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かすみが託した手紙②
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「君はかすみなのか」
「私はユリエ、健斗、かすみが泣いてるよ、それに健斗が自ら命を絶ったら、かすみと会えないよ、早くベッドに戻して、かすみの手紙読んで」
かすみ。
俺はかすみをギュッと抱きしめて、建物に戻ろうと、ユリエの方に視線を移すと、
ユリエはいなかった。
そこに慌てて駆け寄ってきたのはツトムだった。
「組長、これ、かすみさんからの手紙です、もしもの時、組長に渡してと頼まれていました」
俺はかすみと共に、部屋に戻った。
かすみをベッドに寝かせて、手紙の封を開けた。
封筒の中には鍵と一通の手紙が入っていた。
拓真はかすみからの手紙に目を通した。
手紙の内容は信じられない内容だった。
『拓真さん、この手紙を拓真さんが読んでいる時は、私はもうこの世にはいないと言うことですね、三年前に子宮がんが見つかった時から、この運命は変えられないとわかっていました、でも、私の卵子を受け取ってくれる男性は誰なのか、わかりませんでした、でも私の卵子を冷凍保存しておくことを勧められて、決意しました、この手紙を書いている時は、私の卵子を受け取って欲しい相手が拓真さんでした、私の卵子と拓真さんの精子を体外受精させて、アメリカの子宮を貸してくれる女性に育ててもらうと、拓真さんと私の赤ちゃんが生まれてきます、でももし、拓真さんがそれを望まないのであれば、そのまま拓真さんの人生を歩んで行ってください、でももしその気持ちがあるならば、この手紙に書いてある連絡先にお電話をお願いします、かすみ、愛する拓真さんへ』
卵子の冷凍保存だなんて、俺とかすみの子供が生まれてくるなんて。
思ってもみないことに一瞬固まった。
かすみ、お前は二人の子供を望んでいるのであれば、俺は残りの人生で、
お前の望みを叶えよう。
二人の子供が俺の人生の生きがいになる。
かすみ、お前は全てお見通しだったんだな。
かすみと共に人生のピリオドを打とうとしている俺に生きがいを与えてくれた。
かすみが卵子を残しているのに、俺との子供を望んでいるのに、俺はその気持ちを無視出来ない、それに俺もかすみとの子供は欲しいよ。
「組長、かすみさんはなんて言ってるんですか」
俺にツトムは声をかけた。
「この手紙はいつ受け取ったんだ」
俺はツトムに尋ねた。
「台風でヘリが飛ばずに組長が帰ってこれなかった時です、私に万が一のことがあったら、
必ず、拓真さんに渡してと言って託されました」
「そうか」
そこへ大館が慌てて部屋に飛び込んできた。
「社長、ご無事で」
「すまん、みんなに迷惑かけたな」
「いえ」
「東京に戻って、かすみの葬儀をする、そして、俺とかすみの子供をこの世に生み出す」
大館とツトムはポカンとしていた。
「社長、大丈夫でしょうか」
俺はかすみからの手紙を二人に見せた。
「かすみさんはそんなことを考えていたんですね、驚きました」
「そんなこと出来るんですね」
二人とも口々に驚きを隠せずにいた。
俺はその時、夢に出てきたユリエと言う女性のことを思い出していた。
「お願い、私は一人じゃこの世に来れない、健斗に頑張ってもらわないとダメなの」
ユリエは俺とかすみの娘なのか。
「おい、娘を向かい入れる、名前はユリエ、かすみそっくりのな」
俺はベッドで眠るように息を引き取ったかすみを抱きしめた。
かすみ、俺はお前の望みを叶える。
俺の残りの人生をかけて、ユリエを育てるよ。
お前そっくりの娘なんて、溺愛しすぎて、大変かもな。
俺に生きる希望を与えてくれてありがとう。
俺は早速、東京へ戻り、かすみの葬儀を取り行う準備に入った。
俺と大館、ツトムはかすみと共にかすみ島を後にした。
滞りなくかすみの葬儀は終了した。
新堂組員、春日部コーポレーション社員、全員がかすみの棺に寄り添い涙してくれた。
それだけ、みんなに愛されるかすみだった。
俺はしばらく、かすみと共に生活した。
納骨はしばらく出来ないと思っている。
小瓶にかすみの骨のかけらを入れて俺はいつも持ち歩いている。
かすみ、今日、手紙に書いてある研究所の佐々木さんに会ってくるよ。
俺は出かけた。
手紙に書いてあった研究所に着くと、佐々木さんを訪ねた。
「花園かすみの夫で、春日部コーポレーション社長の春日部拓真と申します」
「私は当研究所の所長、佐々木幸雄と申します」
「かすみから、佐々木さんを訪ねるように言われまして、ぜひかすみの卵子と俺の精子で子供をお願いしたいのですが……」
「そうですか、かすみさんは……」
「一週間前に他界致しました」
「そうでしたか、お悔やみ申し上げます」
佐々木さんは深々と頭を下げた。
「早速ですが、どうすればいいのでしょうか」
「まず、かすみさんの冷凍保存してある卵子と春日部さんの精子を体外受精させます、
そして見事受精したものを子宮に着床させます、そして、約十ヶ月お腹で育て、出産になります、あとは育てていくわけですが、赤ちゃんを育てる環境は整っていますか」
「どう言うことでしょうか」
「新たな春日部さんのパートナーの方とお育てになるのでしょうか」
「いえ、俺は生涯一人で生きていきます、でもかすみを慕っていた身内がいますので、
男ばかりですが、なんとかなります、いえして見せます」
「そうですか、子宮を提供してくれる方とはお会いになることは出来ません、その点ご承知おきください」
「料金はどのタイミングでどの程度でしょうか」
「後で契約書をお渡しします」
「では、早速、春日部さんの精子を採取致します」
俺は契約書にサインをして、精子の採取に挑んだ。
俺は佐々木さんに挨拶をして、その場を後にした。
「私はユリエ、健斗、かすみが泣いてるよ、それに健斗が自ら命を絶ったら、かすみと会えないよ、早くベッドに戻して、かすみの手紙読んで」
かすみ。
俺はかすみをギュッと抱きしめて、建物に戻ろうと、ユリエの方に視線を移すと、
ユリエはいなかった。
そこに慌てて駆け寄ってきたのはツトムだった。
「組長、これ、かすみさんからの手紙です、もしもの時、組長に渡してと頼まれていました」
俺はかすみと共に、部屋に戻った。
かすみをベッドに寝かせて、手紙の封を開けた。
封筒の中には鍵と一通の手紙が入っていた。
拓真はかすみからの手紙に目を通した。
手紙の内容は信じられない内容だった。
『拓真さん、この手紙を拓真さんが読んでいる時は、私はもうこの世にはいないと言うことですね、三年前に子宮がんが見つかった時から、この運命は変えられないとわかっていました、でも、私の卵子を受け取ってくれる男性は誰なのか、わかりませんでした、でも私の卵子を冷凍保存しておくことを勧められて、決意しました、この手紙を書いている時は、私の卵子を受け取って欲しい相手が拓真さんでした、私の卵子と拓真さんの精子を体外受精させて、アメリカの子宮を貸してくれる女性に育ててもらうと、拓真さんと私の赤ちゃんが生まれてきます、でももし、拓真さんがそれを望まないのであれば、そのまま拓真さんの人生を歩んで行ってください、でももしその気持ちがあるならば、この手紙に書いてある連絡先にお電話をお願いします、かすみ、愛する拓真さんへ』
卵子の冷凍保存だなんて、俺とかすみの子供が生まれてくるなんて。
思ってもみないことに一瞬固まった。
かすみ、お前は二人の子供を望んでいるのであれば、俺は残りの人生で、
お前の望みを叶えよう。
二人の子供が俺の人生の生きがいになる。
かすみ、お前は全てお見通しだったんだな。
