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 ベッドに連れられ、眼の前で服を脱ぎ捨て惜しみなく晒されるラウルの体に、アメリはあの夜のことを思い出して体を疼かせる。古い傷跡が残るしっかりと鍛えられた逞しい体は、強烈な快楽から逃れようとするアメリをしっかりと繋ぎ止めて離さなかった。

(あれが…また、私を…)

 ズボンも脱いだ彼の下半身に、アメリの目が引き寄せられるように向けられる。下着の上からでも形がわかるほど、大きなそれは雄々しく勃ちあがっていた。

「もっ…もうそんなに…?」

「…だって…あなたを見たら…」

 勃たないと嘆いていた男は、一体どこにいったのか。先走りで下着にしみをつくりながら、目元を赤く染め僅かに息を荒くしたラウルはアメリに手を伸ばした。その手は彼女の服を脱がせようとするも、なかなかうまくいかない。

「…脱ぐわ」

 アメリは自分の服に手をかけ、釦を外して脱ぎ始める。想いに迷いはあっても体が彼を求め、誘惑に抗えなかった。

(…恥ずかしい)

 アメリが脱ぐ姿をラウルは目をそらさずにじっと見つめている。その視線を感じて気恥ずかしさを覚えながらも、アメリは手を止めない。あの夜、ラウルによって体に刻み込まれた快楽の記憶がアメリの体を疼かせ、手を進めさせる。彼女が服をすべて脱ぎ下着に手をかけたところで、ラウルはその手を止めた。

「…最後は…脱がせたい」

 その低く響く懇願にアメリはぞくりと体を震わせ、何も言わずに小さく頷く。膝立って軽く足を開いた彼女の下着に手を伸ばしたラウルは、そっと紐を解いた。

 秘部を遮っていた薄い布がはらりと落ちる。まだ触れられていなくともそこはしとどに濡れそぼち、これから与えられるものに期待して震えていた。

 ラウルはアメリの体をそっとベッドに倒すと、彼女の足を膝立たせ、左右に開かせてその間に割り込む。そこで膝立った彼は、自分の下着に手をかけた。抑えるものを失った彼の陰茎は勢いよく飛び出し、雄々しく反り立つ。

(…すっ…すご…すぎるわ…)

 柔らかなベッドに背を預け、その様子を見上げていたアメリは現れたものにごくりと生唾を飲んだ。美しく整った顔からは想像もつかない、凶悪ともいえるほど長く、大きい逸物だ。アメリがそれに目を奪われ、中を甘く疼かせているうちに、ラウルは指を滑らせ彼女の秘裂から指を差し入れた。

「あ…っ」

 アメリは節くれだった男の指に中を探され、息を吐く。彼女の反応をうかがいながら好いところを探り当てる指に翻弄され、指を増やされて弄られ快感を覚えながらも、まだ物足りなさを感じていた。

「あぁ…、私…っ」

 これでは足りない、もっと大きいものに中を擦られて、もっと長いものに奥を突かれたい。アメリはその渇望を思わず口にしてしまいそうになったが、羞恥で言葉を飲み込んだ。

 それに気づいた、というわけではないだろうが、ラウルは指を引き抜き彼女の両脚を抱える。そのまま押し開かれていよいよと期待したアメリは、そこに息がかかるのを感じて驚き、上体を上げた。

「なに…えっ!?ちょっと、ちょっとまって、…え、ぁっ?!」

 アメリの制止を聞くことなく、ラウルは彼女の股座に顔を寄せて秘裂に舌を這わせた。初めての感覚に驚き、声を上げるアメリをさらにせめるように、ラウルは秘裂から溢れた蜜をすすり、そこに添えられたぷくりと膨らんだ蕾に吸い付く。

「ひあっ…あ、あ、ぁ…っ」

 アメリは強烈な快感に腰を浮かし、背を反らせた。嬌声を上げて身を捩り、シーツを強く掴んで腰を揺らす。ラウルはアメリの痴態に興奮し、腰を揺らしながらだらだらと溢れ出た先走りでシーツにしみをつくりながらも、そのまま彼女の中に突き入れたい衝動と必死に戦っていた。たとえ、体からでもいいから受け入れてほしい、その願いで内にある凶暴な欲望を無理やり抑え込む。

