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本編
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オリヴィエは薄暗い洞窟の中で歓喜していた。その手には一冊の書物が握られている。
(これさえあれば、僕は……!)
その書物にはオリヴィエが望む魔女の知識が記されている。オリヴィエはその知識を欲してどれほどの危険があろうとも単身魔女の森に挑み、ここまでやってきた。恐ろしい魔物に襲われて負傷したり、魔女の防衛魔法で崖から落ちたりと散々な目にあったオリヴィエの苦労もようやく報われるときがきた。
「やったね、騎士さま!」
オリヴィエが振り返ると、体をすっぽりと覆う外套を羽織った笑顔のヴィヴィアンヌがそこにいた。珍しい赤い髪と夕暮れどきの空のような紅色の瞳、そのどちらもオリヴィエにはなによりも美しくみえる。オリヴィエがこの森で生きていられたのはヴィヴィアンヌのおかげと言っても過言ではない。
「ヴィヴィアンヌ、ありがとう。君のおかげだ」
「……へへ、うれしいな。じゃあ、騎士さま。私の望みを叶えてくれる?」
「ああ。約束通り、なんでも!」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの言葉に頬を赤らめて少しうつむく。そのまま上目遣いでオリヴィエを見上げ、恥ずかしそうな声で望みを口にした。
「じゃあ、騎士さま……私と結婚してほしいな」
「えっ」
オリヴィエはその願いに驚きの声を漏らし、硬直した。ヴィヴィアンヌは甘えるように首をかしげ、ほほ笑みかける。
「……だめ?」
「だめじゃない! むしろ、僕がしたい!」
オリヴィエはうっかり大きな声で自分の願望を吐露する。ヴィヴィアンヌに命を助けられ、甲斐甲斐しく世話をされ、彼女の優しさと純粋さにすっかり虜になっていた。同時に無知な彼女を自分が守らなければという庇護欲も生まれている。女性に騙されて傷心し、もう一生だれとも交際しないし結婚なんてしないとやさぐれていたオリヴィエの心はヴィヴィアンヌに癒やされ、彼女以外に交際も結婚も考えられなかった。
「本当?」
「ああ。結婚しよう、ヴィヴィアンヌ」
ヴィヴィアンヌは頬を染め、小さくうなずいた。オリヴィエは歓喜に両手を握りしめて肘を曲げる。よろこびを表現しているオリヴィエを眺めたまま、ヴィヴィアンヌはゆっくりと口を開いた。
「……じゃあ、騎士さま」
ヴィヴィアンヌは自分の胸の前に手を伸ばし、するりと外套を脱ぐ。脱いだ外套が地に落ちると、オリヴィエの目には一糸まとわぬヴィヴィアンヌの姿が映った。
「……ヴィヴィアンヌ……っ!?」
細い四肢と、白い肌に映える赤い髪。ささやかながらもふくらみのある柔らかな胸と桃色の頂き。オリヴィエはごくりと生唾を飲みながらその姿に見入る。胸は高鳴り、股間は痛いくらいに張り詰めていた。
「……騎士さま、しよ?」
「なっ、なにを……?」
「なにって……騎士さまは知っているでしょう?」
この状況でやることは一つしかない。知ってはいるものの、童貞のオリヴィエにはもちろん経験はない。
「……ヴィヴィアンヌは、知っているのか?」
「ううん、知らない。だから、騎士さま……教えて?」
「ヴィヴィアンヌ……!」
甘えるような声でヴィヴィアンヌは一歩近づく。オリヴィエにはもう、この誘惑を拒むことなどできなかった。
少し息を荒くしながら、オリヴィエはヴィヴィアンヌに手を伸ばす。両手で細い肩をつかむと、口づけようとゆっくりと顔を近づけた。いよいよ唇が唇に触れるか否か、まさにその瞬間。
「……はっ!?」
オリヴィエは薄暗い小屋の中で一人飛び起きた。目の前にヴィヴィアンヌの姿はなく、窓から差し込む月明かりと高くない天井が見えるだけだ。背は土の床に布が一枚敷かれているのみで、冷たくて固い。
「っはは……そりゃあ、そうだよな……」
オリヴィエは自分の願望が見せたただの夢だったことにため息をついた。男女の違いすら知らず、裸を見ることも見られることも恥ずかしく思っていないヴィヴィアンヌが男女の営みなど知るはずもない。
(……まずいな)
オリヴィエは自分の股間を意識し、もう一つため息をつく。ヴィヴィアンヌに保護されてからこの数日、危ないときは何度もあったがなんとか堪えてきた。そんなたまりにたまっている状態で好意をもつ女性の裸を目の当たりにし、それが脳裏にこびりついて離れず、いよいよ爆発寸前だ。
(……だめだ、抜いてこよう……)
オリヴィエは右肘を立てて身を起こし、椅子を利用して立ち上がった。カーテンのない開きっぱなしの窓から差し込む月明かりだけが小屋の中を照らしている。
ベッドにはヴィヴィアンヌが静かに眠っている。水浴びから帰って寝入ってしまったヴィヴィアンヌは一度起きたものの、またすぐに眠ってしまった。魔力の消費が激しい治癒魔法を連日使い、疲労が蓄積されていたのだろう。
(……ヴィヴィアンヌ)
オリヴィエは眠るヴィヴィアンヌを眺める。常ならばこのまま何時間でも見つめていられるが、いまはそうはいかない。顔を見ればなおのこと欲が湧き上がってしまうからだ。オリヴィエは早く済ませてしまおうと、よたよたと壁に手を突きながら小屋を出ていった。
静かに扉が閉められ、小屋の中はしんと静まりかえる。そんな中でヴィヴィアンヌはもぞもぞと起き上がり、ベッドに座り込んでオリヴィエが去った扉を眺めた。
(騎士さま、どこいくんだろう?)
小屋の周辺は少し開けているため、雲がなく月が昇っているうちは少し明るい。だが木に覆われている夜の森は真っ暗で、とても人が出歩けるような環境ではない。森には夜行性の魔物も存在している。小屋の周辺は魔物よけの魔法がかけられているが、そこから離れてしまうと危険だ。
(……まさか、いなくなっちゃうの?)
そんな危険を冒してまで外に出る理由はなにか。それはオリヴィエがこの森にやってきた理由と同じだとヴィヴィアンヌは考えた。オリヴィエには救いたい大切な方がいる。恐ろしい森に危険を冒してまで、あれほどの大けがを負っても諦めないくらいの。
オリヴィエは完治にはまだほど遠いが、ふらつきながらも歩けるようになり、左腕はまだ動かせないものの右腕は十分に動かせる。いまなら洞窟の調査を再開しようとしてもおかしくなかった。
(騎士さまの、大切な方……)
ヴィヴィアンヌは大切な方がどのような人なのか気になって仕方がなかった。そのことを考えると胸にどのようにも形容しがたい気持ちが生まれ、苦しくなる。
(……その人のために……騎士さま、いっちゃうのかな)
不安になったヴィヴィアンヌはオリヴィエの後をこっそりとつけることにした。音を消す魔法と幻の魔法を使い、徹底的に自分を認識させないようにする。ヴィヴィアンヌはそのままそっと扉を開いて外に出るが、近くにオリヴィエの姿は見えなかった。一歩、もう一歩と歩いて森へと近づくが、先の見えない暗闇に足を止める。
(本当に、行っちゃった……?)
ヴィヴィアンヌはオリヴィエが森に、いや、彼を見つけたあの崖に行ってしまったのかと不安になったが、真っ暗なそこに足を踏み入れる勇気はなかった。幼い頃に祖母からけっして夜の森は出歩かないように注意され、ヴィヴィアンヌはそれを一度も破ったことはなく、いまも破る勇気はない。
追いかけたい気持ちと恐怖がせめぎ合っていたが、結局それ以上前に進めなかった。ヴィヴィアンヌはため息をつくと、小屋に戻るため後ろを振り返る。するとさきほどは見えなかったオリヴィエの姿が見え、ヴィヴィアンヌはほっと胸をなでおろした。
(なんだ、森に行ったんじゃなかったんだ! よかったぁ)
安心したヴィヴィアンヌは笑顔でオリヴィエのもとに近づく。音の魔法でヴィヴィアンヌの足音が聞こえず、幻の魔法で彼女の姿は認識できず、オリヴィエはヴィヴィアンヌが近くにいることなどまったく気づいていなかった。
(騎士さま、気分転換かな? ……あれ?)
