780 / 850
第十六章
乱戦
しおりを挟む
マルガリータ姫がドローンと同士討ちをやっている間に、橋本晶は足に絡まったネットを外し終えていた。
「おのれ! 妾の足を引っ張りおって」
その様子を見たマルガリータ姫は、悔しそうにドローンの残骸を蹴り飛ばす。
いやいや、足を引っ張ってなんかいないだろう。
あんたがドローンと連携プレーを取っていれば、橋本晶は詰んでいたかもしれない。
まあ、敵が間抜けである事は、こっちにとってありがたいが……
「でやぁぁ!」
そんなマルガリータ姫に向かって、橋本晶は雷神丸と風神丸の二刀流で切りかかっていく。
「何の!」
マルガリータ姫の投げた鎖分銅が、風神丸に絡みつく。
「やあ!」「とう!」
ガチ!
切りかかってくる雷神丸を、マルガリータ姫は鎌で受け止め、降着状態となった。
その様子を僕は、ぼうっと見ていた分けではない。
チラチラと様子を見ながらも、ワームホールにロケット砲を向けているところだった。
最初に装填した弾は、対空誘導弾。
この一発で、ワームホール前に集結しているドローン群を吹き飛ばしてから、ワームホールに突入して時空穿孔機を破壊するつもりだ。
狙いを定めてトリガーを引く。
ロケット弾は、吸い込まれるようにワームホールに突入していった。
直後、ワームホールから爆風が吹き出す。
紫雲からの映像によると、ドローン群の中で爆発が起きていた。
しかし、自爆型ドローンのように誘爆は起きない。
落とせたのは三機だけで、残った十数機のドローンは、巣をつつかれて怒り狂ったスズメバチのごとく、ワームホールから飛び出して来る。
その中の二機が、僕に向かって撃ってきた。
一発の銃弾が脇腹を掠める。
掠めただけなのにかなりの衝撃だ。こりゃあ直撃食らったらアウトだな。
しかし、その分反動が大きいのか、ドローンはバランスを大きく崩していた。
そのまま墜落するという事は無かったが、バランスを取り戻すのに数秒かかっている。
なるほど。対物ライフル搭載ドローンが連射しない理由はこれか。
連射しないのではなく、反動が強すぎて連射できないんだ。
「司令官殿!」
エラの声が聞こえた方へ目を向けると、主砲の前でエラが両手を前方に突き出し、高周波磁場を展開していた。
その後にミールたちが待避している。
ドローンはエラに向かって射撃するが、弾丸はことごとく高周波磁場に捕まってプラズマ化していく。
高周波磁場を回り込もうとするドローンは、芽依ちゃんがショットガンで撃墜し、正面から迫るドローンをナージャがレーザーで撃墜していた。
「司令官殿! こちらの守りは大丈夫だ。心おきなくワームホールを」
「了解!」
味方にすると厄介なんて思っていたが、以外とエラは役に立ってくれている。
僕はロケット砲を構えると、群がるドローンを蹴散らしながらワームホールに向かった。
しかし……
「くそ!」
僕が飛び込む寸前でワームホールは閉じた。
しかし、ワームホールが閉じればドローンの誘導波も途切れるはず。
それなのにドローンは戦闘を継続していた。
見ると《海龍》司令塔の上にワームホールが開いている。
さっき一度閉じたワームホールを開きなおしたのか。
それなら、紫雲ともコンタクトできるはず。
紫雲を呼び出すと、ワームホール前に帝国兵数十名が集結しているところだった。
させるか!
僕の放ったロケット弾はワームホールを抜け、集結中の兵士たちのど真ん中で炸裂した。
「おのれ! 妾の足を引っ張りおって」
その様子を見たマルガリータ姫は、悔しそうにドローンの残骸を蹴り飛ばす。
いやいや、足を引っ張ってなんかいないだろう。
あんたがドローンと連携プレーを取っていれば、橋本晶は詰んでいたかもしれない。
まあ、敵が間抜けである事は、こっちにとってありがたいが……
「でやぁぁ!」
そんなマルガリータ姫に向かって、橋本晶は雷神丸と風神丸の二刀流で切りかかっていく。
「何の!」
マルガリータ姫の投げた鎖分銅が、風神丸に絡みつく。
「やあ!」「とう!」
ガチ!
切りかかってくる雷神丸を、マルガリータ姫は鎌で受け止め、降着状態となった。
その様子を僕は、ぼうっと見ていた分けではない。
チラチラと様子を見ながらも、ワームホールにロケット砲を向けているところだった。
最初に装填した弾は、対空誘導弾。
この一発で、ワームホール前に集結しているドローン群を吹き飛ばしてから、ワームホールに突入して時空穿孔機を破壊するつもりだ。
狙いを定めてトリガーを引く。
ロケット弾は、吸い込まれるようにワームホールに突入していった。
直後、ワームホールから爆風が吹き出す。
紫雲からの映像によると、ドローン群の中で爆発が起きていた。
しかし、自爆型ドローンのように誘爆は起きない。
落とせたのは三機だけで、残った十数機のドローンは、巣をつつかれて怒り狂ったスズメバチのごとく、ワームホールから飛び出して来る。
その中の二機が、僕に向かって撃ってきた。
一発の銃弾が脇腹を掠める。
掠めただけなのにかなりの衝撃だ。こりゃあ直撃食らったらアウトだな。
しかし、その分反動が大きいのか、ドローンはバランスを大きく崩していた。
そのまま墜落するという事は無かったが、バランスを取り戻すのに数秒かかっている。
なるほど。対物ライフル搭載ドローンが連射しない理由はこれか。
連射しないのではなく、反動が強すぎて連射できないんだ。
「司令官殿!」
エラの声が聞こえた方へ目を向けると、主砲の前でエラが両手を前方に突き出し、高周波磁場を展開していた。
その後にミールたちが待避している。
ドローンはエラに向かって射撃するが、弾丸はことごとく高周波磁場に捕まってプラズマ化していく。
高周波磁場を回り込もうとするドローンは、芽依ちゃんがショットガンで撃墜し、正面から迫るドローンをナージャがレーザーで撃墜していた。
「司令官殿! こちらの守りは大丈夫だ。心おきなくワームホールを」
「了解!」
味方にすると厄介なんて思っていたが、以外とエラは役に立ってくれている。
僕はロケット砲を構えると、群がるドローンを蹴散らしながらワームホールに向かった。
しかし……
「くそ!」
僕が飛び込む寸前でワームホールは閉じた。
しかし、ワームホールが閉じればドローンの誘導波も途切れるはず。
それなのにドローンは戦闘を継続していた。
見ると《海龍》司令塔の上にワームホールが開いている。
さっき一度閉じたワームホールを開きなおしたのか。
それなら、紫雲ともコンタクトできるはず。
紫雲を呼び出すと、ワームホール前に帝国兵数十名が集結しているところだった。
させるか!
僕の放ったロケット弾はワームホールを抜け、集結中の兵士たちのど真ん中で炸裂した。
0
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜
桃源 華
ファンタジー
50代のサラリーマンおっさんが異世界に転生し、少年の姿で新たな人生を歩む。転生先で、猫耳の獣人・ミュリと共にスパイス商人として活躍。マーケティングスキルと過去の経験を駆使して、王宮での料理対決や街の発展に挑み、仲間たちとの絆を深めながら成長していくファンタジー冒険譚。
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる