63 / 184
第十八章 極道の側は危険がいっぱい
冨樫の葛藤
しおりを挟む
葉月は冨樫と共にマンションに戻り、シャワーを浴びた。
冨樫は苛立ちを見せていた。
葉月が自分以外の男に犯されたことに、自分自身を許せない気持ちがあった。
葉月が視力を失ったこと、信頼していた冨樫組組員の裏切り。
このまま、葉月が自分の側にいて守り切れるのか。
葉月を手放したくない気持ちと、葉月を自分から解放する気持ちの狭間で、
葛藤していた。
葉月はゆっくりと湯船に浸かった。
冨樫さんは怒っているんだ。
それはそうよね、私はまた冨樫さん以外の男に抱かれてしまった。
冨樫さん以外の男に感じてしまうこの身体が憎い。
どうしたら、冨樫さんは許してくれるだろうか。
シャワールームを出て、リビングのドアを開けようとした時、冨樫の
声が聞こえてきた。
「どうして俺は葉月を守ってやれないんだ、これ以上葉月を危険な目に
合わせることは出来ない、でも葉月を解放してやることも出来ない」
冨樫さん、ごめんなさい、私はあなたを苦しめていますよね。
葉月はリビングのドアにもたれかかり泣いていた。
「葉月」
冨樫は葉月の泣いている声に気づいてドアを開けた。
「葉月、どうしたんだ」
冨樫は手を差し伸べて、葉月を抱き寄せた。
「冨樫さん、私は……」
冨樫は葉月の言葉を遮った。
「もう、何も言うな、俺はお前を手放すことが出来ない、俺の側にいると
危険だとわかっていても……」
冨樫はギュッと葉月を抱きしめた。
葉月は抱きしめられたまま、眠りについた。
冨樫は葉月の頬の涙を拭った。
俺はお前を不幸にしているな。
わかっていても、葉月を愛する気持ちは止められなかった。
冨樫は仕事に没頭した。
葉月を気遣うあまり、組員の信頼も冨樫組の存続も危うい状況だった。
そんな時、金子組組長が話があると冨樫を呼び出した。
「いつもお気遣い頂き、ありがとうございます」
「実はな、白金組組長のお嬢さんがお前を偉く気に入ってな」
先日組長の集まりに来ていたのが白金由子だった。
「自分はもう結婚しているんで……」
「わかっているよ、食事に誘ってやってくれないか、白金組長のたっての頼みだ」
「わかりました」
食事くらいならと冨樫は軽く考えていた。
冨樫はマンションに戻ると、金子組長の話を葉月に伝えた。
「白金組長のお嬢さんを食事に誘ってあげてくれと頼まれた」
「そうですか」
「今週末だから、ヤスシに来てもらう、それでいいか」
「大丈夫です」
葉月は大丈夫ではなかった。
自分は冨樫にとって足手まといでしか無い。
冨樫は白金組長のお嬢さんと人生を歩んでいくのが一番いいんだ。
そうわかっていても、こんな状態で一人で生きていけない。
どうすればいいの。
冨樫は苛立ちを見せていた。
葉月が自分以外の男に犯されたことに、自分自身を許せない気持ちがあった。
葉月が視力を失ったこと、信頼していた冨樫組組員の裏切り。
このまま、葉月が自分の側にいて守り切れるのか。
葉月を手放したくない気持ちと、葉月を自分から解放する気持ちの狭間で、
葛藤していた。
葉月はゆっくりと湯船に浸かった。
冨樫さんは怒っているんだ。
それはそうよね、私はまた冨樫さん以外の男に抱かれてしまった。
冨樫さん以外の男に感じてしまうこの身体が憎い。
どうしたら、冨樫さんは許してくれるだろうか。
シャワールームを出て、リビングのドアを開けようとした時、冨樫の
声が聞こえてきた。
「どうして俺は葉月を守ってやれないんだ、これ以上葉月を危険な目に
合わせることは出来ない、でも葉月を解放してやることも出来ない」
冨樫さん、ごめんなさい、私はあなたを苦しめていますよね。
葉月はリビングのドアにもたれかかり泣いていた。
「葉月」
冨樫は葉月の泣いている声に気づいてドアを開けた。
「葉月、どうしたんだ」
冨樫は手を差し伸べて、葉月を抱き寄せた。
「冨樫さん、私は……」
冨樫は葉月の言葉を遮った。
「もう、何も言うな、俺はお前を手放すことが出来ない、俺の側にいると
危険だとわかっていても……」
冨樫はギュッと葉月を抱きしめた。
葉月は抱きしめられたまま、眠りについた。
冨樫は葉月の頬の涙を拭った。
俺はお前を不幸にしているな。
わかっていても、葉月を愛する気持ちは止められなかった。
冨樫は仕事に没頭した。
葉月を気遣うあまり、組員の信頼も冨樫組の存続も危うい状況だった。
そんな時、金子組組長が話があると冨樫を呼び出した。
「いつもお気遣い頂き、ありがとうございます」
「実はな、白金組組長のお嬢さんがお前を偉く気に入ってな」
先日組長の集まりに来ていたのが白金由子だった。
「自分はもう結婚しているんで……」
「わかっているよ、食事に誘ってやってくれないか、白金組長のたっての頼みだ」
「わかりました」
食事くらいならと冨樫は軽く考えていた。
冨樫はマンションに戻ると、金子組長の話を葉月に伝えた。
「白金組長のお嬢さんを食事に誘ってあげてくれと頼まれた」
「そうですか」
「今週末だから、ヤスシに来てもらう、それでいいか」
「大丈夫です」
葉月は大丈夫ではなかった。
自分は冨樫にとって足手まといでしか無い。
冨樫は白金組長のお嬢さんと人生を歩んでいくのが一番いいんだ。
そうわかっていても、こんな状態で一人で生きていけない。
どうすればいいの。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
純愛以上、溺愛以上〜無愛想から始まった社長令息の豹変愛は彼女を甘く包み込む~
芙月みひろ
恋愛
保険会社の事務職として勤務する
早瀬佳奈26才。
友達に頼み込まれて行った飲み会で
腹立たしいほど無愛想な高原宗輔30才と出会う。
あまりの不愉快さに
二度と会いたくないと思っていたにも関わらず
再び仕事で顔を合わせることになる。
上司のパワハラめいた嫌がらせに悩まされていた中
ふと見せる彼の優しい一面に触れて
佳奈は次第に高原に心を傾け出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる