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第十七章

どこを切れば爆発しないかは研究済みです

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 ドローン群の半数を落とした時、敵の動きに変化があった。

 今までは真っ直ぐ《あすか》に向かっていたドローン群が、やや左方向へれていくのだ。

「これは……一見我々の攻撃を回避しようとしているようにも見えますが……」
「S131の速度なら、犠牲覚悟で突っ込めば、何機かは我々をすり抜けて《あすか》攻撃に向かえるはずだな」
「それをしないで回避行動を取るという事は、我々を誘導して《あすか》から引き離すのが目的。隊長どうします?」
「もちろん、誘導に乗ってやるよ。今頃、敵の別働隊は、僕らが《あすか》から十分に離れるのを待っているだろうからね。期待通り離れてやろう」
「我々が離れて、《あすか》がノーガードになったと思って攻撃を仕掛けてきた別働隊を、森田さんが迎え撃つという事ですね」
「そういう事だ」

 そう言いながら、僕は次弾を放った。

 ミサイルはこれで最後だが、敵の残りも四機。

 残りは、接近戦で叩く。

「橋本君。一気に殲滅しよう」
「了解」

 僕達は一気に加速し、ドローン群との距離を詰めた。

 接近戦といっても至近距離で自爆されたら、こちらもダメージを食らう。

 ダメージを受けずに落とすには……

「ワイヤーガン、セット」

 ワイヤーガンを直撃させれば、爆発する危険がある。

 だから直撃させずに、ワイヤーがプロペラに絡みつくように狙いを定めた。

「ファイヤー!」

 ドローンの進行方向を横切るように、ワイヤーが伸びていく。

 僕の狙い通りに、ドローンのプロペラにワイヤーが絡みついた。

 プロペラの動きが止まり推進力を失ったドローンは、海へと落ちていく。

 まずは一機。

「橋本君。言わなくても分かると思うが、敵に近づきすぎないように……」

 そこで僕は言葉を失う。

 なぜなら、橋本晶は愛刀雷神丸を自爆ドローンに向かって振り下ろそうとしているからだ。

「だあ! やめれえ! 爆発するう!」
「でえい!」

 僕が止めるのも聞かないで、彼女はドローンを真っ二つに切った。

 一瞬、僕は目をつぶる。

 だが爆音は聞こえてこない。

 恐る恐る目を開くと、橋本晶は何も無かったかのように宙に浮いていた。

 視線を下に向けると、真っ二つになったドローンの残骸は海へ落ちていくところ。

「ふっ! まずは一機」
「まずは一機じゃねえ! 爆発したらどうすんだ!」
「大丈夫です隊長。S131の設計図は、入手してあります。どこを切れば爆発しないかは、研究済みですので」
「そ……そうなのか?」

 いや、そうだとしても、オ○ッサ作戦中のア○ロみたいな事すんな! 危ないだろ!

「それでは、残り二機を切り落としてきます」
「やめんか!」

 彼女の向かったドローンに、僕はワイヤーガンを放って落とした。

「隊長ひどいです。私の獲物を……」
「雷神丸は使用禁止。矢が残っているなら、それで落とせ」
「仕方ないですね」

 最後の一機を、ブツブツ言いながらも彼女は射落とした。
 
 これでドローン群は全滅。

 そろそろ別働隊が《あすか》攻撃に出てくるぞ。

「隊長!」

 ん? 矢をつがえた状態で、橋本晶は突然僕の方へ振り向いた。

 え? 僕を射る気か!? 

 雷神丸を禁止したことなら謝るから止めろ!
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