824 / 848
第十七章
ワームホールからの攻撃
しおりを挟む
橋本晶の放った矢は、僕の脇を掠めて通り過ぎていった。
いったいなんのつもりだ?
と、問いただす前に、背後で爆音が轟く。
振り向くとそこにあったのは……!
「これは!?」
百メートルほど離れた位置で、落ちていくドローンの姿。
「隊長。驚かせてすみません。突然、背後から殺気を覚えたので振り向いたら、そこにドローンがいたのです」
いったい、どこからドローンが?
その答えは目の前にあった。
何もない空中に、光り輝く穴が出現していたのだ。
「隊長。これは……」
「ワームホールだ」
僕らがベイス島を去った二週間後、リトル東京とカルカの連合軍が北ベイス島の地下施設へ攻撃を仕掛けたが奪取には失敗している。
しかし、この時に地上走行ドローンの自爆攻撃で、なんとか時空穿孔機を使用不能にできた。
ただ、スーホの見立てでは長くても半年ほどで自動修復されてしまうらしい。
どうやら、修復は終わってしまったようだな。
「どこから別働隊が来るのかと思っていたら……隊長は、これを予想していたのですね」
「まあ、そうだな」
ただ一つ予想と違っていたのは、別働隊の攻撃目標は《あすか》ではなく、どうやら僕らしい。
ワームホールは、僕達と《あすか》の間に出現していたのだ。
こっちの戦力を分断するつもりか。
ワームホールからは、新手のドローンが出てきた。
また、S131。
ドローンは出てきても、すぐには攻撃してこなかった。
おそらく数が揃ってから、一斉にかかってくる気だろう。
「まずいですね。ここで攻撃を防げたとしても、敵がワームホールを使えるようになったとすると、どこから攻撃を受けるか」
「ああ。できれば、ミサイルをワームホール内に撃ち込んで、向こうの施設にダメージを与えたいところだが……」
ロケット弾はすでに撃ち尽くした後……待てよ。
「橋本君。矢はまだ残っているかい?」
「五本残っています」
「それでワームホールを狙えるかい?」
「お任せください」
ビュン!
橋本晶の放った矢は、真っ直ぐとワームホールへと向かっていく。
爆矢の威力はそれほど大きくないが、ワームホール内に撃ち込めば多少ダメージを与えられるかもしれない。
もう少しで、矢がワームホールに飛び込む。
と思ったその時、ワームホールから一機のドローンが出てきた。
矢は、出てきたばかりのドローンに反応して爆発。
「おしい。だが次は外しません」
橋本晶は二の矢を構えた。
「待て、橋本君。爆矢の威力ではやはり弱い」
「では、どうするのです?」
「僕がワームホールに肉薄して爆弾を投げ込む。君はその援護をしてくれ」
「え? それはいいのですが、爆弾なんか持ってきていましたっけ?」
「爆弾ならある。とにかく頼んだよ」
「はあ?」
僕はワームホールに向かって突進した。
いったいなんのつもりだ?
と、問いただす前に、背後で爆音が轟く。
振り向くとそこにあったのは……!
「これは!?」
百メートルほど離れた位置で、落ちていくドローンの姿。
「隊長。驚かせてすみません。突然、背後から殺気を覚えたので振り向いたら、そこにドローンがいたのです」
いったい、どこからドローンが?
その答えは目の前にあった。
何もない空中に、光り輝く穴が出現していたのだ。
「隊長。これは……」
「ワームホールだ」
僕らがベイス島を去った二週間後、リトル東京とカルカの連合軍が北ベイス島の地下施設へ攻撃を仕掛けたが奪取には失敗している。
しかし、この時に地上走行ドローンの自爆攻撃で、なんとか時空穿孔機を使用不能にできた。
ただ、スーホの見立てでは長くても半年ほどで自動修復されてしまうらしい。
どうやら、修復は終わってしまったようだな。
「どこから別働隊が来るのかと思っていたら……隊長は、これを予想していたのですね」
「まあ、そうだな」
ただ一つ予想と違っていたのは、別働隊の攻撃目標は《あすか》ではなく、どうやら僕らしい。
ワームホールは、僕達と《あすか》の間に出現していたのだ。
こっちの戦力を分断するつもりか。
ワームホールからは、新手のドローンが出てきた。
また、S131。
ドローンは出てきても、すぐには攻撃してこなかった。
おそらく数が揃ってから、一斉にかかってくる気だろう。
「まずいですね。ここで攻撃を防げたとしても、敵がワームホールを使えるようになったとすると、どこから攻撃を受けるか」
「ああ。できれば、ミサイルをワームホール内に撃ち込んで、向こうの施設にダメージを与えたいところだが……」
ロケット弾はすでに撃ち尽くした後……待てよ。
「橋本君。矢はまだ残っているかい?」
「五本残っています」
「それでワームホールを狙えるかい?」
「お任せください」
ビュン!
橋本晶の放った矢は、真っ直ぐとワームホールへと向かっていく。
爆矢の威力はそれほど大きくないが、ワームホール内に撃ち込めば多少ダメージを与えられるかもしれない。
もう少しで、矢がワームホールに飛び込む。
と思ったその時、ワームホールから一機のドローンが出てきた。
矢は、出てきたばかりのドローンに反応して爆発。
「おしい。だが次は外しません」
橋本晶は二の矢を構えた。
「待て、橋本君。爆矢の威力ではやはり弱い」
「では、どうするのです?」
「僕がワームホールに肉薄して爆弾を投げ込む。君はその援護をしてくれ」
「え? それはいいのですが、爆弾なんか持ってきていましたっけ?」
「爆弾ならある。とにかく頼んだよ」
「はあ?」
僕はワームホールに向かって突進した。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
夜空に瞬く星に向かって
松由 実行
SF
地球人が星間航行を手に入れて数百年。地球は否も応も無く、汎銀河戦争に巻き込まれていた。しかしそれは地球政府とその軍隊の話だ。銀河を股にかけて活躍する民間の船乗り達にはそんなことは関係ない。金を払ってくれるなら、非同盟国にだって荷物を運ぶ。しかし時にはヤバイ仕事が転がり込むこともある。
船を失くした地球人パイロット、マサシに怪しげな依頼が舞い込む。「私たちの星を救って欲しい。」
従軍経験も無ければ、ウデに覚えも無い、誰かから頼られるような英雄的行動をした覚えも無い。そもそも今、自分の船さえ無い。あまりに胡散臭い話だったが、報酬額に釣られてついついその話に乗ってしまった・・・
第一章 危険に見合った報酬
第二章 インターミッション ~ Dancing with Moonlight
第三章 キュメルニア・ローレライ (Cjumelneer Loreley)
第四章 ベイシティ・ブルース (Bay City Blues)
第五章 インターミッション ~ミスラのだいぼうけん
第六章 泥沼のプリンセス
※本作品は「小説家になろう」にも投稿しております。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
マスターブルー~完全版~
しんたろう
SF
この作品はエースコンバットシリーズをベースに作った作品です。
お試し小説投稿で人気のあった作品のリメイク版です。
ウスティオ内戦を時代背景に弟はジャーナリストと教育者として、
兄は軍人として、政府軍で父を墜とした黄色の13を追う兄。そしてウスティオ
の内戦を機にウスティオの独立とベルカ侵攻軍とジャーナリストとして、
反政府軍として戦う事を誓う弟。内戦により国境を分けた兄弟の生き方と
空の戦闘機乗り達の人間模様を描く。

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる