上 下
517 / 842
第十三章

浮気男には電撃でお仕置き?

しおりを挟む
 芽依ちゃんが目を覚ましたのは、深夜になってからの事だった。 
 
「あれ? あれ? 私……何をしていたのでしょう?」 
 
 甲板上に固定してあるエアベッドの上で身を起こし、不思議そうに周囲を見回す。 
 
 その様子を見て、僕は薬と水をもってベッドに歩み寄った。 
 
「芽依ちゃん。頭は痛くないかい?」 
「北村さん。私……こんなところで何を……あ! 私お酒を飲んで! 何か、恥ずかしい事をしなかったですか?」 
 
 う!  
 
「い……いや、すぐに寝込んじゃったから……」 
「本当ですかあ?」 
 
 酔って僕に抱きついた事は黙っていよう。 
 
「本当だって、それに……」 
 
 僕は背後を振り返った。 

 そこではミール、アーニャ、馬美鈴、それに《水龍》から移乗して来て飲み会に加わったレイホー、ナージャ、そして艦内には入らないという事を条件に特別に移乗を許可したエラがドンチャン騒ぎを繰り広げていた。 

 エラのお目付役とも言えるカミラはというと、真っ先に酔いつぶれている。 

 飲み始める前に『私の開発した肝臓強化薬 (ヘパリーゼドリンクの様な物だと思う)を飲んでおけば絶対に酔いつぶれる事はない』と言って、薬を飲んだ後に紹興酒を一気飲みをしたのが良くなかったようだ。 

 当然だな。 
 
「酒を飲んだら、たいていの人はこうなるから……気にすることはないよ」 
「で……でも……」 
 
 気にするなというのが無理か……とにかく、目を覚ましたことだし、また酒を飲む前に小淵の話を…… 
 
「あれ? 芽依ちゃん、目を覚ましたの」 
 
 紹興酒の瓶を持ったレイホーが、おぼつかない足取りでやってくる。 
  
「じゃあ、迎え酒いくね」 
 
 レイホーはコップを芽依ちゃん差し出した。 
 
「え? でも……」 
「ちょっと待った! レイホー! その前に芽依ちゃんに話があるから、酒はその後で」 
「芽依ちゃんに話……お兄さん。芽依ちゃんに浮気するのですか?」 
「だあ! 違う!」 
 
 ややこしい事を……今のがミールの耳に入ったりしたら…… 
 
「なんですって? カイトさん。浮気ですって?」 
 
 あかん! すでに、耳に入っていた。 

 白ワインの瓶を持ったまま、僕の方へ駆け寄ってくる。目は完全に座っていた。 
 
 よせ! 今の時代、暴力ヒロインは嫌われるんだぞ。 
 
「カイトさん。ロータスのカフェであたしを押し倒しておいて、誰と浮気するのですか?」 
 
 いや、どちらかというと押し倒されたのは僕の方で…… 
 
「何! 浮気だと? それは許せんな」 
 
 エラ! 一番ややこしい奴が…… 
 
 全身から微弱な放電をしながら近寄ってくる。 
 
「浮気男には電撃でお仕置きするのが、日本の伝統だったな。アニメで見たが……」 
 
 日本にそんな伝統ねえよ! なんのアニメを見たかだいたい想像がつくが、アニメの知識を鵜呑みにするな! 
  
「だからあ、違うと言ってるだろう!」 
 
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

未来に住む一般人が、リアルな異世界に転移したらどうなるか。

kaizi
SF
主人公の設定は、30年後の日本に住む一般人です。 異世界描写はひたすらリアル(現実の中世ヨーロッパ)に寄せたので、リアル描写がメインになります。 魔法、魔物、テンプレ異世界描写に飽きている方、SFが好きな方はお読みいただければ幸いです。 なお、完結している作品を毎日投稿していきますので、未完結で終わることはありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

処理中です...