俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛

ラヴ KAZU

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拓真の娘ユリエと大館の恋①

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俺とかすみの子供は順調に育ち、臨月を迎え無事に生まれた。

女の子だった。

ユリエと名付けた。

あれから十八年の歳月が流れた。




ユリエは十八歳を迎え、毎日がたのしい。

年頃になり、ますますかすみに似てきた。

「お嬢、制服のスカートが短すぎます」

「お嬢、門限を守ってもらわなければ困ります」

親の俺よりもうるさいのはツトムだ。

「パパ、ツトムうるさいんだけど……」

「お嬢が自分の言うことを聞いてくれないからです、みんなお嬢を見ています、
悪い虫がついたら大変です」

そこへやってきたのは大館だった。

「組長、お無沙汰してしまい申し訳ありません」

「いつも、任せっきりで悪いな」

そんな大館をユリエはじっと見つめていた。

そう、ユリエは大館が大好きなのだ。

「大館、元気だった?」

「はい、お嬢はいかがお過ごしでしたか」

「大館があんまり顔見せてくれないから、ユリエは寂しかったよ」

「申し訳ありません」

ユリエはすごく積極的だ。

「大館、ちょっと付き合ってくれる?行きたいところがあるの」






「はい、お供いたします」

ユリエは大館と出かけた。

ユリエはワンピースに着替えて、大人っぽく振る舞った。

ユリエ、十八歳、大館四十八歳。

三十の年の差がある。

多分大館はユリエを子供扱いしているのだろう。

しかし、かすみに似てきているユリエに心惹かれているのは確かだ。

ユリエは大館の腕に手を回してニコニコしている。

「お嬢、どこに行かれるのですか」

「下着買いたいの、大館はどんなのが好き?」

「いや、自分はよくわかりません、ここで待ってますから」

「大館、かわいい」

ユリエは大館を意識して下着を選んでいた。

ユリエが買い物を終えると、大館の姿を見つけて勢いよく、店から飛び出した。

「ご、ごめんなさい」

ユリエは明らかに人相が悪い男にぶつかった。

「お嬢ちゃん、ごめんで済めば警察はいらねえんだよ」

そう言って腕を掴まれた。




「大館、助けて」

大館はユリエの助けを求める声を聞いて、ユリエの声がする方へ急いだ。

「お嬢を離せ」

「なんだ、お前、痛い目に遭いたくなければ引っ込んでろ」

大館はその男を殴りつけた。

「俺は新堂組若頭、大館だ、二度とお嬢に手を出すんじゃねえ」

男は震え慄いてその場を逃げ出した。

「お嬢、大丈夫ですか」

「大丈夫、大館、強いね、ありがとう」

「いえ、それほどでもありません」

「大館、ずっとユリエのそばにいて、私を守ってね」

「はい」

ユリエの中は大館でいっぱいになった。





帰りの車の中でユリエは大館に気持ちをぶつけた。

「ねえ、大館、大館は彼女はいないの?」

「そうですね、誰からも相手にしてもらえません」

「嘘、絶対モテるよね」

「そんなことはありませんよ」

「だって、大館は強いし、かっこいいし、私の友達もみんな言ってるよ」

大館は照れた様子の表情を見せた。

「彼女いないなら、ユリエが彼女になってあげる」

「それは光栄です」

ユリエの表情がパッと明るくなった。

「それなら今からユリエは大館の彼女ね」

「まだダメです」

「どうして?」

「お嬢は未成年ですから、今は学業に専念してください」

「じゃあ、二十歳になったらいい?」

「お嬢、お嬢が二十歳になったら、自分はもう五十です、その頃はお嬢に似合う
堅気の男性が現れますよ」

「大館はいつもそうやって、ユリエを子供扱いして、もう知らない」

ユリエは頬を膨らませて、怒って見せた。

お嬢は益々かすみさんに似てくる。

親子ほど年が離れているのに、俺はお嬢に惹かれる気持ちが止められねえ。




俺を慕ってくれるのはすごく嬉しい。

あれはお嬢が十歳の時だった。

「大館、ユリエを大館のお嫁さんにして」

「お嫁さんですか」

「ダメ?」

「ダメじゃありません」

「じゃあ、約束ね」

そしてお嬢が十五歳を迎えた時も、言われた。

「大館、ユリエ、来年になったら結婚出来るから、結婚して」

「お嬢はまだ未成年ですから、大人になってからじゃないと結婚は出来ません」

俺はその内俺に対する気持ちは消えるだろうと鷹を括っていた。

俺は組長にお嬢の護衛をツトムと代わってもらうように申し出た。

「そうか、ユリエがそんなことを……」

「いっときの気の迷いですので、ちょっとの間距離を置かせてください」

「分かった」

そして、お嬢の護衛はツトムに代わった。
「パパ、なんで大館じゃないの」
「大館には会社を頼んだ、これからはおまえの護衛はツトムだ」

ユリエは頬を膨らませていた。



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