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マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢と次第に仲良くなっていった私は、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢の取り巻きの令嬢たちとも次第に交流を深めていった。
今まで友達どころか交流を深めるだけの知り合いもいなかったのに。悪役令嬢であるマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢と仲良くなることによって友達が出来るなんて不思議なことこのうえない。
「あの……マチルダ様のことを皆様どう思っていらっしゃるんですか?」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が席を外しているときに、取り巻きの一人であるラーシャ・ルーン伯爵令嬢に尋ねた。
ラーシャ・ルーン伯爵令嬢はにっこりと微笑んだ。
「マチルダ様は素晴らしいお方ですわ。腐った貴族たちをたしなめてくださる姿が素敵で私は尊敬しておりますの。」
「……そうですか。あの……マチルダ様は王子殿下の婚約者だと伺ったのですが……。」
「ええ。そうよ。マチルダ様が稀少な闇魔法の使い手だからと王子殿下の婚約者になったのよ。マチルダ様が王太子妃になって王妃になれば、この国は安泰だわ。でも、王子殿下の良い噂は聞かないから、マチルダ様のことが心配ではあるのよ。」
「えっと、王子殿下にお会いしたことがないのですが……本当にこの学園に通っているといるんでしょうか?」
王子殿下がメメラニア王立学園に編入されてから1ヶ月が経とうとしている。しかし、ヒロインであるはずの私は不思議と王子殿下にまだ一度もお会いしていない。
私が闇魔法の使い手だから、だろうか。
「あー……。王子殿下は、えっと……たぐいまれなる偏見をお持ちで、ね。」
ラーシャ・ルーン伯爵令嬢は歯切れが悪い。言いにくいことがあるようだ。
でも、将来国王となる王子殿下が偏見を持っているというのは非常にいただけないような気がする。偏見は差別を産みだしてしまう。
「王子殿下は偏見をお持ちなのですね。いったいどのような偏見を……?」
「……闇魔法に対する偏見。この学園にはマチルダ様とリリーナ嬢が通っていらっしゃいますでしょう?だからね、闇魔法の使い手なんかと一緒に学園生活は送れないとかなんとかで……学園にいらしていないそうなの。王子殿下の取り巻きたちも王子殿下の意見に逆らえずに学園には来ていないようよ。」
「……え?」
まさか、王子殿下がメメラニア王立学園に来ていない理由がマチルダ様と私が闇魔法の使い手だからだとは思わなかった。
王子殿下が15歳になったらメメラニア王立学園に通い学友と学ぶのはこの国のしきたりだったと記憶しているのだけれども。
同年代の貴族と縁を繋ぐことは悪いことではないはずだ。
「王宮に家庭教師を呼んで勉強なさっているらしいの。王子殿下は貴族をなんだと思っているのかしら。人脈はとても大切だというのに。このままではマチルダ様のお心が心配で、心配で……。」
そう言って、ラーシャ・ルーン伯爵令嬢はハンカチで涙を拭った。
「まさか、王子殿下は光魔法を異常に神聖化されておられたり……。」
「ええ。そうよ。光魔法こそ全てだとおっしゃっているそうだわ。本当かどうかは知らないけれど。王族が一つの属性魔法を神聖化させるのはどうかと思うのよ。それに、闇魔法は悪として正そうとしているようですし。本当にマチルダ様が心配だわ。」
王子殿下にお会いしたことはないけれど、どうにも非常にやっかいな人格をしているようだ。
そして私はこの数日後に王子殿下と初めて会うことになるのだった。
今まで友達どころか交流を深めるだけの知り合いもいなかったのに。悪役令嬢であるマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢と仲良くなることによって友達が出来るなんて不思議なことこのうえない。
「あの……マチルダ様のことを皆様どう思っていらっしゃるんですか?」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が席を外しているときに、取り巻きの一人であるラーシャ・ルーン伯爵令嬢に尋ねた。
ラーシャ・ルーン伯爵令嬢はにっこりと微笑んだ。
「マチルダ様は素晴らしいお方ですわ。腐った貴族たちをたしなめてくださる姿が素敵で私は尊敬しておりますの。」
「……そうですか。あの……マチルダ様は王子殿下の婚約者だと伺ったのですが……。」
「ええ。そうよ。マチルダ様が稀少な闇魔法の使い手だからと王子殿下の婚約者になったのよ。マチルダ様が王太子妃になって王妃になれば、この国は安泰だわ。でも、王子殿下の良い噂は聞かないから、マチルダ様のことが心配ではあるのよ。」
「えっと、王子殿下にお会いしたことがないのですが……本当にこの学園に通っているといるんでしょうか?」
王子殿下がメメラニア王立学園に編入されてから1ヶ月が経とうとしている。しかし、ヒロインであるはずの私は不思議と王子殿下にまだ一度もお会いしていない。
私が闇魔法の使い手だから、だろうか。
「あー……。王子殿下は、えっと……たぐいまれなる偏見をお持ちで、ね。」
ラーシャ・ルーン伯爵令嬢は歯切れが悪い。言いにくいことがあるようだ。
でも、将来国王となる王子殿下が偏見を持っているというのは非常にいただけないような気がする。偏見は差別を産みだしてしまう。
「王子殿下は偏見をお持ちなのですね。いったいどのような偏見を……?」
「……闇魔法に対する偏見。この学園にはマチルダ様とリリーナ嬢が通っていらっしゃいますでしょう?だからね、闇魔法の使い手なんかと一緒に学園生活は送れないとかなんとかで……学園にいらしていないそうなの。王子殿下の取り巻きたちも王子殿下の意見に逆らえずに学園には来ていないようよ。」
「……え?」
まさか、王子殿下がメメラニア王立学園に来ていない理由がマチルダ様と私が闇魔法の使い手だからだとは思わなかった。
王子殿下が15歳になったらメメラニア王立学園に通い学友と学ぶのはこの国のしきたりだったと記憶しているのだけれども。
同年代の貴族と縁を繋ぐことは悪いことではないはずだ。
「王宮に家庭教師を呼んで勉強なさっているらしいの。王子殿下は貴族をなんだと思っているのかしら。人脈はとても大切だというのに。このままではマチルダ様のお心が心配で、心配で……。」
そう言って、ラーシャ・ルーン伯爵令嬢はハンカチで涙を拭った。
「まさか、王子殿下は光魔法を異常に神聖化されておられたり……。」
「ええ。そうよ。光魔法こそ全てだとおっしゃっているそうだわ。本当かどうかは知らないけれど。王族が一つの属性魔法を神聖化させるのはどうかと思うのよ。それに、闇魔法は悪として正そうとしているようですし。本当にマチルダ様が心配だわ。」
王子殿下にお会いしたことはないけれど、どうにも非常にやっかいな人格をしているようだ。
そして私はこの数日後に王子殿下と初めて会うことになるのだった。
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