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第二章

52 畏まる

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皆が寝静まる頃館を抜け出し、俺たちが住まう場所より少し離れた開けた場所に結界を張る。
この時間にさすがに闘技場を借りるわけにはいかないから、ここで手合わせをすることにしたのだ。
『手加減はせんぞ、翠蓮』
「ああっ!したら俺の訓練になんないだろうがっ!」
そして、彼らに向かって飛び出していく俺。

その訓練はおよそ1時間ほど行われ、俺の身体は打撲や骨折、切り傷など様々な生傷が絶えずある。
ダラダラと垂れ落ちる血液は尋常ではない。
『翠蓮、ここまでだ』
「がっ・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・くぅっ!」
『ほら、じっとして』
玄武が翳す手から水色の光が漏れて、俺の身体を治していく。
『やはり随分と弱くなっているな。これでは正直我々がお前に力を貸す理由がなくなる』
「っ!!!そうだな・・・・・・」
『ま、お前の人柄を好きだから、死ぬまで見限ることはないが。ただ、このままだとお前、もっとずっと弱くなるぞ?』
「・・・・・・うん、わかってる。だから、こうしてたまにでいいから手合わせしてくれ。あ、いや・・・・・・」
俺は一呼吸置いて・・・・・・

「青龍様、白虎様、朱雀様、玄武様、そして麒麟様。お手を煩わせることになりますが、どうか私めの力を維持するため、お力をお借りしとうございます」
『うむ、よかろう。今後ともお主のために力を貸そう』
『ああ、我らが愛し子よ。いつでも我らを頼りなさい』
「はっ!有り難きお言葉。感謝致します」
『ははは、スイから久しぶりに畏まった言葉を貰ったな』
「ぐっ・・・・・・・申し訳ございません」
『よいよい!普通の話し方でよい!逆に気持ち悪いわ!』
「おいっ!慣れない言葉遣いを頑張った俺に対してそれかっ??」
『はは』
「はは」
『『『『「はははははは」』』』』

星が煌めく夜空の下で、神々と笑う俺の姿はとても美しいかったと、麒麟様が後日教えてくださった。
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