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第五章
せっかくの美人が台無しだよ
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それは、戦いなんてものじゃなかった。
一方的な殺戮だ。
ミールの分身は、次々と帝国兵を切りまくった。
別の分身は矢を撃ちまくり、別の分身は戦斧を振り回し、別の分身がモーニングスターを振り回す。
もちろん、帝国軍だって無抵抗なわけではないが、分身は攻撃を受けても、憑代を破壊さるか、身体の半分以上削られなければ死なないので、帝国軍の攻撃はほとんど効果がない。
それ以前に、ガルキナの分身との戦いで消耗しまくっていた帝国軍に、戦う力などほとんどなかった。
辛うじて弾の残っていた自動小銃や迫撃砲を使ったが、たちまち弾切れに……
手榴弾での自爆攻撃で、何とか分身二体が消滅した。
どうやら、憑代が破壊されたようだ。
僕のやる事なくなったかな?
ん? なんだ?
地面の上を、小さな物が動き回っている。
石ころのような物や、チリの塊のような物、肉塊のような物体が一か所に集まりつつあった。その中心にあるのは……短剣!
「ミール! ガルキナの分身が回復しようとしている」
『なんですって! しぶとい女ですね』
「どうすればいい?」
『動き出す前に、憑代を破壊してください』
「分かった」
拳銃を抜いた。
ダメだ。もう短剣が見えないくらい回復している。
デジカメ画像を、バイザーに表示。
分身を構成している疑似物質が、消えた瞬間に狙いを定めて撃った。
ダメだ。疑似物質の層が厚くなってきて銃弾が通らない。
近くに行って、ザバイバルナイフで切り裂いた。
切り裂く傍から再生してしまう。
憑代に手が届かない。
「Pちゃん。AA12の予備弾倉を頼む」
『すみません。バッテリーが残りわずかで、これ以上プリンターを動かせません』
う……そう言えば、充電途中で、ここへ来たんだっけ。
その後、ウェアラブルカメラやドローン、ミサイル、AA12をプリントして、さらにコンピューターやドローン、ロボットスーツを使いまくった。
無駄遣いしすぎた。もっと省エネしないと……
「水素は、どのくらい残ってる?」
『残り八パーセントです』
拙い。万が一の時は逃げればいいと思っていたが、これじゃあ逃げるのも無理。
帝国軍の戦力は、どこまで削れたんだ?
そっちを見ると壊滅寸前だった。
どうやら、逃げる必要はなさそうだ。
「隊長。もう弾がありません」
「くそ! 本隊に救援を求めに行ってくる。それまで持ちこたえていろ」
「あ! 隊長」
ダサエフは、そのまま馬に乗って逃げだした。
「くそ! やってられるか」
「俺達も、逃げるぞ」
帝国軍は、総崩れとなった。
「Pちゃん。逃げ出した奴は何人いる?」
『二十人です』
ミールの放った矢が二人を射抜いた。
『十八人に訂正します』
「馬で逃げた奴だけでも、狙撃してくれ。救援とやらに来られてはかなわん」
『了解しました』
さて。残る問題は……
ガルキナの分身は、完全に人の形になっていた。
むっくりと起き上がる。
「や……やあ……気分は、どうだい?」
無駄だと思うが話しかけてみた。
「非・常・に・悪・い」
そうだろうな。……てか、話が通じるのか?
「あのさあ、これ以上戦っても、不毛だと思わない?」
「思・わ・な・い」
そうですか。
「しゃー」
また、顔が口裂け女になった。
「あのさ、それやめなよ。せっかくの美人が、台無しだよ」
あれ? 急に顔が急に元に戻った。
こりゃあ、おだてれば説得できるかも……
「ふ・ざ・け・る・な。私・が・美・人・な・は・ず・な・い・だ・ろ・う」
「なんで、そう思うの?」
「私・は・周・り・の・人・に・疎・ま・れ・て・き・た。・怖・が・ら・れ・て・き・た。こ・の・顔・の・せ・い・だ」
いや、それはその能力のせいだと思うよ。
「そんな事ない。君は綺麗だよ」
「ま・だ、・言・う・か!・そ・う・や・っ・て、・期・待・を・持・た・せ・て・か・ら・私・を・貶・め・る・気・だ・な!」
ええ? なんかよけい怒らせてしまったような……
また、口裂け女になっちゃったよ。
一方的な殺戮だ。
ミールの分身は、次々と帝国兵を切りまくった。
別の分身は矢を撃ちまくり、別の分身は戦斧を振り回し、別の分身がモーニングスターを振り回す。
もちろん、帝国軍だって無抵抗なわけではないが、分身は攻撃を受けても、憑代を破壊さるか、身体の半分以上削られなければ死なないので、帝国軍の攻撃はほとんど効果がない。
それ以前に、ガルキナの分身との戦いで消耗しまくっていた帝国軍に、戦う力などほとんどなかった。
辛うじて弾の残っていた自動小銃や迫撃砲を使ったが、たちまち弾切れに……
手榴弾での自爆攻撃で、何とか分身二体が消滅した。
どうやら、憑代が破壊されたようだ。
僕のやる事なくなったかな?
ん? なんだ?
地面の上を、小さな物が動き回っている。
石ころのような物や、チリの塊のような物、肉塊のような物体が一か所に集まりつつあった。その中心にあるのは……短剣!
「ミール! ガルキナの分身が回復しようとしている」
『なんですって! しぶとい女ですね』
「どうすればいい?」
『動き出す前に、憑代を破壊してください』
「分かった」
拳銃を抜いた。
ダメだ。もう短剣が見えないくらい回復している。
デジカメ画像を、バイザーに表示。
分身を構成している疑似物質が、消えた瞬間に狙いを定めて撃った。
ダメだ。疑似物質の層が厚くなってきて銃弾が通らない。
近くに行って、ザバイバルナイフで切り裂いた。
切り裂く傍から再生してしまう。
憑代に手が届かない。
「Pちゃん。AA12の予備弾倉を頼む」
『すみません。バッテリーが残りわずかで、これ以上プリンターを動かせません』
う……そう言えば、充電途中で、ここへ来たんだっけ。
その後、ウェアラブルカメラやドローン、ミサイル、AA12をプリントして、さらにコンピューターやドローン、ロボットスーツを使いまくった。
無駄遣いしすぎた。もっと省エネしないと……
「水素は、どのくらい残ってる?」
『残り八パーセントです』
拙い。万が一の時は逃げればいいと思っていたが、これじゃあ逃げるのも無理。
帝国軍の戦力は、どこまで削れたんだ?
そっちを見ると壊滅寸前だった。
どうやら、逃げる必要はなさそうだ。
「隊長。もう弾がありません」
「くそ! 本隊に救援を求めに行ってくる。それまで持ちこたえていろ」
「あ! 隊長」
ダサエフは、そのまま馬に乗って逃げだした。
「くそ! やってられるか」
「俺達も、逃げるぞ」
帝国軍は、総崩れとなった。
「Pちゃん。逃げ出した奴は何人いる?」
『二十人です』
ミールの放った矢が二人を射抜いた。
『十八人に訂正します』
「馬で逃げた奴だけでも、狙撃してくれ。救援とやらに来られてはかなわん」
『了解しました』
さて。残る問題は……
ガルキナの分身は、完全に人の形になっていた。
むっくりと起き上がる。
「や……やあ……気分は、どうだい?」
無駄だと思うが話しかけてみた。
「非・常・に・悪・い」
そうだろうな。……てか、話が通じるのか?
「あのさあ、これ以上戦っても、不毛だと思わない?」
「思・わ・な・い」
そうですか。
「しゃー」
また、顔が口裂け女になった。
「あのさ、それやめなよ。せっかくの美人が、台無しだよ」
あれ? 急に顔が急に元に戻った。
こりゃあ、おだてれば説得できるかも……
「ふ・ざ・け・る・な。私・が・美・人・な・は・ず・な・い・だ・ろ・う」
「なんで、そう思うの?」
「私・は・周・り・の・人・に・疎・ま・れ・て・き・た。・怖・が・ら・れ・て・き・た。こ・の・顔・の・せ・い・だ」
いや、それはその能力のせいだと思うよ。
「そんな事ない。君は綺麗だよ」
「ま・だ、・言・う・か!・そ・う・や・っ・て、・期・待・を・持・た・せ・て・か・ら・私・を・貶・め・る・気・だ・な!」
ええ? なんかよけい怒らせてしまったような……
また、口裂け女になっちゃったよ。
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