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第十六章
フォーメーションA
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長い中央通路を逆V字陣形で駆けぬけていく分身達が、行程の半ばまで来たとき、傾斜路側からの銃撃が始まった。
フリントロック銃ではない。
自動小銃によるものだ。
だが、分身達の数は減らない。
随伴しているドローンの映像を見ていると、分身体の胸や腹、太股、顔面に銃弾が命中している様子が映っていた。
しかし、銃弾が分身体にいくら穴を穿っても、ものの数秒で穴は塞がってしまう。
当然だ。ミールの分身体は憑代を破壊されるか身体の半分以上を一気に破壊しないと消滅しないのだから。
だが、それは向こうも分かっているはずだ。
ならば、何か対策を立てているはず。
先行させていた地上走行ドローンが、敵陣地に到着したのはその時。
そこには、土嚢が一・五メートルほどの高さに積み上げられていた。
ドローンは土嚢を乗り越えたが、そこにいる兵士達はドローンに気が付いていない。
ドローンの光学迷彩は見破られてはいないようだ。
土嚢では八人の兵士が、迫り来る分身達に向けて銃撃を続けている。
その後ろでは……
僕は、分身達を操っているミール本人の方を振り向いた。
「ミール。予想通りだ。フォーメーションAで」
「はーい」
今まで逆V字陣形で中央通路を駆けていた十二人の分身達が、縦一列の縦列陣形に変わった。
しばらくそのまま進んだ後……
「ミール! 分離!」
「はーい」
縦一列で進んでいた十二人の分身達は、突然左右六人ずつの二列縦隊にパッと分かれた。
その直後、二手に分かれた分身達の間を紅蓮の炎が通り過ぎる。
火炎放射器だ。
さっき見たとき、銃撃をしている兵士の後ろで火炎放射器を用意している兵士の姿がドローンの映像に映っていた。
分身達に効果のない銃撃を続けていたのは、あくまでもこれを隠すための牽制。
十分に近づいたところで、分身達の憑代を焼き払う作戦だったのだろう。
だが、その戦法は前回 《アクラ》での戦いで知っている。
だから、敵が火炎放射器を用意していたのが分かった時点で、敵の狙いを絞らせるために分身達に縦一列陣形を取らせた。
そして、射手が火炎放射器のトリガーを引く瞬間に、分身達は左右二手に分かれたのだ。
最初の火炎を避けられた射手は、次に左右どちらの列を狙うべきか一瞬迷った。
その一瞬が命取り。
射手が迷った瞬間に、先頭を駆けていた分身体が矢を放つ。
矢は、火炎放射器を構えていた射手の喉を貫いた。
ドローンで見ていると、別の兵士が射抜かれた兵士のそばへ行って火炎放射器を取ろうとするが、そのときにはもう手遅れ。
兵士が火炎放射器を構える前に、分身達は土嚢で築かれたバリケードに取り付いていた。
火炎放射器を手にしていた兵士は、槍で胸を貫かれる。
「よし! 僕たちも行くぞ」
「「はい!」」
僕は芽依ちゃんと橋本晶を引き連れて、分身達が入って行った通路の左隣にある通路へ入っていく。
僕たちの後ろからは、テントウムシが付いてきていた。
このテントウムシには誰も乗っていない。
しかし、それは敵には分からない。
テントウムシがいれば、その中にミクがいると敵に思わせる事ができ、こちらに注意を引きつける事ができる。
もちろん、本物のミクがいるのは中央広場の陣地。
そこはキラの分身体が守っているし、替え玉アンドロイドもいるので帝国兵が地雷原を突破してきても対処できるはずだ。
やがて、先行しているドローンが環状通路に到達する。
そこでドローンを静止させた。
ドローンの映像に敵はない。
ミールの陽動は上手くいっているようだ。
「環状通路に敵はいない。突入するぞ」
「「はい!」」
僕たちは環状通路を右折。
このまま、傾斜路入り口で分身達と戦っているカルル・エステス隊の側面を突く。
