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本編
15-3
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(騎士様、どこいくんだろう?)
小屋の周辺は少し開けているため、雲がなく月が昇っているうちは少し明るい。だが、木に覆われている夜の森は真っ暗だ。とても人が出歩けるような環境ではない。
森には夜行性の魔物も存在し、夜間徘徊している。小屋の周辺は魔物よけの魔法がかけられているが、そこから離れてしまうと危険だ。
(…まさか、いなくなっちゃうの?)
そんな危険を冒してまで、外に出る理由は何か。それはオリヴィエがこの森にやってきた理由と同じだと、ヴィヴィアンヌは考えた。オリヴィエには救いたい、大切な方がいる。恐ろしい森に危険を冒してまで、あれ程の大怪我を負っても諦めないくらいに。
オリヴィエは完治にはまだ程遠いが、ふらつきながらも歩けるようになり、左腕はまだ動かせないものの右腕は十分に動かせる。今なら、洞窟の調査を再開しようとしてもおかしくない。
(騎士様の、大切な方…)
ヴィヴィアンヌは大切な方がどのような人なのか、気になって仕方がなかった。そのことを考えると、どのようにも形容し難い、胸にもやもやした気持ちが生まれ、首を傾げる。
(…その人のために…騎士様、いっちゃうのかな)
不安になったヴィヴィアンヌは、オリヴィエの後をこっそりとつけることにした。音を消す魔法と幻の魔法を使い、彼に自分を認識させないようにする等、徹底的だ。ヴィヴィアンヌはそのままそっと扉を開いて外に出るが、近くにオリヴィエの姿は見えない。一歩、もう一歩と歩き、森へと近づくが、暗闇に足を止めた。
(本当に、行っちゃった…?)
ヴィヴィアンヌはオリヴィエが森に、いや、彼を見つけたあの崖に行ってしまったのかと森を眺めたが、真っ暗なそこに足を踏み入れる勇気はなかった。祖母は幼いヴィヴィアンヌに、決して夜の森は出歩かないように注意した。彼女はそれを、一度も破ったことはない。
追いかけたい気持ちと恐怖がせめぎあい、結局、ヴィヴィアンヌはそれ以上前には進めなかった。彼女はため息をつくと、小屋に戻るために後ろを振り返る。すると、先程は見えなかったオリヴィエの姿が見えて、ヴィヴィアンヌはほっと胸をなでおろした。
(なんだ、森にいったんじゃなかったんだ!よかったぁ)
安心したヴィヴィアンヌは、笑顔でオリヴィエのもとに近づく。音の魔法でヴィヴィアンヌの足音はオリヴィエに聞こえず、幻の魔法で彼女の姿は彼に認識されない。オリヴィエはヴィヴィアンヌが近くにいることなど、全く気づいていなかった。
(騎士様、気分転換かな?…あれ?)
ヴィヴィアンヌは小屋の壁にもたれかかるように座っているオリヴィエがいつもと様子が違うことに気づき、足を止めた。
小屋の周辺は少し開けているため、雲がなく月が昇っているうちは少し明るい。だが、木に覆われている夜の森は真っ暗だ。とても人が出歩けるような環境ではない。
森には夜行性の魔物も存在し、夜間徘徊している。小屋の周辺は魔物よけの魔法がかけられているが、そこから離れてしまうと危険だ。
(…まさか、いなくなっちゃうの?)
そんな危険を冒してまで、外に出る理由は何か。それはオリヴィエがこの森にやってきた理由と同じだと、ヴィヴィアンヌは考えた。オリヴィエには救いたい、大切な方がいる。恐ろしい森に危険を冒してまで、あれ程の大怪我を負っても諦めないくらいに。
オリヴィエは完治にはまだ程遠いが、ふらつきながらも歩けるようになり、左腕はまだ動かせないものの右腕は十分に動かせる。今なら、洞窟の調査を再開しようとしてもおかしくない。
(騎士様の、大切な方…)
ヴィヴィアンヌは大切な方がどのような人なのか、気になって仕方がなかった。そのことを考えると、どのようにも形容し難い、胸にもやもやした気持ちが生まれ、首を傾げる。
(…その人のために…騎士様、いっちゃうのかな)
不安になったヴィヴィアンヌは、オリヴィエの後をこっそりとつけることにした。音を消す魔法と幻の魔法を使い、彼に自分を認識させないようにする等、徹底的だ。ヴィヴィアンヌはそのままそっと扉を開いて外に出るが、近くにオリヴィエの姿は見えない。一歩、もう一歩と歩き、森へと近づくが、暗闇に足を止めた。
(本当に、行っちゃった…?)
ヴィヴィアンヌはオリヴィエが森に、いや、彼を見つけたあの崖に行ってしまったのかと森を眺めたが、真っ暗なそこに足を踏み入れる勇気はなかった。祖母は幼いヴィヴィアンヌに、決して夜の森は出歩かないように注意した。彼女はそれを、一度も破ったことはない。
追いかけたい気持ちと恐怖がせめぎあい、結局、ヴィヴィアンヌはそれ以上前には進めなかった。彼女はため息をつくと、小屋に戻るために後ろを振り返る。すると、先程は見えなかったオリヴィエの姿が見えて、ヴィヴィアンヌはほっと胸をなでおろした。
(なんだ、森にいったんじゃなかったんだ!よかったぁ)
安心したヴィヴィアンヌは、笑顔でオリヴィエのもとに近づく。音の魔法でヴィヴィアンヌの足音はオリヴィエに聞こえず、幻の魔法で彼女の姿は彼に認識されない。オリヴィエはヴィヴィアンヌが近くにいることなど、全く気づいていなかった。
(騎士様、気分転換かな?…あれ?)
ヴィヴィアンヌは小屋の壁にもたれかかるように座っているオリヴィエがいつもと様子が違うことに気づき、足を止めた。
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