿下の舞踏会には参加できないはずだった。ただ、闇魔法の使い手が珍しいということもあって、なぜかエスフォード王子殿下からではなく、国王陛下から直々に参加するようにと招待状を得たのであった。
問題は舞踏会に着て行くようなドレスがないことだ。ドレスどころかアクセサリーもない。
ちなみに、孤児院出身なので自由にできるお金もない。つまり、ドレスもアクセサリーもレンタルすることもできないのだ。
学園服は支給されているが、それで舞踏会に参加するのはとても浮いてしまうだろう。
「まあ。あなたも舞踏会に参加なさるの?平民なのに?」
どうしようかと悩んでいると、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が話しかけてきた。
「はい。国王陛下から直々に招待状が届きました。」
「まあ!国王陛下は何をお考えになっておられるのでしょう。エスフォード王子殿下の舞踏会なんですのよ?それに、平民を招待なさるだなんて。きっと、招待される平民はあなただけでしょうに……。だいたい、ドレスやアクセサリーは持っていますの?学園服で参加なさるのはお勧めしないわ。ただでさえ平民ということで浮いてしまうでしょうに、学園服で参加だなんてとても浮いてしまうわ。あなた、見世物になってしまいましてよ。」
「……はい。」
「国王陛下はとても素晴らしいお方なのに、なぜこんなにもあなたに対して酷いことをなさるのでしょうか。」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は眉をひそめて、心配そうに私を見つめた。
「私があなたに似合うドレスとアクセサリーを用意いたしますわ。国王陛下からの招待を断るわけにはいきませんものね。」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は心配そうな顔をしながらも、私のためにドレスとアクセサリーを用意してくださるとおっしゃってくれた。
「ありがとうございます。」
「あなたにピッタリなドレスを用意させるわ。それから当日は私と一緒に行動いたしましょう。」
「なにからなにまで有難うございます。マチルダ様。」
私はマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢に感謝した。
とても心細かったからとてもありがたい。
私は、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢の有難い提案に乗ることにした。
☆☆☆☆☆
長らく更新停止しており申し訳ございませんでした。
完結まで書き上げておりますので、本日より毎日更新いたします。最後までお付き合いいただければ幸いですm(_ _)m
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