……はずだった。
右折していくらも進まないうちに、奴と遭遇したのだ。
多脚警察車両スパイダーから顔を覗かせているカルル・エステスと……
フリントロック銃ではない。
自動小銃によるものだ。
だが、分身達の数は減らない。
随伴しているドローンの映像を見ていると、分身体の胸や腹、太股、顔面に銃弾が命中している様子が映っていた。
しかし、銃弾が分身体にいくら穴を穿っても、ものの数秒で穴は塞がってしまう。
当然だ。ミールの分身体は憑代を破壊されるか身体の半分以上を一気に破壊しないと消滅しないのだから。
だが、それは向こうも分かっているはずだ。
ならば、何か対策を立てているはず。
先行させていた地上走行ドローンが、敵陣地に到着したのはその時。
そこには、土嚢が一・五メートルほどの高さに積み上げられていた。
ドローンは土嚢を乗り越えたが、そこにいる兵士達はドローンに気が付いていない。
ドローンの光学迷彩は見破られてはいないようだ。
土嚢では八人の兵士が、迫り来る分身達に向けて銃撃を続けている。
その後ろでは……
僕は、分身達を操っているミール本人の方を振り向いた。
「ミール。予想通りだ。フォーメーションAで」
「はーい」
今まで逆V字陣形で中央通路を駆けていた十二人の分身達が、縦一列の縦列陣形に変わった。
しばらくそのまま進んだ後……
「ミール! 分離!」
「はーい」
縦一列で進んでいた十二人の分身達は、突然左右六人ずつの二列縦隊にパッと分かれた。
その直後、二手に分かれた分身達の間を紅蓮の炎が通り過ぎる。
火炎放射器だ。
さっき見たとき、銃撃をしている兵士の後ろで火炎放射器を用意している兵士の姿がドローンの映像に映っていた。
分身達に効果のない銃撃を続けていたのは、あくまでもこれを隠すための牽制。
十分に近づいたところで、分身達の憑代を焼き払う作戦だったのだろう。
だが、その戦法は前回 《アクラ》での戦いで知っている。
だから、敵が火炎放射器を用意していたのが分かった時点で、敵の狙いを絞らせるために分身達に縦一列陣形を取らせた。
そして、射手が火炎放射器のトリガーを引く瞬間に、分身達は左右二手に分かれたのだ。
最初の火炎を避けられた射手は、次に左右どちらの列を狙うべきか一瞬迷った。
その一瞬が命取り。
射手が迷った瞬間に、先頭を駆けていた分身体が矢を放つ。
矢は、火炎放射器を構えていた射手の喉を貫いた。
ドローンで見ていると、別の兵士が射抜かれた兵士のそばへ行って火炎放射器を取ろうとするが、そのときにはもう手遅れ。
兵士が火炎放射器を構える前に、分身達は土嚢で築かれたバリケードに取り付いていた。
火炎放射器を手にしていた兵士は、槍で胸を貫かれる。
「よし! 僕たちも行くぞ」
「「はい!」」
僕は芽依ちゃんと橋本晶を引き連れて、分身達が入って行った通路の左隣にある通路へ入っていく。
僕たちの後ろからは、テントウムシが付いてきていた。
このテントウムシには誰も乗っていない。
しかし、それは敵には分からない。
テントウムシがいれば、その中にミクがいると敵に思わせる事ができ、こちらに注意を引きつける事ができる。
もちろん、本物のミクがいるのは中央広場の陣地。
そこはキラの分身体が守っているし、替え玉アンドロイドもいるので帝国兵が地雷原を突破してきても対処できるはずだ。
やがて、先行しているドローンが環状通路に到達する。
そこでドローンを静止させた。
ドローンの映像に敵はない。
ミールの陽動は上手くいっているようだ。
「環状通路に敵はいない。突入するぞ」
「「はい!」」
僕たちは環状通路を右折。
このまま、傾斜路入り口で分身達と戦っているカルル・エステス隊の側面を突く。
……はずだった。
右折していくらも進まないうちに、奴と遭遇したのだ。
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