騎士様のアレが気になります!

茜菫

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本編

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 ゆったりと脚を開き、ややうつむいているオリヴィエの手にはなにかが握られている。ヴィヴィアンヌはそれが気になり、音を立てず、姿を見せないまま近づいて、脚の間をのぞき込んだ。

(あれ……大事なもの、だよね? 騎士さま、なにしているのかな)

 オリヴィエの片手に握られているのは正真正銘、彼の大事なものだ。ヴィヴィアンヌが散々オリヴィエの顔を赤くさせたり青くさせたりしながら、見て触ってきた彼の大事なもの。

 ヴィヴィアンヌに他意はなく、けがを負って動けないオリヴィエの介護のためではあったが。

(あれ? なんだか……)

 その大事なものがいままで見ていた状態と少し違う。ヴィヴィアンヌはとても気になり、それをまじまじと観察し始めた。

(……こんなに、大きかったっけ?)

 オリヴィエの手の内にあるそれは、以前見た時よりも一回り大きく見える。触った時の感触や大きさを思い出し、ヴィヴィアンヌは自分の手を大事なものを握るように丸くした。

(浮いたり、下がったり、大きくなったり……不思議なの)

 ヴィヴィアンヌはあれが男にとって大事なものだとは教わったが、まだわからないことだらけだ。好奇心は尽きず、興味津々にそれを眺める。

「……っ……はぁ」

 オリヴィエが息を吐き、ヴィヴィアンヌはびくりと体を震わせた。オリヴィエは目を閉じ、眉間にしわを寄せている。

(はっ、腫れているの……あっ、違う、なんだっけ? セイリゲンショウ? ……騎士さま、痛いのかな? 大丈夫かな?)

 オリヴィエはヴィヴィアンヌの見当違いな心配など知るはずもなく、まさか見られているとも知らず、ゆっくりと手を動かし始めた。手を滑らせて陰茎をこすり、短く息を吐く。

「……ふ……っ」

 オリヴィエがゆるゆると手を動かしていると、先端から先走りがあふれだした。ヴィヴィアンヌはそれに驚いて目を見開く。

(えっ、なにか出てきた……!?)

 オリヴィエはそれを絡め、自身の陰茎をさらに扱いた。ぬちぬちと淫靡な音を立てながら、手の動きは早くなる。

 ヴィヴィアンヌは短く呼吸を繰り返すオリヴィエのさまから目が離せなかった。

(あ……騎士さま……)

 ヴィヴィアンヌにはその行為の意味などわからない。けれどもそれは本能か、ヴィヴィアンヌは胸を高鳴らせて下腹部を甘くうずかせる。

「っ……は……、ヴィヴィアンヌ……」

 オリヴィエに切な気な声で名を呼ばれ、ヴィヴィアンヌは驚いた。気づかれたのかと慌てて様子をうかがうが、オリヴィエのまぶたは伏せれたままで、ヴィヴィアンヌを認識していない。

(騎士さま……?)

 オリヴィエは本人が目の前にいるとも知らず、その行為にふけっている。

(なんだか、どきどきする……)

 ヴィヴィアンヌは胸を高鳴らせた。顔を赤くしながら、じっと目をそらさずにオリヴィエを見つめる。

 眉間にわずかに寄せられたしわと、少し荒くなった息遣い、手の動きに合わせて聞こえる淫靡な音。そのどれもが胸をざわつかせ、ヴィヴィアンヌは所在なさげに両手を握りしめて無意識に内股をすり合わせた。

「……う……っ」

 オリヴィエは小さくうめいて手のひらで自身を包み込むと、腰を震わせ、手の内に吐精した。少し惚けたような表情を浮かべながら、もたれかかっていた小屋に目を向ける。

 一枚の壁を挟んだ先にはさきほどまでヴィヴィアンヌが眠っていたベッドがあった。

(あ……騎士さま……)

 ヴィヴィアンヌは見たことのない、少し気だるげなオリヴィエの様子に胸が高鳴る。理由もわからないまま、腿近くのスカートを両手で握りしめた。

「……はぁ」

 オリヴィエは一つため息をつくと、自分の手のひらを眺める。そこには吐き出された精がべっとりとまとわりついていた。

 オリヴィエは首を横に振ると、近くに用意してあった桶にある水で手を清め始める。ヴィヴィアンヌはその姿を眺めながら、一歩も動けなかった。

(いまの、なに……?)

 ヴィヴィアンヌはいま見た光景を思い出す。名を呼ぶ声や、少し惚けた表情と乱れた吐息、手のひらに吐き出された精。そのどれもがヴィヴィアンヌが知らないことばかり、頭の中はそれらで占められていた。

(騎士さま……)

 それらがなんなのかわからないまま、ヴィヴィアンヌは下腹部に手を当てる。理解が及ばずとも、その奥は甘くうずき、迎え入れる口は震えていた。

(えっ、あ……!?)

 とろりとあふれた愛液が内腿を伝っていく。ヴィヴィアンヌは驚き、慌てて小屋の中に戻った。

 ヴィヴィアンヌはばくばくと高鳴る胸に手を当てながら、ベッド近くまで戻る。深呼吸を一つすると、自分のスカートをまくり上げた。

(血……じゃない! なにこれ!? どっ、どうしよう……?)

 ヴィヴィアンヌのそこはオリヴィエの痴態を目にし、しとどにぬれそぼっていた。

 自分の体の変化に戸惑い混乱しているヴィヴィアンヌだが、近くにあった布を手に取り、あふれた愛液を拭き取る。

(どうしたら……あっ、騎士さま、もう戻ってきちゃう……?)

 オリヴィエが戻ってくる前にごまかさないといけないと、ヴィヴィアンヌはそれを握りしめたままベッドに横になり、魔法を解いた。

 ちょうどそこで、よたよたと歩きながらオリヴィエが小屋の中に戻ってくる。ヴィヴィアンヌは眠っているふりをして、不自然にならないように気をつけながらじっと動きを止めた。

(気づかれていない、よね……?)

 ヴィヴィアンヌは胸を高鳴らせながら、寝たふりを決め込んだ。オリヴィエはベッドへと近づくと、眠ったふりをしたヴィヴィアンヌを眺める。

(騎士さま、気づいちゃった? 怒っているかな……?)

 ヴィヴィアンヌはすぐそばにオリヴィエがいることを感じながら、気づかれないように眠ったふりを続けた。

「……ヴィヴィアンヌ」

 オリヴィエに名を呼ばれ、ヴィヴィアンヌは心臓が飛び出るのではないかと思うくらいに驚く。なんとかそれを表に出さずに狸寝入りを続けると、しばらくしてオリヴィエはベッドから離れ、固い床についた。

(……気づかれなかった?)

 どうやら、オリヴィエはヴィヴィアンヌが起きていることも、さきほどのぞき見していたことも気づいていないようだ。もし気づいていたのなら、小屋に戻ってくることなく走って川に飛び込んでいただろうが。

(よかった、気づかれてない……よね)

 ヴィヴィアンヌは緊張で強張っていた体をゆるめる。しばらくじっとしているうちにオリヴィエは眠りについたようで、静かに寝息をたて始めた。

(なんだったんだろ……)

 代わりに、ヴィヴィアンヌが眠れなくなった。脳裏にさきほどのぞき見たオリヴィエの姿がこびりついて消えない。それを思い出すと胸が高鳴り、落ち着がなかった。

(……変なの)

 ヴィヴィアンヌにはオリヴィエの行為も、自分の体の変化もわからなかった。

 だがこの夜が、ヴィヴィアンヌがいままで知らなかった性を意識し始めたきっかけだった。
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