小屋の壁にもたれかかるように座っているオリヴィエがいつもと様子が違うことに気づき、ヴィヴィアンヌは足を止めた。
(これさえあれば、僕は……!)
その書物にはオリヴィエが望む魔女の知識が記されている。オリヴィエはその知識を欲してどれほどの危険があろうとも単身魔女の森に挑み、ここまでやってきた。恐ろしい魔物に襲われて負傷したり、魔女の防衛魔法で崖から落ちたりと散々な目にあったオリヴィエの苦労もようやく報われるときがきた。
「やったね、騎士さま!」
オリヴィエが振り返ると、体をすっぽりと覆う外套を羽織った笑顔のヴィヴィアンヌがそこにいた。珍しい赤い髪と夕暮れどきの空のような紅色の瞳、そのどちらもオリヴィエにはなによりも美しくみえる。オリヴィエがこの森で生きていられたのはヴィヴィアンヌのおかげと言っても過言ではない。
「ヴィヴィアンヌ、ありがとう。君のおかげだ」
「……へへ、うれしいな。じゃあ、騎士さま。私の望みを叶えてくれる?」
「ああ。約束通り、なんでも!」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの言葉に頬を赤らめて少しうつむく。そのまま上目遣いでオリヴィエを見上げ、恥ずかしそうな声で望みを口にした。
「じゃあ、騎士さま……私と結婚してほしいな」
「えっ」
オリヴィエはその願いに驚きの声を漏らし、硬直した。ヴィヴィアンヌは甘えるように首をかしげ、ほほ笑みかける。
「……だめ?」
「だめじゃない! むしろ、僕がしたい!」
オリヴィエはうっかり大きな声で自分の願望を吐露する。ヴィヴィアンヌに命を助けられ、甲斐甲斐しく世話をされ、彼女の優しさと純粋さにすっかり虜になっていた。同時に無知な彼女を自分が守らなければという庇護欲も生まれている。女性に騙されて傷心し、もう一生だれとも交際しないし結婚なんてしないとやさぐれていたオリヴィエの心はヴィヴィアンヌに癒やされ、彼女以外に交際も結婚も考えられなかった。
「本当?」
「ああ。結婚しよう、ヴィヴィアンヌ」
ヴィヴィアンヌは頬を染め、小さくうなずいた。オリヴィエは歓喜に両手を握りしめて肘を曲げる。よろこびを表現しているオリヴィエを眺めたまま、ヴィヴィアンヌはゆっくりと口を開いた。
「……じゃあ、騎士さま」
ヴィヴィアンヌは自分の胸の前に手を伸ばし、するりと外套を脱ぐ。脱いだ外套が地に落ちると、オリヴィエの目には一糸まとわぬヴィヴィアンヌの姿が映った。
「……ヴィヴィアンヌ……っ!?」
細い四肢と、白い肌に映える赤い髪。ささやかながらもふくらみのある柔らかな胸と桃色の頂き。オリヴィエはごくりと生唾を飲みながらその姿に見入る。胸は高鳴り、股間は痛いくらいに張り詰めていた。
「……騎士さま、しよ?」
「なっ、なにを……?」
「なにって……騎士さまは知っているでしょう?」
この状況でやることは一つしかない。知ってはいるものの、童貞のオリヴィエにはもちろん経験はない。
「……ヴィヴィアンヌは、知っているのか?」
「ううん、知らない。だから、騎士さま……教えて?」
「ヴィヴィアンヌ……!」
甘えるような声でヴィヴィアンヌは一歩近づく。オリヴィエにはもう、この誘惑を拒むことなどできなかった。
少し息を荒くしながら、オリヴィエはヴィヴィアンヌに手を伸ばす。両手で細い肩をつかむと、口づけようとゆっくりと顔を近づけた。いよいよ唇が唇に触れるか否か、まさにその瞬間。
「……はっ!?」
オリヴィエは薄暗い小屋の中で一人飛び起きた。目の前にヴィヴィアンヌの姿はなく、窓から差し込む月明かりと高くない天井が見えるだけだ。背は土の床に布が一枚敷かれているのみで、冷たくて固い。
「っはは……そりゃあ、そうだよな……」
オリヴィエは自分の願望が見せたただの夢だったことにため息をついた。男女の違いすら知らず、裸を見ることも見られることも恥ずかしく思っていないヴィヴィアンヌが男女の営みなど知るはずもない。
