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本編
4-2
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森の外に一度も出たことのないヴィヴィアンヌは、外の世界がどうなっているのか全く知らない。彼女の世界は森の中のごく一部のみと、非常に狭いものだ。
「うん。私には、すっごく魅力的なの!」
ヴィヴィアンヌは外の世界に興味がなかったわけではない。だが、興味があってもそれを知る術はなく、これからも祖母の言いつけを守り、外に出るつもりはなかった。そんな彼女にとって、外からやってきたオリヴィエの存在は、何よりも輝かしく見えていた。
「わかりました。どんなことでもお話しします」
「どんなことでも?本当?」
「はい。騎士に二言はありません」
「やったぁ!」
オリヴィエははっきりと言い切って、しっかりと頷く。それに両手を合わせ、嬉しそうにはしゃぐヴィヴィアンヌに、彼は僅かに微笑んだ。
(…正直、こんな程度でと、申し訳なく思っていたが…ここまで喜んでくれるなら…うん、いいな)
価値観は人それぞれだ。オリヴィエには想像もできないような人生を送ってきたヴィヴィアンヌには、他者と関わること、自分の知らない話を聞くことは、金や宝石などよりもずっと価値がある。
「じゃあ、騎士様。早速聞きたいことがあるんだけど…」
「はい、なんでしょう」
微笑んでヴィヴィアンヌの問いを待つオリヴィエは、数分後、何でもと言ったことを後悔することになるとはこの時思いもしなかっただろう。ヴィヴィアンヌはオリヴィエを手当てした時からずっと気になっていた疑問を、早速彼にぶつける。
「騎士様の足の間に生えているのって、なに?」
「…は?」
オリヴィエあまりにも想定外の問いに、思考を停止させた。小屋の中は静まりかえり、目を輝かせて答えを待つヴィヴィアンヌと、微笑みが消えて呆然とした表情で固まるオリヴィエの二人が見つめあう。数秒後、頭が回り始めた彼は、叫ぶように声を上げた。
「はっ、ちょ…生えて…えっ?!な、何を言って…」
「えっ?だって、初めて見たんだもの」
「えっ、見たの?!僕の僕を?!」
オリヴィエは顔を真っ赤にして、右手を股間に当てた。彼はその瞬間、怪我をしていることを忘れていた。無理に動かしたことによって強烈な痛みが走り、オリヴィエは呻き、涙目になる。
「ぐ…ぅっ」
「えっ、騎士様、大丈夫?!」
ヴィヴィアンヌは悶えるオリヴィエの右腕をさすった。オリヴィエは痛みに頭を支配されて再び思考を停止させていたが、労るように腕を擦られているうちに不思議と痛みが引いて、気持ちを落ち着かせる。暫くして落ち着いたオリヴィエは、自分の状態を再認識し、恐る恐るヴィヴィアンヌに問いかけた。
「うん。私には、すっごく魅力的なの!」
ヴィヴィアンヌは外の世界に興味がなかったわけではない。だが、興味があってもそれを知る術はなく、これからも祖母の言いつけを守り、外に出るつもりはなかった。そんな彼女にとって、外からやってきたオリヴィエの存在は、何よりも輝かしく見えていた。
「わかりました。どんなことでもお話しします」
「どんなことでも?本当?」
「はい。騎士に二言はありません」
「やったぁ!」
オリヴィエははっきりと言い切って、しっかりと頷く。それに両手を合わせ、嬉しそうにはしゃぐヴィヴィアンヌに、彼は僅かに微笑んだ。
(…正直、こんな程度でと、申し訳なく思っていたが…ここまで喜んでくれるなら…うん、いいな)
価値観は人それぞれだ。オリヴィエには想像もできないような人生を送ってきたヴィヴィアンヌには、他者と関わること、自分の知らない話を聞くことは、金や宝石などよりもずっと価値がある。
「じゃあ、騎士様。早速聞きたいことがあるんだけど…」
「はい、なんでしょう」
微笑んでヴィヴィアンヌの問いを待つオリヴィエは、数分後、何でもと言ったことを後悔することになるとはこの時思いもしなかっただろう。ヴィヴィアンヌはオリヴィエを手当てした時からずっと気になっていた疑問を、早速彼にぶつける。
「騎士様の足の間に生えているのって、なに?」
「…は?」
オリヴィエあまりにも想定外の問いに、思考を停止させた。小屋の中は静まりかえり、目を輝かせて答えを待つヴィヴィアンヌと、微笑みが消えて呆然とした表情で固まるオリヴィエの二人が見つめあう。数秒後、頭が回り始めた彼は、叫ぶように声を上げた。
「はっ、ちょ…生えて…えっ?!な、何を言って…」
「えっ?だって、初めて見たんだもの」
「えっ、見たの?!僕の僕を?!」
オリヴィエは顔を真っ赤にして、右手を股間に当てた。彼はその瞬間、怪我をしていることを忘れていた。無理に動かしたことによって強烈な痛みが走り、オリヴィエは呻き、涙目になる。
「ぐ…ぅっ」
「えっ、騎士様、大丈夫?!」
ヴィヴィアンヌは悶えるオリヴィエの右腕をさすった。オリヴィエは痛みに頭を支配されて再び思考を停止させていたが、労るように腕を擦られているうちに不思議と痛みが引いて、気持ちを落ち着かせる。暫くして落ち着いたオリヴィエは、自分の状態を再認識し、恐る恐るヴィヴィアンヌに問いかけた。
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