「あっ、も…っあ、ぁあっ、……?」

 執拗にせめられ、いよいよというところで止められたアメリは目を見開いた。高められるだけ高められて寸止めされ、解放できずにいる情欲が頭の中を溶かしていく。

「…あぁ…っ、あなたの、中に…入りたい…」

 ラウルは熱を含んだ切なげな声で、彼女の耳元に囁いた。アメリはそのことしか考えられず、息を荒くしながらただ頷く。それを見届けると、ラウルは自身に魔法で避妊具を取り付け、彼女の秘裂に先をあてがった。

 いよいよ望んでいるものが与えられる、アメリは期待に胸を高鳴らせたが、それはまだ与えられなかった。すりすりと擦り付けられるも、中には入ってくることはなく、アメリは焦らされて懇願の目をラウルに向けた。

「…あなたの名を、あなたの口から、聞きたい…っ」

 懇願の目に対し、ラウルは彼女に懇願する。ぐずぐずに蕩けた頭ではそれに従うしかなく、アメリは自分の名を告げた。

「私は…アメリ…だから…っ」

 名を呼ぶ権利を得たラウルは目を潤ませ、嬉しそうに笑んだ。アメリの腰を掴み、先端を割れ目から飲み込ませると、とびきり甘い声で彼女の名を呼ぶ。

「…アメリ…」

 ラウルは同時に一気に腰を押し進め、滾った己の欲をアメリの最奥に突きつけた。

「あ…っ、…っ」

 待ち望んでいた、薄い膜に隔たれたその熱を感じて喜びに中は震える。最奥を突かれて走った快感に、アメリはそのまま達してしまった。

「あぁ…っう、ぅ…っ」

 絶頂を迎えた彼女の中は搾り取ろうとするかのようにうねり、ラウルは喘いだ。ともすれば吐精してしまいそうな快感に惚けながらもなんとか堪えた彼は、ゆっくりと腰を動かし、抽挿を始める。

「あ、ん、あぁ…っ」

 中を満たす熱い楔が動く度に擦れ、そこから快感を伝える。最奥まで届く熱にじわじわと快感が広がっていく。深く繋がったところから体を満たす快楽に、アメリは夢中になっていた。

(あぁ…気持ちいい…っ)

 自ら足を開いてラウルを受け入れ、必死に腰を振る彼の動きにあわせて深くつながるよう腰を揺らす。はじめは緩やかだった交わりは、徐々に激しくなっていった。

「あぁ、そこっ…ん、ぁ、あっ、ラウル、もっと…っ」

「あぁ…うぅ…っ、はぁ、あ、アメリ、…っアメリ、ぁっ」

 肌がぶつかり、淫らに絡む水音が部屋に響く。互いに求め合う声と、快楽に酔う嬌声がさらに二人を燃え上がらせた。

「あっ、もう…っ…も…っ」

 アメリはラウルの腰に脚を絡め、しがみつくように抱きつく。そのまま深く交わった二人はぴったりと抱き合うと、アメリが先に体を震わせながら絶頂を迎える。

「ああぁ…っ」

 絶頂を迎えてうねるアメリの中で、ラウルは喘ぎながら吐精した。薄い膜に遮られながらも、奥にすべてを注ごうとするように腰を擦りつける。すべてを吐き出し終えると、絶頂の余韻に浸る間もなくラウルはアメリの中から抜け出した。

「はぁ…っ」

 ラウルは避妊具を取り外すと、再び勃ちあがった自身に避妊具を取り付けなおす。ラウルの欲はまだ収まることを知らなかったが、それは彼だけではなかった。

 ラウルが避妊具をつけ終えると、アメリが彼に跨った。もはや言葉は必要なく二人は抱き合い、互いに舌を差し出して絡め合いながら口づけ、アメリが腰を揺らして交わりあった。

 その後、アメリは水を飲むためにベッドから出たが、ラウルが彼女を追いかけてきたため、テーブルに手をついて後ろから交わりあった。そのまま壁においやられて向かい合い、立ったまま交わりあったあと、アメリは繋がったまま抱き上げられてベッドに連れ戻された。

 そのままベッドの上で四つん這いになって交わり、うつ伏せで寝転がったままの状態で後ろから交わり、もう何度目かの絶頂を迎えたところで。

「あ……朝、だわ…」

 アメリは窓の外が明るくなりはじめていることに気づき、かすれた声で呟いた。
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