(……まずいな)
オリヴィエは自分の股間を意識し、もう一つため息をつく。ヴィヴィアンヌに保護されてからこの数日、危ないときは何度もあったがなんとか堪えてきた。そんなたまりにたまっている状態で好意をもつ女性の裸を目の当たりにし、それが脳裏にこびりついて離れず、いよいよ爆発寸前だ。
(……だめだ、抜いてこよう……)
オリヴィエは右肘を立てて身を起こし、椅子を利用して立ち上がった。カーテンのない開きっぱなしの窓から差し込む月明かりだけが小屋の中を照らしている。
ベッドにはヴィヴィアンヌが静かに眠っている。水浴びから帰って寝入ってしまったヴィヴィアンヌは一度起きたものの、またすぐに眠ってしまった。魔力の消費が激しい治癒魔法を連日使い、疲労が蓄積されていたのだろう。
(……ヴィヴィアンヌ)
オリヴィエは眠るヴィヴィアンヌを眺める。常ならばこのまま何時間でも見つめていられるが、いまはそうはいかない。顔を見ればなおのこと欲が湧き上がってしまうからだ。オリヴィエは早く済ませてしまおうと、よたよたと壁に手を突きながら小屋を出ていった。
静かに扉が閉められ、小屋の中はしんと静まりかえる。そんな中でヴィヴィアンヌはもぞもぞと起き上がり、ベッドに座り込んでオリヴィエが去った扉を眺めた。
(騎士さま、どこいくんだろう?)
小屋の周辺は少し開けているため、雲がなく月が昇っているうちは少し明るい。だが木に覆われている夜の森は真っ暗で、とても人が出歩けるような環境ではない。森には夜行性の魔物も存在している。小屋の周辺は魔物よけの魔法がかけられているが、そこから離れてしまうと危険だ。
(……まさか、いなくなっちゃうの?)
そんな危険を冒してまで外に出る理由はなにか。それはオリヴィエがこの森にやってきた理由と同じだとヴィヴィアンヌは考えた。オリヴィエには救いたい大切な方がいる。恐ろしい森に危険を冒してまで、あれほどの大けがを負っても諦めないくらいの。
オリヴィエは完治にはまだほど遠いが、ふらつきながらも歩けるようになり、左腕はまだ動かせないものの右腕は十分に動かせる。いまなら洞窟の調査を再開しようとしてもおかしくなかった。
(騎士さまの、大切な方……)
ヴィヴィアンヌは大切な方がどのような人なのか気になって仕方がなかった。そのことを考えると胸にどのようにも形容しがたい気持ちが生まれ、苦しくなる。
(……その人のために……騎士さま、いっちゃうのかな)
不安になったヴィヴィアンヌはオリヴィエの後をこっそりとつけることにした。音を消す魔法と幻の魔法を使い、徹底的に自分を認識させないようにする。ヴィヴィアンヌはそのままそっと扉を開いて外に出るが、近くにオリヴィエの姿は見えなかった。一歩、もう一歩と歩いて森へと近づくが、先の見えない暗闇に足を止める。
(本当に、行っちゃった……?)
ヴィヴィアンヌはオリヴィエが森に、いや、彼を見つけたあの崖に行ってしまったのかと不安になったが、真っ暗なそこに足を踏み入れる勇気はなかった。幼い頃に祖母からけっして夜の森は出歩かないように注意され、ヴィヴィアンヌはそれを一度も破ったことはなく、いまも破る勇気はない。
追いかけたい気持ちと恐怖がせめぎ合っていたが、結局それ以上前に進めなかった。ヴィヴィアンヌはため息をつくと、小屋に戻るため後ろを振り返る。するとさきほどは見えなかったオリヴィエの姿が見え、ヴィヴィアンヌはほっと胸をなでおろした。
(なんだ、森に行ったんじゃなかったんだ! よかったぁ)
安心したヴィヴィアンヌは笑顔でオリヴィエのもとに近づく。音の魔法でヴィヴィアンヌの足音が聞こえず、幻の魔法で彼女の姿は認識できず、オリヴィエはヴィヴィアンヌが近くにいることなどまったく気づいていなかった。
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