かすみと共に人生のピリオドを打とうとしている俺に生きがいを与えてくれた。
かすみが卵子を残しているのに、俺との子供を望んでいるのに、俺はその気持ちを無視出来ない、それに俺もかすみとの子供は欲しいよ。
「組長、かすみさんはなんて言ってるんですか」
俺にツトムは声をかけた。
「この手紙はいつ受け取ったんだ」
俺はツトムに尋ねた。
「台風でヘリが飛ばずに組長が帰ってこれなかった時です、私に万が一のことがあったら、
必ず、拓真さんに渡してと言って託されました」
「そうか」
そこへ大館が慌てて部屋に飛び込んできた。
「社長、ご無事で」
「すまん、みんなに迷惑かけたな」
「いえ」
「東京に戻って、かすみの葬儀をする、そして、俺とかすみの子供をこの世に生み出す」
大館とツトムはポカンとしていた。
「社長、大丈夫でしょうか」
俺はかすみからの手紙を二人に見せた。
「かすみさんはそんなことを考えていたんですね、驚きました」
「そんなこと出来るんですね」
二人とも口々に驚きを隠せずにいた。
俺はその時、夢に出てきたユリエと言う女性のことを思い出していた。
「お願い、私は一人じゃこの世に来れない、健斗に頑張ってもらわないとダメなの」
ユリエは俺とかすみの娘なのか。
「おい、娘を向かい入れる、名前はユリエ、かすみそっくりのな」
俺はベッドで眠るように息を引き取ったかすみを抱きしめた。
かすみ、俺はお前の望みを叶える。
俺の残りの人生をかけて、ユリエを育てるよ。
お前そっくりの娘なんて、溺愛しすぎて、大変かもな。
俺に生きる希望を与えてくれてありがとう。
俺は早速、東京へ戻り、かすみの葬儀を取り行う準備に入った。
俺と大館、ツトムはかすみと共にかすみ島を後にした。
滞りなくかすみの葬儀は終了した。
新堂組員、春日部コーポレーション社員、全員がかすみの棺に寄り添い涙してくれた。
それだけ、みんなに愛されるかすみだった。
俺はしばらく、かすみと共に生活した。
納骨はしばらく出来ないと思っている。
小瓶にかすみの骨のかけらを入れて俺はいつも持ち歩いている。
かすみ、今日、手紙に書いてある研究所の佐々木さんに会ってくるよ。
俺は出かけた。
手紙に書いてあった研究所に着くと、佐々木さんを訪ねた。
「花園かすみの夫で、春日部コーポレーション社長の春日部拓真と申します」
「私は当研究所の所長、佐々木幸雄と申します」
「かすみから、佐々木さんを訪ねるように言われまして、ぜひかすみの卵子と俺の精子で子供をお願いしたいのですが……」
「そうですか、かすみさんは……」
「一週間前に他界致しました」
「そうでしたか、お悔やみ申し上げます」
佐々木さんは深々と頭を下げた。
「早速ですが、どうすればいいのでしょうか」
「まず、かすみさんの冷凍保存してある卵子と春日部さんの精子を体外受精させます、
そして見事受精したものを子宮に着床させます、そして、約十ヶ月お腹で育て、出産になります、あとは育てていくわけですが、赤ちゃんを育てる環境は整っていますか」
「どう言うことでしょうか」
「新たな春日部さんのパートナーの方とお育てになるのでしょうか」
「いえ、俺は生涯一人で生きていきます、でもかすみを慕っていた身内がいますので、
男ばかりですが、なんとかなります、いえして見せます」
「そうですか、子宮を提供してくれる方とはお会いになることは出来ません、その点ご承知おきください」
「料金はどのタイミングでどの程度でしょうか」
「後で契約書をお渡しします」
「では、早速、春日部さんの精子を採取致します」
俺は契約書にサインをして、精子の採取に挑んだ。
俺は佐々木さんに挨拶をして、その場を後にした。
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