65 / 848
第四章
無事だった
しおりを挟む
「ロット。これを、僕に教えようとしてたのか?」
「ピーピー」
ロットは頷く。
迂闊だった。Pちゃんがこんな物をロットに持たせたという事は、何かメッセージがあるものと考えるべきだった。
アンテナの一端を見ると、USB端子がある。
早速、タブレットPCにつないでみた。
何かのソフトがPCにインストールされる。
やがで、どこかの森の中の映像が現れた。
『ご主人様』
PCのスピーカーから、Pちゃんの声が聞こえてくる。
『ようやく、気が付いてくれましたね』
Pちゃん、生きていた! よかった……
てか……これ、通信機になっていたのか。
「Pちゃん。いったい何があった?」
『村が、武装集団に占領されています』
それは知ってる。
『そいつらに、エシャーさんが捕まってしまいました』
「なんだって!? エシャーは無事か?」
『今のところ。檻に閉じ込められているだけですが、奴らが、この後エシャーさんをどうするつもりか分かりません』
「Pちゃんは、無事なのか?」
『私は、なんとか逃げられました。今は、近くの森に隠れています』
という事は、この映像はPちゃんが今見ている景色ってことか?
「分かった。車が動くようになったら、すぐに迎えに行く」
『待って下さい。私は、ご主人様を守る事を最優先にしています。ですから、ご主人様が危険な事をしようとしているなら、止めなければなりません』
「来るな、とでも言うのか?」
『私には、ご主人様の行動を止める事はできません。ですが、危険があるなら、それをお教えする義務があります。この村には百人近い武装集団がいて、とても危険です。ロボットスーツを使っても、切り抜けられる可能性は五パーセント以下でしょう』
「知ってる。だけど、そこにエシャーがいるんだろ?」
『危険を承知でご主人様が、エシャーさんを助けるというなら、私は全力でお助けいたします。どういたします? エシャーさんを助けますか?』
そんなの、最初から答えは決まっている。
「助ける以外の選択肢は、僕にはない」
『承知しました。このP0371。微力を尽くして、ご主人様をお助けいたします』
「あのカイトさん。この声は、お仲間さんですか?」
ミールが、PCを覗き込んできた。
「そうなんだ。無事だったんだよ」
「よかった」
『ご主人様。今、女の人の声が聞こえましたが……』
「ああ。今、客が来ているんだ」
『私がいない間に、女を連れ込んだんですか?』
「ちっがあーう!」
『不潔です。ご主人様が、そんな人だなんて……思っていましたが……』
思ってたんかい。
「だから、違うと……」
「あの、Pちゃんさん。何か誤解されてるみたいですが……」
『Pちゃんでいいです。「さん」はいりません』
「ではPちゃん。あたしはナーモ族のカ・モ・ミールと申します。ミールと呼んで下さい」
『ミールさんですか? どうして、そこにいるのです?』
ミールは状況を説明した。
『じゃあ、私たち入れ違いになってしまったのですか?』
納得してくれたか……
『でも、ミールさん、気を付けてください。ご主人様は猫耳萌の変態ケモナーですから。くれぐれも私と合流するまでの間、襲われないように』
だから、襲わないよ。
「それなら、大丈夫です。襲われる前に、あたしの方から襲いますから」
『なんですってぇ!』
「冗談ですよ」
『もし、そんな事やったら殺しますよ』
「やりませんて……それよりお聞きしたいのですが、荷物は無事ですか?」
『荷物? レットドラゴンの肝臓ですか? 私の手元にありますよ』
「よかった。取っておいて下さい」
通信は終わった。
時計を見ると、車が動かせるまで一時間ある。
何か、いい作戦は……思いついた。
「ミール、出発前にやってもらいたい事がある」
(第四章 終了)
「ピーピー」
ロットは頷く。
迂闊だった。Pちゃんがこんな物をロットに持たせたという事は、何かメッセージがあるものと考えるべきだった。
アンテナの一端を見ると、USB端子がある。
早速、タブレットPCにつないでみた。
何かのソフトがPCにインストールされる。
やがで、どこかの森の中の映像が現れた。
『ご主人様』
PCのスピーカーから、Pちゃんの声が聞こえてくる。
『ようやく、気が付いてくれましたね』
Pちゃん、生きていた! よかった……
てか……これ、通信機になっていたのか。
「Pちゃん。いったい何があった?」
『村が、武装集団に占領されています』
それは知ってる。
『そいつらに、エシャーさんが捕まってしまいました』
「なんだって!? エシャーは無事か?」
『今のところ。檻に閉じ込められているだけですが、奴らが、この後エシャーさんをどうするつもりか分かりません』
「Pちゃんは、無事なのか?」
『私は、なんとか逃げられました。今は、近くの森に隠れています』
という事は、この映像はPちゃんが今見ている景色ってことか?
