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第十五章

そこのおまえら

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 廃工場の中に、三人の男たちが血相を変えて駆け込んでくる。

『大変だ! 殴り込みだ』
『なに?』

 その様子を、僕は内部に潜入させた蛇型ドローンを通じて見ていた。

『相手は何人だ?』
『それが、一人で』
『はあ? おまえら、たった一人相手に尻尾巻いて逃げて来たのか?』
『そんなこと言ったって、相手は化け物みたいな奴で……』

 化け物とは失礼な。

『そこのおまえら。ちょっと行って、様子見てこい』

 程なくして、が廃工場から出てくる。
 
 人数は七人ほど……

 七人とも皮よろいまとい、フリントロック銃で武装している。

 年齢は、二十代前半ぐらいから四十代まで様々。

 リーダーらしき男が僕に声をかける。

「てめえ! 何者だ!? 俺たちに何の用だ」

 ここで素直に名乗りをあげて、ミクを取り返しに来たなんて言ったら、ミクを人質にされかねない。

「名乗るほどの者ではない。君たちを皆殺しにきた者だ」
「なに? なぜだ?」
「恨みを買った覚えがないとでも言うのか? それとも、覚えがありすぎてどれのことだか分からないか?」
「ははあ、大方アーテミスの奴らにでも雇われた傭兵か何かだろう」
「全然違うな」
「では、何が目的だ?」
「知る必要はない。君たちは、ここで死ぬのだからな」
「死ぬのはてめえだ! やれ」

 七人は一斉に銃を撃ってきた。

「馬鹿な奴だ。カッコつけやがって」

 僕と仕留めたと思っているようだな。では、錯覚を正してやろう。

「君。今、何かやったかい?」
「え? 馬鹿野郎! 弾が外れているじゃねえか!」

 いや、おまえも撃っているだろう。手下を非難できるのかよ。

 男たちは次弾装填を始めたが、それが終わるのを待ってやる気はない。

「アクセレレーション」

 加速機能で一気に間合いを詰めた。

「ブースト」

 一人の男が、ブーストパンチを食らって吹っ飛んでいく。

「うわわ!」

 横で驚いている男をさらに殴り飛ばす。

 二人の男が、抜刀して左右からかかってきた。

「おりゃあ!」「死ねえ!」
 
 二本の刀を、僕は左右の手で掴み取り、そのままへし折った。

 
「ひええ!」「そんな馬鹿な!」

 折れた刀を見て驚いている二人の男を僕は殴り飛ばした。

「ちくしょう!」

 一人の男が短銃を抜いた。

 だが、奴が引き金を引く前に、僕も拳銃を抜いて男の眉間を撃ちぬく。
 
 さらに隣で、弾の装填を終えた銃を僕に向けていた男の心臓を撃ちぬいた。

「ひいい! 許してくれ!」

 最後に残った一人の胸ぐらを掴み、引き寄せた。

「僕の相手をするのに、これっぽっちじゃ足りないな。もっと、応援を呼んでこい」

 そう言って、僕は男を投げ飛ばした。

 男は地面に落ちてから、いつくばるように逃げていく。
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