「分かった。車が動くようになったら、すぐに迎えに行く」
『待って下さい。私は、ご主人様を守る事を最優先にしています。ですから、ご主人様が危険な事をしようとしているなら、止めなければなりません』
「来るな、とでも言うのか?」
『私には、ご主人様の行動を止める事はできません。ですが、危険があるなら、それをお教えする義務があります。この村には百人近い武装集団がいて、とても危険です。ロボットスーツを使っても、切り抜けられる可能性は五パーセント以下でしょう』
「知ってる。だけど、そこにエシャーがいるんだろ?」
『危険を承知でご主人様が、エシャーさんを助けるというなら、私は全力でお助けいたします。どういたします? エシャーさんを助けますか?』
そんなの、最初から答えは決まっている。
「助ける以外の選択肢は、僕にはない」
『承知しました。このP0371。微力を尽くして、ご主人様をお助けいたします』
「あのカイトさん。この声は、お仲間さんですか?」
ミールが、PCを覗き込んできた。
「そうなんだ。無事だったんだよ」
「よかった」
『ご主人様。今、女の人の声が聞こえましたが……』
「ああ。今、客が来ているんだ」
『私がいない間に、女を連れ込んだんですか?』
「ちっがあーう!」
『不潔です。ご主人様が、そんな人だなんて……思っていましたが……』
思ってたんかい。
「だから、違うと……」
「あの、Pちゃんさん。何か誤解されてるみたいですが……」
『Pちゃんでいいです。「さん」はいりません』
「ではPちゃん。あたしはナーモ族のカ・モ・ミールと申します。ミールと呼んで下さい」
『ミールさんですか? どうして、そこにいるのです?』
ミールは状況を説明した。
『じゃあ、私たち入れ違いになってしまったのですか?』
納得してくれたか……
『でも、ミールさん、気を付けてください。ご主人様は猫耳萌の変態ケモナーですから。くれぐれも私と合流するまでの間、襲われないように』
だから、襲わないよ。
「それなら、大丈夫です。襲われる前に、あたしの方から襲いますから」
『なんですってぇ!』
「冗談ですよ」
『もし、そんな事やったら殺しますよ』
「やりませんて……それよりお聞きしたいのですが、荷物は無事ですか?」
『荷物? レットドラゴンの肝臓ですか? 私の手元にありますよ』
「よかった。取っておいて下さい」
通信は終わった。
時計を見ると、車が動かせるまで一時間ある。
何か、いい作戦は……思いついた。
「ミール、出発前にやってもらいたい事がある」
(第四章 終了)
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

アシュターからの伝言
あーす。
SF
プレアデス星人アシュターに依頼を受けたアースルーリンドの面々が、地球に降り立つお話。
なんだけど、まだ出せない情報が含まれてるためと、パーラーにこっそり、メモ投稿してたのにパーラーが使えないので、それまで現実レベルで、聞いたり見たりした事のメモを書いています。
テレパシー、ビジョン等、現実に即した事柄を書き留め、どこまで合ってるかの検証となります。
その他、王様の耳はロバの耳。
そこらで言えない事をこっそりと。
あくまで小説枠なのに、検閲が入るとか理解不能。
なので届くべき人に届けばそれでいいお話。
にして置きます。
分かる人には分かる。
響く人には響く。
何かの気づきになれば幸いです。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。
暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。


目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
筋肉少女まりあ★マッスル 全力全開!
謎の人
SF
元気いっぱい恋する乙女の小学5年生 安部まりあ。
ある日突然彼女の前に現れたのは、願いを叶える魔獣『かがみん』だった。
まりあは、幼馴染である秋月灯夜との恋の成就を願い、魔力を授かり魔法少女となる決意を固める。
しかし、その願いは聞き届けられなかった。
彼への恋心は偽りのものだと看破され、失意の底に沈んだまりあは、ふとある日のことを思い出す。
夏休み初日、プールで溺れたまりあを助けてくれた、灯夜の優しさと逞しい筋肉。
そして気付いた。
抱いた気持ちは恋慕ではなく、筋肉への純粋な憧れであることに。
己の願いに気付いたまりあは覚醒し、魔法少女へと変身を遂げる。
いつの日か雄々しく美しい肉体を手に入れるため、日夜筋トレに励む少女の魔法に満ち溢れた日常が、今幕を開ける―――。
*小説家になろうでも投稿しています。
https://ncode.syosetu.com/n0925ff/
銀河太平記
武者走走九郎or大橋むつお
SF
いまから二百年の未来。
前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。
その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。
折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。
火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる